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就任あいさつ

第38代ソウル特別市長 就任あいさつ

尊敬するソウル市民の皆様、

第38代ソウル特別市長のオ・セフン(呉世勲)です。 いつにもまして、ソウル市民の切なる思いがひしひしと感じられる選挙でした。 公正と共生を実現せよ、ソウル市民のその至上命令を、胸に深く刻みました。 4月8日の初出勤の日に 「もう一度飛翔するソウルを取り戻す」と 申し上げてから早2週間が経ちました。 初出勤の日は、 懐かしい職場に戻ってきたように感じられ、 ソウル市のすべての業務に馴染みを感じました。 これまで2週間、新型コロナウイルス感染対策や 公示価格高騰のような 目の前の緊急懸案を検討し、 この10年の間、変化した政策についても目を通しました。 ソウル市民の皆様のことだけを考え、 分刻みに過ごした二週間でした。

尊敬するソウル市民の皆様、

ソウル研究院の調査結果、ソウル市の若者のうち14.3%しか 「この社会は公正だ」と感じていないことが判明しました。 若者の7人に1人だけがこの社会を公正だと思っているということは、 この社会が正常に機能していないということを、 端的に示しています。 大韓民国とソウルは、これまで冬眠の状態にありました。 新型コロナウイルス感染拡大で長期間強いられた一律の営業制限措置で、 自営業者と小規模事業者は崖っぷちに立たされ、 脆弱な位置におかれた階層は、セーフティーネットもなく、奈落まで落ちる経験をしました。 深まるばかりの経済格差の中で、 多くの方々が再起への希望を失うのではないか、 わたくしはそれが恐ろしくてなりません。 そして政府の不動産政策の失敗は、 すべての国民を「不動産鬱」に陥れました。 家を持つ者は、青天の霹靂のような、巨額の税金を突き付けられ、 家を持たざる者にとってマイホームは、ますます手が届かない 夢になっているこの状況の中で、相対的はく奪を感じています。 その被害を、20代と30代の若者世代がそのまま背負わざるを得なくなりました。 厳しい就職難! 手が届かないマイホーム! 結婚と出産は、今やおとぎ話になってしまいました。 若者たちが困難な現実から逃れて洞窟の中でうずくまり、 勇気を失ったまま、殻に閉じこもっています。 若者が活気を失った社会に、明るい未来は期待できません。 私たちは今、この冬を追い出し、春を呼びこまなければなりません。 私たちは、庶民の経済を崖っぷちに立たせる 新型コロナウイルス感染症という大きな試練を乗り越えるための 最後のチャンスという道に差し掛かっているのかもしれません。 いつ崩れるか予測できない庶民の経済を生かす ゴールデンタイムが過ぎようとしているかも知れないのです。 これ以上、機を逃がしてはなりません。

尊敬するソウル市民の皆様、

大韓民国の心臓・ソウルは、もう一度走ることができます。 再飛翔のためにスタート地点で待ち構えている陸上選手のように、 ソウルには、矢の如く駆け出す底力を持っています。 その底力をもって 競争力を備えたグローバル都市へと再び飛翔するための、 絶好のチャンスを生み出すことができるのです。 この社会では、公正と共生が崩れ落ちてしまいましたが、 その価値を立て直すことはできるのです。 夜明け前が一番暗いといいます。 私たちが朝を迎える準備をしておけば、 絶望を希望へと変えることができる都市、 それがソウル特別市です。 私は公正と共生の価値に基づいて、 小規模事業者と自営業者に希望を与える 庶民の経済支援方法を作っていきます。 持続可能な上質な仕事を増やすとともに、 第4次産業革命をリードする未来の成長産業の拠点都市として ソウルが位置づけられるようにします。 そして、庶民の経済を生かす好循環の経済構造を作り、 市民・企業・専門家と共に、未来イノベーション型共生都市・ソウルを 実現していきます。 未来のイノベーションに向けて果敢に挑むとともに、 国際競争力を備えた超一流都市になるため、 危機の中からチャンスを見出します。 ソウルの再飛翔のための準備に、今すぐ取り掛かります。

尊敬するソウル市民の皆様、

先ほど述べた公正と共生の価値を実現し、 ソウルの競争力を高めるために、 私は皆様に、5つの約束をしたいと思います。 第一に、新型コロナウイルス感染症の防疫と庶民の経済を調和させ、両方を守り抜きます。 2020年1月から始まった新型コロナウイルス感染拡大により、 今日までソウルでのみ36,222人の感染者が発生し、 443人のソウル市民が命を落としました。 ソウルを訪れる観光客は1/6へと急減し、 観光業界の被害額は16兆ウォンに迫る勢いです。 また、新型コロナウイルス感染症によるソーシャル・ディスタンシングが長期化するにつれ、 全国の小規模事業者の売上高は平均37.4%減少しており、 日雇い労働者のような脆弱な位置におかれた階層の雇用は、 70万個以上減少しました。 また、2020年11月から続いている第3波が過ぎ、 今度は第4波が恐れられており、 ワクチンの供給量が少なく、ワクチン接種も遅々として進まない今、 11月までに全国民の70%という集団免疫の形成が 果たして可能なのか、疑わしい状況です。 その間、国民の苦痛は蓄積され続けています。 新型コロナウイルス感染症のパンデミックを終息させ、 危機的な現状を安定させることが ソウル市長としての至上命題なのです。 積極的に政府と協力し、 新型コロナウイルス感染拡大防止のシステムを 徹底的に維持していく所存です。 ただし、自営業者と小規模事業者に経済的負担を強いてきた 一律の防疫心得を変えるとともに合理的な改善策を用意し、 その推進のために政府と緊密に話し合います。 それと同時に、小規模事業者への緊急資金融資と支援はさらに増やし、 経済的な被害が大きい伝統市場と近隣の商店街、 ひいては観光と文化産業などの分野にも、 積極的かつ実質的な支援策を設けます。 第二に、公正と共生に基づき、20代・30代の若者の希望を守ります。 選挙の過程で多くのソウルの20代・30代の若者に会い、 雇用・住宅・教育を巡る現実的な困難について、直接耳を傾けました。 生活費を稼ぐために多くの時間をアルバイトに費やさなければならない状況の中でも、 最善を尽くして就職の準備をしている若者たちが、気の毒でありながら頼もしくも感じました。 雇用が減り、10%を上回る若者の失業率、 そして針の穴を通すような就職の難関を突破しても アパートのチョンセ(伝貰)の価格が平均6億ウォンを超えるソウルで 若者が安定的に生きるのは、ますます厳しくなっています。 韓国とソウルの若者は、そのすべての出発点は、 不公平と不平等だと言います。 そして、その解決策は、公正と共生だと言います。 そうです。 若者たちはすでに答えを知っています。 ソウルは今すぐ、共生と公正に基づいて 20代・30代の若者のための政策づくりに率先して取り組みます。 公正な機会が与えられ、正当な報酬を得ることができるソウル、 若者たちが人生を設計し、機会と雇用が与えられるソウル、 安定した日常を送り、文化のある幸せな生活を営むことができるソウル、 すべての若者たちが希望を持つことができ、 その希望を持つことが当然と思えるソウルを作ってまいります。 第三に、迅速、かつ慎重な住宅政策を策定します。 長期間維持されてきた政府による低金利の基調で、 3年前に比べてソウルの家計ローンは30%、 資金流動性は25%以上増えました。 しかし再建築・再開発事業が政策的に抑制されたことで、 市場には住宅が十分供給されませんでした。 需要と供給の不一致でソウルの住宅価格は上昇しつづけ、 3月基準、ソウルアパートの売買価格は、4年前に比べて45%も上昇しました。 特段の措置が必要です。 そうしないと、不動産市場の不安定性が続くのは、必至です。 第38代ソウル市は、住宅の迅速な供給と不動産価格の安定という 二兎を追う戦略を打ち立てます。 まず市民が必要とするところに、 良質の住宅を迅速に供給します。 習慣のように維持してきた都市計画の規制を 原点から見直します。 その始まりとして、整備区域指定手続きの短縮と 安全診断基準の緩和を政府に建議しました。 10年前に始まりましたが、今では多く変質してしまった 長期チョンセ(伝貰)住宅、Shift事業を発展させ、 庶民の住居安定をサポートします。 不動産への投機を遮断するための措置も 並行して断行いたします。 再建築・再開発の主要団地への「土地取引許可区域」の指定のみならず、 不動産市場を撹乱させる不正取引については、集中的に調査します。 不動産価格の不安定性の火種を消します。 そのためには何より、市民の皆様のご協力が欠かせません。 ソウル市が進めていく不動産政策を信じ、後押ししてください。 第四に、単身世帯も幸せなソウルをつくります。 2000年代に入り、ソウルの常住人口は徐々に減少していますが、 世帯数は毎年0.6%ずつ増加し続けています。 特に単身世帯の割合は2020年の33.9%を越え、最大値を記録しており、 統計庁によりますと、2042年までに増加しつづける見通しです。 今からでも将来の人口の変化に備え、徹底的、かつ積極的に準備しなければなりません。 現在ソウル市は、「単身世帯特別対策推進タスクフォース」を構成し、稼働しています。 単身世帯が抱える代表的な5つの不安は、 安全・病気・貧困・孤独・住宅問題です。 単身世帯特別対策推進タスクフォースは、各部門がそれぞれ推進してきた これらの政策を一つにまとめ、 文化的・経済的支援まで取り入れて全分野にわたる 総合対策を準備しております。 また、単身世帯の各世代の特徴を分析し、 20代・30代の若者、50代以上の中高年層、女性の単身世帯に合わせた、カスタマイズされた対策も 一緒に準備し、実行する予定です。 尊敬するソウル市民の皆様、 わたくしの最後の約束は、ソウル市民のQOLと ソウル市の都市の競争力を高めるための、確実なビジョンをつくることです。 2020年のソウルの経済成長率は、-1.3%というマイナス成長を記録し、 雇用率は59.3%と、ここ5年間で最低水準に落ちました。 ソウル市民の暮らしは以前よりまして余裕がなく、厳しくなっています。 ソウルは、世界の都市との競争でも、徐々に順位を下げています。 A.T. カーニーが発表した「グローバル都市展望」によりますと ソウルは2010年には10位でしたが、 10年が経った今では42位と、32も順位を下げています。 しかし、まだ間に合います。 今世界は、第4次産業革命が起きている、まさに転換期にあります。 明確なビジョンと緻密な戦略があれば、ソウルは再飛翔することができます。 そのためには、確実な市政の方向性を定める必要があります。 先制的でかつ長期的、総合的でかつ優先順位が明確な、 体系的なビジョンを用意します。 そのために5月初め、 「ソウルビジョン2030委員会」を構成し、運営していきます。 グローバル競争力、安心と安全、バランスの取れた発展、生活インフラ、公正・共生という 計5つの分科に分け、ソウルの実現可能な議題と解決策を開発します。 行政機関、政策専門家、市民社会の代表などが一堂に会し、 共同でソウルの未来ビジョンを策定し、 ソウル市民のQOLをアップグレードするとともに、 ソウルの競争力を再び引き上げていきます。 目的地に向かって一生懸命船を漕ぎ続ける船頭のように、 ソウル市は一千万人のソウル市民のために一糸乱れず働きつづけます。 団結した組織の力を結集します。

尊敬するソウル市民の皆様、

10年前、「デザイン・ソウル」というブランドを作り、 市民の暮らしを取り巻く有形・無形の環境を 一段アップグレードさせたグランドデザインを胸に抱いていました。 そのアンカーポイントの一つがここ「トンデムン(東大門)デザインプラザ」です。 今では世界的な名所となったここへ戻り、 就任式を行っていることを考えると、感無量です。 本日、私はソウルの靴ひもを結び直す気持ちでここに立っています。 疲れず、倒れないように結び直し、そしてソウルの再飛翔への第一歩を踏み出します。 市民が幸せなソウル、公正と共生の都市・ソウルが再び走ります。

尊敬するソウル市民の皆様、

私は韓国の首都・ソウルの市長として、 理性と論理だけでなく、熱い思いをもって働きます。 悩み抜いた、気持ちが伝わる政策と事業は、 時間が経過しても色あせず、 その価値は益々輝くと確信しております。 私はソウル市長として、一千万人のソウル市民のためなら、 必要であれば政府に積極的に協力し、 市議会とも話し合っていきます。 一千万人のソウル市民の皆様だけを考え、 政策を作り、実行してまいります。 私たちが力を合わせれば、できないことなんてありません。 これからもソウル市政へのご声援・ご協力をお願い申し上げます。