ソウルを訪れる海外観光客やソウル在住の外国人が、ソウルのインフラの中で特に絶賛するのが「安全」「清潔」「迅速」の3つの要素で知られるソウル地下鉄だ。実際、旅行情報サイト「トリップアドバイザー(Trip Advisor)」は、韓国観光で「絶対体験すべきこと」としてソウル地下鉄の利用を挙げている。
最近、プラットホームにホームドアがないニューヨーク地下鉄でサブウェイ・プッシュ(subway pushing)、すなわち「線路突き落とし魔」犯罪が発生した後、プラットホームの壁に張り付いて列車を待つ乗客の姿が公開され、ソウル地下鉄に再び注目が集まっている。
オ・セフン市長の在任中である2006年にホームドア設置が本格的に開始され、2009年には1~8号線全駅への設置を完了。今年でその取り組みから20年を迎える。当時、先進国でもまだ導入されていなかったホームドアを、全駅(262か所)に設置したことは画期的だった。また、設置を2010年に完了するとの目標を1年早く達成し、市民の安全を早めに守れた点が高く評価されている。現在、9号線や牛耳(ウイ)新設線を含む345か所の駅にホームドアが設置されている。
オ市長は、「ホームドア設置前は転落事故が頻繁に起き、最前列で列車を待つ市民が常に不安を感じていた」と話し、市民の安全と健康を最優先で守るべく、市長就任後直ちにホームドアの設置を進めたと述べている。その後もソウル地下鉄は進化し続け、海外からも高く評価され、韓国が誇れる存在となっている。
実際に、ホームドアが設置されたことで、市民の生活や安全には大きな変化があった。例えば、年間平均で37.1人(2001年〜2009年)の地下鉄事故による死亡者数が、2010年以降は年間平均0.4人(2010年〜2024年)へと大幅に減少した。
ホームドアが線路からの汚染物質や列車風を遮断したおかげで、PM2.5濃度も約20%減少した。ホームドア設置前のPM2.5濃度は、基準値100㎍/㎥を超える106.7㎍/㎥だったが、設置後は86.5㎍/㎥(2010年~2017年)まで低下した。
ホームの騒音も、設置前の78.3dBから72.1dBへと約7.9%減少。冷房効率も約30%上昇し、電力費用は1日6億ウォンから4億2500万ウォンへと約30%減少した。夏季の6月〜8月(92日間)の電力費用を基準にすると、年間で167億ウォンの節約効果があることが明らかになった。
また、ソウル市はプラットホームのホームドアの他にも、ホームと列車の間隔が広い曲線型ホームで発生しやすい、踏み外しによる転落事故を防ぐために、折りたたみ式の自動安全スロープも昨年から設置を開始した。今年末までに74駅589か所への設置を目指している。設置が難しい67駅413か所には、高輝度LED警告灯を設置し、乗客に注意を促す予定だ。
ソウル市交通室長は、「ソウル地下鉄はソウル市民が快適に地下鉄を利用できるよう、混雑緩和や地下鉄の空気質改善にも取り組み、市民の安全を守るための改善策を講じ続けている」とし、「ソウル地下鉄が市民のみならず、国内外の観光客からも引き続き高く評価されるよう、管理を徹底していく」と述べた。