村共同体支援事業
高度成長の影、住民の葛藤深化と共同体の弱体化
韓国経済は、持続的な高度成長を記録してきました。これにより、無分別な都市化は拡大しており、過度の匿名性の拡大と共同体の崩壊を生み出しました。韓国の引っ越し率は20%前後と世界的にも高い数値を記録しており、これは地域共同体がどれほど脆弱なのかを間接的に現わしています。開発中心の都市政策が推進され、住民間の対立が深刻化し、スペースに基づいたコミュニティは衰退しました。住民のための共同スペースが減り、住民間の関係が弱まり、都市民の幸福指数と生活の質は低下しました。ソウル市では、このような無分別な都市化、競争の激化に伴う市民の生活の質の低下、コミュニティの崩壊、加速する人間疎外などの社会的問題を解決し、持続可能な発展のために市民が幸せな村共同体が必要であるという認識の下、住民自ら村共同体をつくっていくことを支援する「村共同体事業」を開始しました。
村共同体をつくるためのソウル市の支援方向
ソウル「村共同体事業」は、村事業提案、計画の樹立、実行、事後管理など、事業の全過程を住民が樹立して推進する住民主導の事業です。住民が村に必要な仕事と共同の関心事を探し、村共同体が形成されるよう支援する一切の活動について包括的に支援し、教育、コンサルティング、カウンセリングなどを提供しています。住民が気軽にいつでも参加できるよう、年間を通して住民提案方式で構成し、「共同の問題意識」と「自発的推進意思」さえあれば、どの単位の村でも「村共同体事業」を申請することができます。
住民が共に集まり(村カフェ)、共に育て(共同育児)、共に健全な公論を考え(エネルギー自立・安全な村)、共に仕事先を設け(地域(町)企業)、共に楽しむ(村祭り)のすべての活動が「村共同体事業」の対象となります。
「村共同体事業」申込みおよび支援手順
村共同体の回復のための基盤づくり
- ソウル市は、「村共同体事業」を具体化した後、2012年1月、ソウル革新企画官の下村共同体担当官を推進機関として新設しました。村共同体担当官は、基盤の構築に力を注ぎ、民間の専門家と村の活動家が参加する官民ガバナンスを構築し、事業の方向性とシステムを確立し、内容を構成していきます。
- 事業の法的根拠を設けるための「村共同体づくり支援等に関する条例」を共同で準備し、2012年3月に公布しました。4月には学術セミナーを通じて学界と現場の専門家の意見を聞き、市民の意見を積極的に収集するための市民討論会を5月に開催しました。ソウル市村共同体担当官フェイスブックなど、SNSを利用したリアルタイム市民コミュニケーションで共感を高めています。ソウル研究院が主軸となってソウル全域を対象に村共同体の基礎調査を実施し、それによって2012年9月に基本計画を樹立・発表するなどの基盤を構築しました。
- 「村共同体事業」は、今後5年間で段階的に事業を推進し、2014年までに住民主導の村共同体の基礎基盤を構築し、2017年までに村共同体の拡散と電波を通じた村共同体ネットワークと村指向の行政を定着させていく計画です。住民参加こそが村共同体の核心であり、村共同体総合支援センターが中間支援を、ソウル市が行政支援をします。ソウル市「村共同体事業」に基づき村のあちこちにコミュニティ文化が拡散し、驚くほど様々な村の活動が行われ、それぞれのコミュニティが造成されます。ソウル市は、住民が自らの生活を豊かにするために構想する住宅·福祉·文化·経済のすべての悩みが良い結果を結ぶよう行政的に支援します。また、2017年までに3千人の村の活動家を育成し、ソウルの隅々まで村共同体を育成する計画です。毎年、洞ごとに1つ程度の小さなコミュニティ活動を支援し、5年間で2千以上の様々な村活動が行われることが期待されます。
村から始まる変化
① 住民の関心と参加が大いに増えました。
2012年村共同体支援事業541件のうち87.3%が、2013年にも続けられました。2013年の村共同体事業の申請件数は2012年に比べ、二倍の2,233件であり、従来の村の活動団体ではなく、住民集会の申し込みが68%を占め、住民自ら村共同体を実現する基礎を築きました。
② 村から新しい暮らしが始まりました。
専業主婦が村の働き者に成長したケースが増えています(トンジャクグ(銅雀区)親コミュニティ「ファイト!夢見るどんぐり」など)。村放送局を通じて単なる隣人ではなく友人になりました(チョンノグ(鍾路区)村メディア「チャンシンドン(昌信洞)ラジオ・ドム」など)。閉鎖的であったアパートが、住民が互いにコミュニケーションを行う場となりました(カンブクグ(江北区)アパート共同体「コドク(高徳)サンノクアパート」など)。さらに、職能団体は村共同体を通じて、持続可能で新しい代案を見つけました(セマウル運動・クムチョン(衿川)支会の共同育児など)。
- 2012年村共同体支援:35事業、597億ウォン
- 2013年村共同体支援:22事業、222億ウォン