2012年ソウル水害安全対策記者発表会
月日:2012年5月21日 会場:ソウル市庁西小門庁舎ブリーフィングルーム
市民と共につくる2012年ソウル水害安全対策、安全が市民の幸福の基本です。その基本のためのソウル市の対策を申し上げます。
今年2012年夏、雨期の予想です。予想を超えて安全を図るためです。降水量が平年より少ないという嬉しい見通しですが、この通り信じられるかは分かりません。大気が不安定で局地的に大雨が降る時があるそうです。遠くチェジュド(済州島)の場合を見てもそうです。つい先日、今年4月に「水爆弾」にあいましたね。道路が流失してあちこちに被害が発生しました。4月の過去最高値を記録しました。ハルラサン(漢拏山)の場合、一日に581mmが降ったほどですから。不安定な大気による大雨は場所を選んでいません。
それでは先に水害の発生現況を見ましょう。正確に把握してこそ備えることができます。現況を見る前に環境を確認したいと思います。1時間当たり30ミリ以上の大雨が平均3~4回だったのが2010、2011年には5~6回以上に増えました。不透水率はもっと驚く数字です。1962年度に8%だったのが2010年には何と48%です。それに比べて人口と資産はソウルに集中していますね。浸水に弱い地域にある地下住宅は何と4万世帯に及びます。
2012年のソウルの水害現況です。34の主な地域で発生しました。人命被害は18人、浸水被害件数は1万4806件、被害額は308億ウォン以上に達します。まだ癒えてない傷であり、人生の苦しみとなっています。昨年最も多く雨の降った地域は、7月27日クァナク(冠岳)区ナムヒョン地域でした。1時間当り113ミリ。3時間で何と218.5ミリ降ったのです。
具体的に2012年今年、水害に弱い主な地域での水害防止対策を見てみます。気候環境と都市環境の変化により、きめ細やかな対策が必要な時です。そのために次のような過程が当然のことになりました。水害現場の地域住民に確認し、市民団体と大討論会を開きました。専門家と熟議を繰り返し行い、日本の防災の現場を見学しました。全ての関係者と聴策ワークショップを開きました。関連機関と協議して業務協約を結びました。2255人と対話しました。再度確認し、再三会議を行いました。
そのようにしてつくったのがトリムチョン(道林川)地域水害防止対策です。この地域では、昨年最大で1時間当たり113ミリの雨が降り、3327カ所が浸水しました。このためソウル市は、地域住民に昨年8月6万トン規模の雨水貯留施設の導入を約束していました。しかし、地域住民と地域の市民団体、ソウル大学といった関連機関の間で意見が分かれていました。雨水滞留施設について様々な意見があふれました。方法は一つしかありませんでした。「青い共同体暮らしの基盤」など24の市民団体と繰り返し協議しました。ソウル大学と協議した回数だけでも8回を超えます。今年5月1日、現場にも行ってきました。
ついに合意に至りました。ソウル大学の正門前に6万トン、ポドゥルコルに1.5万トン、工大滝に1万トン規模の貯留施設をつくることにしました。この場を借りて、合意してくださった全ての方に感謝申し上げます。ソウル市の立場では不便な点もありました。しかし、特に市民団体は公務員が見逃していた点などを事前に注意深く把握しておられました。工事は時間がかかるので、今年この地域の対策としては、カンナム(江南)環状高速道路の工事現場を利用して雨水を貯留する計画です。
次は、クァンファムン(光化門)地域です。この地域は、人命被害はありませんが、最近繰り返し浸水が起きています。したがってソウル市は、今年8月4日、地下に深さ40メートルの雨水トンネルを設置すると発表しました。しかし、費用もたくさんかかり、環境にやさしくなかったのです。他の方法はないか綿密に検討しました。
方法を見つけました。施設の改善により対応能力を向上させます。浸水の原因と指摘されてきたC形の下水管渠の限界を克服するために、クァンファムン(光化門)地域の施設改善を計画しました。長さ100メートルの雨水受けを拡充し、長さ140メートルの下水ボックスを改善する方法です。国家の象徴とも言える地域ですが、人命被害など市民の暮らしに直接的な被害は大きくありませんでした。予算を削減し、環境を考慮する方法を選択しました。
もちろん光化門地域でも市民と専門家の意見を取りまとめる過程を経ました。追加の大規模施設を導入する必要性についても意見が分かれていました。しかし、水環境を考慮した環境治水が究極的な目標となりました。
もう1カ所、シンウォル(新月)地域です。この地域は平均して約4千世帯が毎年繰り返される大雨で浸水被害にあっています。市民の苦痛が大きいです。新月地域でも市民団体、専門家と何度も浸水の解消方法について議論しました。下水ボックスや雨水貯留槽を利用する方法、チェムルポ(済物浦)トンネルとの連携、京仁地下車道を活用する方法まで全部議論しました。しかし、結論的にこの地域は平坦な盆地型の地形構造となっているので、雨水貯留排水施設以外の方法は活用できないと判断しました。工事進行期間があるので、この地域の今年の水防対策は、ソウル市の水防対策と水循環改善対策を併行していきます。新月地域に設置される雨水貯留排水施設の場合は、技術提案の最低価入札をするターンキー方式で進行します。6月初めに発注します。全国初の試みです。不合理と不条理を根絶できるものと期待します。また、事業の全過程は市民オンブズマンに公開されます。それだけでなく根本的な治水策である水循環改善対策も並行して策定します。
2012年、市民と共にする水害安全対策には、今申し上げた三ヵ所の地域だけでなく、ソウル全域と34の浸水に弱い地域を含む長期的な計画も一緒に盛り込まれています。管渠通水能の拡大、雨水ポンプ場の新設・増設、雨水貯留槽の新設と河川の整備、水循環の改善などです。この全ての施設は2021年の完工を目標としています。直ちに解決できる問題ではありません。そのため、今年2012年の水防対策において市民の参加と献身的な行政サービスが切実な状況です。
それでは、土砂崩れの再発防止対策をお話します。
まず、ソウル市は土砂崩れと関連して対策と追加補完調査を併行します。2011年7月27日、ウミョンサン(牛眠山)で土砂崩れが発生しました。牛眠山の12地域で発生し、死者16人、負傷者50人という大変な被害を残しました。消すことのできない大きな痛みとなりました。ソウル市は緊急対応措置を取りました。土砂崩れ発生後、2011年11月25日まで韓国地盤工学会が原因調査を行いました。復旧工事は現在91%進行し、5月末の完了を控えています。しかし、牛眠山の土砂崩れをめぐって様々な要求が現在も出されています。そのため、官民合同のタスクフォースを今年1月から稼動しています。また、補完対策も追加で施行しています。土砂崩れが発生した合計12カ所に対して大韓土木学会が原因に関する追加・補完調査を実施しています。土砂崩れを管理する専門の担当組織の新設も計画し、検討しています。
また、ソウルは四方が山です。残りの167カ所の土砂崩れ憂慮地域に対する措置も欠かせません。土砂崩れ危険地域の全数調査の実施と被害予想地域の住民に対して予報・警報メール発信システムを構築しました。
それでは、改善された水害安全対策について申し上げます。
今年の水害安全対策は、市民の積極的な参加が中心となるでしょう。まず、浸水に弱い地域の下水管渠の水位モニタリングシステムを構築します。浸水に弱い地域の下水管渠の水位をモニタリングするために23カ所に追加で設置します。2011年に20カ所に既に設置しました。このように収集された下水管渠の水位資料は、ソウル市災害状況室とリアルタイムで連携して運営されます。実質的な浸水警報や避難予報において直接の情報になるでしょう。河川に急流が発生した際に自動通知するシステムを構築しました。また、16の河川・渓谷に非常用のはしご34カ所を設置し、非常時に安全地帯への避難ができるようにしました。危険な状況に備えて災害危機情報を活用していきます。
市民の皆さん、ダウムのアゴラと共に水害情報を活用したコミュニティマップを構築します。また、SNSを通じて市民の皆さんがいらっしゃる地域の雨の被害状況や予想状況を教えてください。もちろん既存の災害放送などはこれまでと同様に活用されるでしょう。
市民の皆さんは、大雨が降った時の市民の行動要領を必ず事前に熟知してください。ソウル水害防止に特化したホームページが近々オープンします。お気に入り登録をしてください。既存の屋外電光掲示板や地下鉄の放送、デジタルビュー、町内会などの情報も十分に熟知し、水害に関する全ての状況を担当公務員と話し合ってください。防水板など浸水防止施設も設置します。本格的な雨期に入る前に、住宅8624世帯、商店6000カ所に追加で設置します。昨年までに1万8549世帯に既に設置しました。
今年のソウル水害対策の柱です。担当の公務員が危機状況を伝えて、共に対応します。浸水住宅1万8000世帯に約1万1000人を配置します。この方々は水害安全対策を広報し、危機時の非常連絡や対応を担当してくださいます。1万1000人の119水防緊急機動団、可搬式の揚水機3500台、水害に弱い34の地域に配置された現場機動班も市民の皆さんと共に行動します。
雨水受けや下水管渠の浚渫・改善も主な対策です。雨水受けの改善は2011年に2855カ所が既になされて、2012年に3000カ所を改善する計画です。雨水受けの浚渫は今年48万カ所を目標としています。下水管渠の改善は、雨期の前に20キロ、水害に弱い地域で1033キロの浚渫を計画しています。
今年はそんなことがあってはなりませんが、万一、大規模被害が発生した場合には、全ての人材と装備を投じます。ソウル災害安全ネットワークの人材28万人が動員されます。ここには関連機関、軍部隊、警察、韓国電力、KT、義勇消防隊の皆さんといった民間団体の支援が共に行われます。人材と装備は各段階に合わせて支援されます。
大雨の音で真夜中に目覚めても、皆が共に元気で幸せでいられるソウルをつくります。災害安全対策本部の本部長は私、パク・ウォンスンです。5月15日から10月15日まで5カ月間、24時間常時運営します。最善を尽くします。そして市民の皆さん、よろしくお願いいたします。
自然の力を100%防ぐのは難しいとしても、ソウル市は水害対策に最善を尽くします。
市民の皆さんのご協力をお願いいたします。また支援してくださる関連機関と市民団体、市民の皆さんにも感謝とお願いを申し上げます。ありがとうございました。