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[2014] 市長挨拶

  • 一緒に見る夢は現実になります。

  • [2014] 市長挨拶 SMG 1,621

    日付 2014年9月19日 場所 アメリカスタンフォード大学
    スタンフォード大学講演

     こんにちは、皆様!お会いすることができて嬉しいです。ソウル特別市長のパク・ウォンスンと申します。真理と知性、創意と革新の大学であり、世界有数企業のCEOと企業家たち、政治人や博学者、そして世界各地で世界を導いていくスタンフォードの皆様の前に立つことができて、誠に光栄です。皆様には心より感謝申し上げます。

     2005年のことです。私もここスタンフォード大学で客員教授の資格で勉強と討論、研究に邁進したことがあります。当時、私はこのキャンパスを練り歩きながら皆様の先輩たちと一緒に勉強しました。スタンフォードでの思索と探求、知的体験と、この都市での経験は、大韓民国の首都として一千万市民の生活に責任を持つソウル特別市長の役割に大きく役に立っています。

     本日、私はソウル特別市長としてこの時代が直面した様々な都市問題とこれを解決するために努力してきたソウル市政の経験をスタンフォードの皆様と共有しようと思います。それと同時に今日の私に至るまで「ソーシャルデザイナー」として生活してきた私自身の経験も合わせて共有しようと思います。

    現在、世界各都市は数多い難題に絡んでいます。多くの市民が貧困と格差問題に縛られ、そこから脱皮できず、不公正と不平等の下で苦しんでいます。地球温暖化と気候大気のエネルギーと環境問題、自然災害と犯罪、少子化、超高齢化等の社会問題が我々の生活を脅かしています。

     ソウルが直面した問題も世界各都市が抱えている問題と大して変わりません。。福祉、教育、保育、失業、自殺、エネルギー、超高齢化、犯罪等、数多くの問題が山積しています。それではソウルはこのような問題をどのように解決しているのでしょうか。

     既にご存知のように、ソウルは韓国戦争の廃虚の中から産業化と民主化を成し遂げました。「ハンガンの奇跡」を実現しました。国民所得2万ドル、世界10位圏の貿易大国、国内総生産世界14位に上がりました。しかし、きらめく舞台の裏側には暗い影が隠されています。国民幸福指数は下がり、自殺率は世界最高水準に至りました。少子化と高齢化、失業率と格差問題等、解決しなければならない課題が多く存在しています。

     一千万の人口を持つ巨大都市の首都ソウルは数多くの葛藤と多様な問題が内在していました。このような先鋭な葛藤を私は市民と「共に」解決しようと決心しました。そして「市民の皆様が市長です」をモットーとし、全ての市政を市民と共に運営しています。

     市民の皆様を市長に仰ぎ、市民中心の市政ができたのは私の市政哲学の「協力政治」と「革新」があったためです。市民の生活の質を高めるために絶え間なく協力政治を行い、革新する都市、都市問題を解決するために協力政治を続け、革新する都市、これらの全ては「今日」、「我々」の問題を「共に」解決するために必要なものです。皆が共に豊かな幸福都市を築くためのものです。

     したがって私はソウル市長に就任するとすぐに韓国の地方政府としてはじめて「ソウル革新企画館」を新設し、革新に拍車をかけました。まず従来の慣行を打破し、行政のパラダイムを根本から変えました。疎通、参与、ガバナンスという三つの市政運営に関する原則の下で共に夢を見、共に造り、共に享受するというソウルを築こうとしました。

     革新行政はまず市民の皆様から聞くことから始まります。ソウル市庁は非常に大きい耳を持っていますよね?ある一人の市民がどうか自分の話をきちんと聞いてくれと、市庁の耳に自分の思いをぶつけました。市庁の耳は痛かったですが、市民の声に耳を傾けるための他山の石として受け止めました。

     80回を超える政策討論会、専門家による討論の熟議、一泊二日の現場市長室、120回の現場訪問、一万件余りの行政情報の公開、140万人が訪れた市民庁、2,800人が参加した市民発言台、名誉副市長と一日市長、参与予算制、政策博覧会等ソウル市によるこれら全ての行政は市民の話に耳を傾け、尊重する過程で市民との疎通を通じて市民の生活を幸せにするためのものです。

     市民の声をよく聞くためにソウル市は市民の前で全てを公開しました。ソウル市の行政情報を開放し、公開し、共有しました。「情報疎通広場」を開き、ソウル市の公共データを全面公開しました。市民にはビックデータも提供しています。「ソウルウィキ」を通じてソウル市の2,700件余りの政策を全部紹介し、政策推進の背景、現況、予算を全部公開しました。

     SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)革新行政で光の速度、光速行政の時代を開きました。おそらく世界最初です。ソーシャルメディアセンターを設置し、44個のSNS管理システムを開き、「応答所」で全てを統合する統合民願システムを作りました。人類誕生以来、最も早く対応してくれる光速行政の時代をソウルが開きました。

     私のSNSフォロワーの数はすでに130万人を超えました。「カカオストーリー」10万人、「フェイスブック」32万人、「ツイッター」90万人、次から次へとと民願が入ってきます。

    「バスの運転手ですが、給料が遅配でこどもの日に子供たちにプレゼントも買ってあげられませんでした。」2012年のある日、私の「ツイッター」に飛んできたコメントです。私はこの内容をソウル市の交通本部に知らせました。そして4日後、再び私の「ツイッター」に書き込まれたその運転手さんからのメッセージ。「給料をもらいました。子供たちにとって堂々としたパパになりました。市長閣下ありがとうございます。」現在のソウルの姿です。

     私のSNSは市民の声が溢れる機械です。小言、苦言、笑い声が続いています。「市長閣下、地下鉄の駅で用意されている車椅子が故障しました。」「家の前の歩道ブロックが壊れ、不便です。」「生ゴミのゴミ箱から変な匂いがします。」私はこれら全ての市民の声を聞くと直ちにソウル市職員に知らせます。市民の小言、苦言は近いうちに笑い声となって返ってきます。「市長閣下、本当にありがとうございます。私の小さな声がこのように市政に反映されるとは思ってもみませんでした。私がまるで市長になったようです。」

     夜遅く帰宅する市民たちのために施行した深夜バス、このアイディアも市民の皆様とのSNS疎通を通じて得られたものです。30億件の通話量を分析し、深夜携帯電話コールデータ等ビックデータを活用し、全9路線一日平均6千人余りの市民が利用する市民の足になりました。オルペミバス(深夜バス)を施行したての頃に私の「フェイスブック」に「いいね!」が15、000件余りとコメントが3,353件あり、補完、改善すべき点を指摘したコメントが寄せられ、ソウル市はこれらを政策改善に反映しています。このようにして作った「オルペミバス」は市民が選んだ10大ニュースで1位を占めました。

     2011年、私が市長に就任してまだ間もない頃の話です。私の元に一通の手紙が寄せられました。「100日間で、6人もの人が自ら命を絶ちました。自殺を止めてください。自ら尊厳性を持って生活できるようにしてください。」ソウルのある賃貸アパートの住民からの手紙でした。悲しくて胸が苦しかったです。

     私は日程を全て中止し、その賃貸アパートに駆けつけました。3日間住民たちと一緒に生活しながら対話をしました。賃貸アパート住民たちの貧困と孤独、疎外が生んだ不幸でした。私は家のない人々の住宅問題として見ていた賃貸アパート問題について根本的に、総合的に検討し始めました。

     全ての分野の壁を崩して、部署の仕切りをなくしました。住宅室、福祉と医療を担当する福祉健康室、子供の面倒を見る女性家族政策室、町を生かす町共同体担当官等、8つの部署と関係専門家たちが顔を寄せ合わせて8か月間昼夜を問わず研究しました。

     その結果、賃貸費用を下げ、住民の負担を減らし、雇用を創出し、自ら貧困から脱出できるようにして医療、教育、介護までに至る総合対策を発表しました。市民との疎通と協力から得られた大事な成果でした。

     ソウル麻浦区ヨムリドンにはソグムキルという道があります。ここは昔から再開発予定地として犯罪発生率が非常に高い地域でした。犯罪率を減らすために直接訪問してインタビューをし、公聴会も開き、聞き取り調査も行いました。住民たちとの出会いを通じて生活スタイルを把握して見ました。主に女性とお年寄りが居住し、夜明けに帰宅する人も多かったです。

     犯罪率を減らすために我々は新しい方法を試して見ました。サービスデザイン技法を活用して夜遅く帰宅する人のための照明、鮮やかで明るい雰囲気が感じられる塀の色、いつも住民たちが往来できる健康コースを設けました。犯罪予防環境デザインセプテッド(CPTED, Crime Prevention Through Environmental Design)を活用したのです。犯罪発生率は減り、住民の満足度は高まりました。現場から答えを得て空間の革新を実現した結果です。

     ソウルは代表的なエネルギー消費都市です。福島原発事故はエネルギー政策について大きく省察する契機になりました。ソウルがエネルギーを作ることはできないのか。市民と共にエネルギーを節約し、エネルギーを作ろうと決意しました。「原発1基削減」事業、市民と共に太陽光発電所を作り、LED照明を交換しました。

     170万人の市民が参加したエコマイレージ会員は家庭から職場からエネルギー節約を生活化しました。「地球のために幸せな電気を消す運動」には子供や青少年も共に参加してくれました。ついに2014年6月、誰もが不可能だと思った原子力発電所1機の電力量、200万TOEを削減することに成功しました。世界から賛辞が寄せられました。「地域エネルギー政策の成功的なモデル」として世界が学びに来ています。

     ソウルの挑戦はまだ終わってはいません。「原発1基削減」第2段階事業が始まりました。電力400万TOEを減らし、温室効果ガス1,000万トンを減らします。このように市民と共にする行政、協力と革新の行政でソウル市は2013年国際連合公共行政賞、「市民参与促進分野」大賞を含む、4つの賞を受賞(優秀賞3つ)する栄誉をいただきました。特に大賞を受賞した「ソウル市民福祉基準」は基本計画の樹立過程から市民、専門家、公務員で構成された民官協力ガバナンスシステムを構築し、162回の会議を経て、「オンライン掲示版」、「1,000人の円卓会議」、「政策ワークショップ」、市民パネル団の「ソウル福祉やまびこ団」等、従来の意見を集約する方法とは異なる画期的で独自の過程を通じて社会的な合意を導いた「作品」でした。

     今やソウルは世界的なグローバル都市として浮上しています。都市競争力2年連続世界6位、観光分野では3年連続コンベンション5大都市になりました。またビジネストラベラーが選定した「会議しやすい都市」として2年連続で1位に上がっています。ソウルを訪れる観光客はすでに1,000万人を超えました。

     皆様、ソウルは日々新しくなっています。都市環境や市民の生活も改善されています。今やソウルモデルはソウル効果になり、世界21か国22都市に輸出されています。上水道、地下鉄、電子政府、エネルギー、気候等、ソウル市の数多い政策が世界のモデルになっています。

     ソウルはもう先進都市を希望するアジア開発途上国が憧れる都市になりました。皆様、「世界は夢を見る人々のものです。」私は人と会うたびにこのように言います。私の人生を振り返ってみると、私は常に私が目標とする夢を見て、それを実現する努力の連続でした。そして、その夢を必ず実現しました。その夢は果たして私一人の力で成し遂げたのでしょうか。ソウル効果は私一人の力で築いたものでしょうか。一千万ソウル市民と協力し、職人たちと協力し、多数の企業、機関と協力して実現した成果です。アフリカには「一人だと速く、一緒だと遠くへ」ということわざがありますね。より良い生活の答えは「共に」にあります。一緒に見る夢は実現します。

     皆様、ビルボードチャート2位まで上がったサイの「江南スタイル」をご存知ですね。ソウル市には「Mr.ウォンスンスタイル」があります。「Mr.ウォンスンスタイル」は「協力政治」と「革新」を通じて共に生きるソウルを築いていくことです。本日は私が歩んできた道と疎通と協力、協力政治と革新で新しいソウルを築いた経験について申し上げました。本日私の話が皆様の生活と共同体の問題解決に大きく役に立てばと願う次第です。

     皆様、ソウルを見守ってください。ソウルを応援してください。ソウルを訪問してください。ソウルは皆様と共にいます。皆様をソウルに招待します。共にしてくれる事を願います。ありがとうございました。

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