- ソウルデジタル財団「人工知能基盤の下水管路欠陥検知システム」開発、来年すべての区に適用
- 人の肉眼でのモニタリング→AIが欠陥のタイプと位置を自動で判別し通知へ
- 検知の精度が高まり、判読時間が短縮されることで事故の予防と行政の効率化を図る
- 市が保有する5万枚の空港映像をAIに学習させ、建物の増改築などの変化を検知する事業も推進
ソウル市は、これまで人が肉眼で行っていた下水管路の穿孔や崩壊などの検知作業に、全国で初めてAI・人工知能技術を活用することを明らかにした。
ソウル市デジタル財団は、コンピュータに画像や映像を理解させる「コンピュータビジョン」を使って下水管路の監視カメラ映像から欠陥を自動で識別する「人工知能基盤の下水管路欠陥検知システム」を昨年、開発したと発表した。
下水管路の欠陥検知はこれまで、ソウル全域の全長9千㎞の円形下水管路の監視カメラ映像を検査官が一つひとつ肉眼でモニタリングしていた。そのため、かなりの時間とコストがかかるだけでなく、検査官の専門レベルによって検査結果にばらつきが出るなどの課題があった。
今後はAIが監視カメラの映像資料を判読し、下水管路の欠陥のタイプと位置を自動で識別して検査官に通知する。財団は下水管路の欠陥を10タイプに分け、監視カメラの映像データ(5千個)をAIに学習させていた。
ソウル市は「人工知能基盤の下水管路欠陥検知システム」が導入されれば、欠陥の検知精度が向上し作業時間も短縮されるため、事前に保守作業を行えるなど事故を予防できると期待を寄せる一方、現業の担当者の疲労を軽減し、行政の効率も大幅に高められるとしている。
財団は今年4月下旬、ソウル市の2区(広津(クァンジン)区・東大門(トンデムン)区)を対象に試験的に同システムを導入し、下水管路の欠陥タイプを19種類に増やして検知精度を改善するための研究を始めた。この試験的事業と研究結果を反映し、来年には市内のすべての区に拡大する方針だ。
また、ソウルデジタル財団は、AIで建物の増減や増改築によって建物が変化するのを検知する「航空映像都市建物変化検知データ」事業も6月からスタートさせる。これは、市が保有する航空映像を基に14万6千棟(総面積160㎢)、5万枚に及ぶ人工知能学習用データを構築し、都市建物の変化を自動で検知するAIモデルを開発する事業だ。
人工知能技術が導入されれば、少数の専門家が肉眼で建物の変化を判読していた業務が自動化され、業務の処理スピードが格段に上がる。判読精度が高まれば、無許可の建物が建設されていないか迅速に把握できる一方、こうした建物の崩壊や火災事故にも対応できることが期待される。
ソウルデジタル財団のイ・ウォンモク理事長職務代行は「ソウルデジタル財団は、都市行政の効率を高め、安全対策の欠如による事故を防止すべく、人工知能を適用した革新的行政システムを本格導入する。市政の革新課題の掘り起こしに留まらず、ソウル市における人工知能基盤行政サービスの安定的な定着に向け、試験的事業や実証研究にも努力を傾けている」としながら、「現場のニーズを反映し、実際に現場に適用できるレベルに技術を向上させ、人工知能基盤の革新的行政サービスの完成度を高めたい。人工知能を活用して業務の自動化を進めることで、行政の科学化と市民生活の質の向上を図る」と語った。