- 全国初、ガソリンスタンドに電力生産やEVスタンド備えたSKパクミガソリンスタンドが9日、竣工
- 太陽光・燃料電池で電力生産・販売可能、今後、EV車の充電にも活用すべく規制改善を提案
- ソウル市と関連業界の規制改善努力で産業部が規制サンドボックスを許可、今後2年かけて実証
- 電気・水素、内燃機関車すべて利用可能なガソリンスタンドの新たな事業モデルとして拡張
- 市、賛同するガソリンスタンドを増やし、来年までに100か所、2030年までに市全域に拡大
ソウル市は、燃料電池と太陽光で電気を生産し、電気自動車の充電スタンドを備えたガソリンスタンド「総合エネルギーステーション(TES、Total Energy Station)」1号店をSKパクミガソリンスタンド(衿川(クムチョン)区)にオープンしたと発表した。
昨年、ソウル市に新規登録された自動車のうち、電気自動車の割合が昨年比73%も増加するなど、最近のエコカーの普及に伴い充電インフラへのニーズが高まっている。また、内燃機関車の減少傾向によりガソリンや軽油の消費量が減少し、既存のガソリンスタンドの経営が難しくなる中、業界は電気や水素自動車の充電も備えるなど対策を講じ始めている。
今回、ソウル市が全国で初めてオープンしたSKパクミガソリンスタンドは、燃料電池300KW、太陽光20KW、電気自動車の超高速充電器1基、急速充電器1基を設置している。ガソリンなど既存のサービス以外にも、電気自動車の充電が可能だ。燃料電池と太陽光で生産された電気は、韓電に販売して収益につなげるなど、電気自動車の充電電力の供給に活用できる。
市は、昨年1月、SKエネルギーと契約を締結し、ガソリンスタンドに燃料電池や太陽光発電システムを設置して直接電気を生産し、電気自動車の充電施設も備えるなど、新エネルギーの拡大に向けた協議を続けてきた。
現行法では、ガソリンスタンドには燃料電池を設置できない。「危険物安全管理法」などによると、現在、ガソリンスタンドの敷地内に設置可能なのは太陽光、電気・水素充電施設などで、燃料電池とESS(蓄電システム)は安全上の理由から設置に制約が伴う。
ソウル市とSKエネルギーは、ガソリンスタンド内の燃料電池発電施設の設置に向け、産業部に対し規制改善を目指した粘り強い建議を続けた。その結果、昨年5月、規制サンドボックス実証特例の承認を受け、今年1月、ガソリンスタンドに太陽光、燃料電池、電気自動車充電器を設置し、今後2年にわたり実証事業を行えることになった。
また、SKエネルギーとの実証事業を機に、その他の企業とも契約を結び、ソウル市内のガソリンスタンドのほとんどを占める自営のガソリンスタンドの参加を積極的に促すための協力を推進する予定だ。
市は昨年「ソウルビジョン2030」と、先月にはカーボンニュートラル達成に向けた今後5年間の具体的な実行計画「気候変動対応総合計画(2022~2026)」を発表し、電気自動車時代を前倒しするためのインフラの構築に注力すると宣言した。市は、官民協力による規制改善をリードして関連産業の基盤をつくり、2030年までにこうした総合エネルギーステーション(TES)をソウル市全体に広めたい考えだ。
ソウル市のユ・ヨンシク気候環境本部長は「全国初の総合エネルギーステーションであるパクミガソリンスタンドは、市と民間企業の協力の下、積極的な規制改善を通じてガソリンスタンドを未来型クリーンエネルギー生産・供給基地に変化させたという大きな意味を持つ」としながら「ソウル市は今後、関連の規制改善に向け取り組むなど、ソウルに適した新エネルギーの導入に向けた政策支援に最善を尽くす」と語った。