出典:https://mediahub.seoul.go.kr/archives/2013368
作成者:市民記者 イ・ソンミ
クァンジャン(広蔵)市場は、地下鉄チョンノオガ駅のすぐ近くにあり、ウルチロサガ駅からも歩いてアクセスできる。チョンゲチョン(清渓川)に沿って歩けるので、このルートもなかなか良かった。まだ残雪のあるチョンゲチョン(清渓川)沿いに歩いて階段を上り、セビョク橋を渡ると道路の反対側に長い列が見える。
チョンノ5ガ(鐘路5街)にあるクァンジャン(広蔵)市場は公共交通機関で簡単にアクセスできる。©イ・ソンミ
何を食べようか?クァンジャン(広蔵)市場への道中から美味しい食べ物がズラリ
コロナ禍以降、クァンジャン(広蔵) 市場に吹く変化の風に乗ってオープンした人気スポットのひとつに向かった。チェジュド(済州島)でも「パン巡礼地」として有名なベーカリーのソウル店「ABEBE BAKERYソウル」だ。並んで待っている人たちの了承を得て店内に入り、陳列棚のパンの写真だけ撮って出てきた。
チェジュ(済州)で美味しいと評判の「アベベベーカリー」のパンをソウルでも味わうことができる。©イ・ソンミ
チェジュ(済州)の特産品を使ったクリームパンで有名。©イ・ソンミ
クァンジャン(広蔵)市場の人気スポットの中にはチェジュ(済州)から来たベーカリーもある。©イ・ソンミ
1905年に朝鮮の商人たちから始まり、120年の歴史を持つクァンジャン(広蔵)市場には、まだまだ見慣れたものや懐かしいものがたくさんある。もともと織物や衣料品の専門市場として発展してきた名残から、韓服店やペベク(幣帛)という韓国の伝統婚礼儀式で使われる用品、死装束などを取り扱うところも多い。裏路地には端切れや副資材を売る店が立ち並び、最新アイテムを売る洋服店も目につく。
クァンジャン(広蔵)市場は1970年頃、織物や衣料品の市場として活況を呈した。©イ・ソンミ
今でも服のお直しをするミシンの音が聞こえてくる狭い路地に沿って中に入ると、ひっそりとした露店でお酒を飲む人たちの姿が目にとまり、昔ながらのぬくもりを感じる。すぐ隣のお店は、古くから有名なキンパプ屋。食べやすい一口サイズのキンパプをワサビ醤油につけて食べると、料理の相性とはこういうことかと思うほど美味しい。やみつきになる美味しさから「麻薬キンパプ」と呼ばれていたが、子どもや青少年が「麻薬」という言葉に親しみを感じるのは良くないという世論に配慮して「ミニキンパプ」に名前が変わった。
クァンジャン(広蔵)市場はあちこちに露店がある。©イ・ソンミ
一口サイズの「ミニキンパプ」も人気。©イ・ソンミ
長い間、クァンジャン(広蔵)市場の代表グルメとして愛されている緑豆ピンデトク©イ・ソンミ
カルグクスやピンデトク、ユッケなどの伝統的なグルメも人気だが、クァンジャン(広蔵)市場に新風を吹き込んだ新しいグルメの人気もすごい。いつからか、通行の妨げになるほど長い行列ができるようになったツイストドーナツがその代表例。シナモンパウダーをまぶした揚げたてのツイストドーナツの誘惑を振り切るのは大変そうだ。それに加えて、チェジュド(済州島)のベーカリー、キョンジュ(慶州)10ウォンパン、スクスチョコパイなども根強い人気商品となっている。見た目からして濃い緑のスクスチョコパイは、コムンド(巨文島)の潮風を受けて育ったヨモギで作られ、ノンサン(論山)で栽培されたイチゴを使ったチョコパイもある。全国各地の特産品と意外な発想がプラスされた新鮮な味が若者を攻略している。
コムンド(巨文島)産のヨモギで作るスクスクチョコパイの店は内装も緑色。©イ・ソンミ
クァンジャン(広蔵)市場で一番古い1号店は?
食べ物だけではない。変化の風はあちこちで起こっている。2024年現在でクァンジャン(広蔵)市場には5,628軒の店があり、開店順に決められた最初の店の場所にカフェ「イルホ(一号)商会」がある。カフェには「イルホ商会はクァンジャン(広蔵)市場で最も古い001号店を引き継いだ空間です」という案内が書かれていた。
クァンジャン(広蔵)市場にできた最初の店が、今では素敵なカフェになっている。©イ・ソンミ
クァンジャン(広蔵)市場で最も古い001号店を引き継いだ。©イ・ソンミ
60年間貴金属店だったところの変身!
60年間貴金属店だったところも「カフェオニオン」に変身した。すぐ道向かいにチョンゲチョン(清渓川)があって快適なこのカフェはすでに有名な場所だが、いろいろな意味で市場とよくマッチしていた。蛍光灯がそのまま見える看板から、ダンボール梱包用のテープをぐるぐる巻いた椅子、ダンボール紙にマジックで大雑把に書かれたメニューまで、市場の商人が昔から使っていたものをそのままインテリアに取り入れている。
座面に保温材をのせて上からテープをぐるぐる巻いた椅子がいかにも市場っぽい「カフェオニオン」©イ・ソンミ
ゼロウェイストのファッション雑貨店まで!
ゼロウェイストを実現するニットバッグの店も、100年の歴史を持つ市場に根を下ろした。韓国で発生する廃ペットボトルのリサイクル糸でプリーツをあしらったバッグを作るプリーツママのフラッグシップストアが、賑やかな市場の路地に並んでいる。
ゼロウェイストのニットバッグを作るプリーツママのフラッグシップストア©イ・ソンミ
バレンタインデーにちなんで可愛いハート型のバッグが陳列されている。©イ・ソンミ
ポップアップストアを見る楽しみ!
2023年の「チェジュ(済州)ビール」を皮切りに、ポップアップストアも次々と開催されている。これまでにマッコリとワイン、カキと麻辣トッポッキなど、幅広い品目を紹介してきた。2月20日まではアルメンイグミのポップアップストア「アルメンイ果物屋さんシーズン2」が開催される。
「グミを試食してシールを貼ってください。試食だけでもプレゼントを差し上げます」
市場らしい呼び込みの掛け声が聞こえ、老若男女問わず通りすがりの人たちがテーブルに置かれた小さなグミを試食していた。ブドウ味やスモモ味、キウイ味など、ぷるぷるのグミがタイムセールで格安に販売されることもあった。
100年の歴史を持つ市場の真ん中で期間限定のポップアップストアも次々と開催されている。©イ・ソンミ
ポップアップストアの奥には2021年にオープンした「365日市場」があった。可愛らしい商品は、ほとんどがクァンジャン(広蔵)市場で仕入れた材料を使っているとか。ところで、よく見るとまた面白いものがあった。「ポテト教」で販売している可愛いアイテム。「ノウォン(蘆原)シニアクラブ」のおばあさんたちと一緒に作った商品だという案内が書かれていた。後で「ポテト教」について検索してみて、ひとしきり笑った。
クァンジャン(広蔵)市場で仕入れた材料で作る「365日市場」の商品©イ・ソンミ
「365日市場」は、従来の市場とは見た目が一線を画している。©イ・ソンミ
「ポテト教」の商品は「ノウォン(蘆原)シニアクラブ」のおばあさんたちと一緒に作っているという。©イ・ソンミ
旅行プラットフォームのトリップアドバイザーが選ぶ「一人旅に最適な都市」ランキングでソウルが1位となった。クァンジャン(広蔵)市場は多くの観光客が訪れるスポットだ。
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ただ、ひどいぼったくりは忘れた頃に起こり、クレジットカード払いを拒否する店もまだまだ多いとか。そのため、韓国人は一度行ったら二度と行きたくないと言う場所でもある。実は少々厳しい目で取材をするつもりだった。ところが妙なことに、あれこれと指摘したり批判したりする気にならなくなった。時間とともに賑やかになるにつれて活気づく市場の雰囲気が心地よかった。
子どもも一緒に訪れるクァンジャン(広蔵)市場がもっと信頼できるスポットになればいいと思う。©イ・ソンミ
昨年は、クァンジャン(広蔵)市場の公衆トイレがユニバーサルデザインを取り入れて改善された。©イ・ソンミ
誰もが便利かつ安全に利用できるみんなのための公衆トイレに生まれ変わった。©イ・ソンミ
確かにソウルは観光客に必要な最強のインフラが整っている。これから必要なのはまた来たくなるまちづくりだ。ソウルがただ「ホット」な都市というだけにとどまらず、恋しくなり、また興味をそそられ、多彩な深みのある都市になってくれればと思う。まずは韓国人が愛してよく行く場所、そんな場所を外国人にも自慢したい。
あちこちに行列ができていたので、ユッケだけテイクアウトして持ち帰った。比較的空いている平日に、並ぶ覚悟でまたクァンジャン(広蔵)市場に行こうと思う。チェジュ(済州)の味が詰まったパンやシナモンの香りがするツイストドーナツも、並んで食べてみるつもりだ。
クァンジャン(広蔵)市場 ○ 位置:ソウル市チョンノ(鐘路)区チャンギョングンロ88 ○ アクセス:地下鉄1号線チョンノオガ駅8番出口、地下鉄2‧5号線ウルチロサガ駅4番出口から100m ○ 営業時間 |