ICLEIソウル総会 開催結果
2015年4月8日~12日にソウル市で「2015ICLEI世界総会」が開かれました。 4日間にわたってソウル広場とトンデムン(東大門)デザインプラザ(DDP)で開かれた同総会には12万7千人のソウル市民が足を運び、気候変動体験館の展示を鑑賞しました。また、26か国のバイヤー61人と韓国企業114社との間で291件の商談が行われました。 同総会には87カ国の204都市(市長76、副市長26、代表102)と190機関から過去最多となる出席者が参加しました。韓国からは、スウォン(水原)市やチャンウォン(昌原)市など36都市が出席し、気候変動問題への対応に向けて海外の都市と連携していくことで一致しました。 また、2020年以降の温暖化対策の国際枠組みの構築を前に、都市・地方政府の役割の重要性と気候変動への対応に向けた都市の実践分野9項目が盛り込まれたソウル宣言が採択されました。同宣言は、各都市の状況に合わせた気候変動対策実践計画のガイドラインとなります。 ▷具体的には、①低炭素都市づくり及び温室効果ガスの削減 ②回復力のある都市 ③効率的かつ生産的に資源を利用する都市 ④エコモビリティ・シティ ⑤スマート・シティ ⑥生物多様性都市 ⑦幸福で健康で包容力のある都市 ⑧持続可能な地域経済及び公共購買 ⑨持続可能な都市‐地域連携、の9項目です。 同総会の成果である「ソウル宣言」や「ソウル・アクションプラン」「首長誓約」などに参加する自治体の温室効果ガス削減実績などは、12月にパリで開かれる国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で世界各国のリーダーに伝えられます。 「ソウル・アクションプラン」には、IClEIや世界大都市気候先導グループ(C40)、都市・自治体連合(UCLG)など各自治体間の連携強化や首長誓約の履行・拡大に向けた自治体の温室効果ガスの削減目標と推進策、気候変動適応計画の策定及び力量開発支援などが盛り込まれており、マイケル・ブルームバーグ氏(国連都市・気候変動担当特使)や国連ハビタット(国連人間居住計画)と首長誓約(Compact of Mayors)の連携機関(IClEI, C40), UCLG)の支持を得ています。ソウル・アクションプランは、温室効果ガス削減に向けた具体的な対策と新たな実行力を確保する重要な契機となるでしょう。 国連ハビタットのジョアン・クロス事務局長は、「気候変動への対応に向けたソウル市の公約に83万人のソウル市民が賛同したことに大きな感動を受けた。世界各都市は気候変動問題の解決に向けたソウル市の取り組みを手本にすべき」と述べました。 また、UNFCCCダーバン・プラットフォーム特別作業部会のアフメッド・ジョグラフ共同議長は、「ソウル宣言は、パリで開かれるCOP21で実質的な目標、計画、履行の良い事例になると思う。ICLEI会長が首長を務めるソウル市の取り組みと各都市の履行の意思をCOP21でしっかり伝えたい」と述べました。 国際自然保護連合の章新勝総裁は、「ソウル市は、都市の持続可能な成長において国際社会に誇るべき素晴らしい事例を残してきた。重要なのは北東アジアの連携とエネルギー改革だ。中央政府はもとより、ソウル市のような地方政府と企業、市民団体、メディアが協力してこそ、危機に直面する地球の運命を変えることができる」と述べました。 <パク・ウォンスン(朴元淳)市長 ICLEI会長の任期は2018年まで> ソウル市のパク・ウォンスン(朴元淳)市長が、世界最大の都市ネットワーク「ICLEI」の次期会長に選出されました。アジア圏からの選出は初めてで、今後3年間(2015年~2018年)、ICLEIの会長として関連の理事会や世界執行委員会などを主宰するとともに、国連総会や国連気候変動枠組条約締約国協議、主要政府間会議、ハイレベル国際会議などに出席して気候変動への対応に向けて協力を呼びかけます。 パク市長は開会式で、「ソウル市の優れた持続可能な都市政策を加盟都市と共有するとともに、加盟都市の優秀事例を発信できるよう、ICLEIのプラットフォーム機能を強化していく計画だ。人類が直面する資源枯渇や環境破壊、気候変動といった問題の解決には都市間の連携ネットワークが欠かせない」と強調しました。 <4月9日:行われた輸出商談は291件> ソウル市のザ・プラザホテルで開かれた「気候変動対応環境プロジェクト商談会」では、26カ国の発注先61社と韓国企業114社が参加して輸出商談が行われました。ICLEI世界総会を機に、ソウル市と大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の共同主催で開かれた同商談会は、韓国の優れたエコ商品やグリーン技術の紹介と海外販路開拓を目的に開かれ、291件に上る受注商談が行われました。 ○主要参加現況(26カ国の発注先61社) ー東南アジア・大洋州(14)、欧州(12)、中国(9)、アフリカ(8)、CIS(6)、中南米 (5)、西南アジア(4)、北米(1)、日本(1)、中東(1) ー気候変動対応プロジェクトを展開する地方政府及び公共機関と年間売上1億ドル 以上のグローバルバイヤーの80%以上が参加 中でも、下水処理(34%)、廃棄物処理(22%)、風力(7%)という順位が示す通り、下水処理と廃棄物処理のプロジェクトへの関心が非常に高かったです。ベトナム・フエ市(水資源環境開発プロジェクト管理局)の2億245万ドル規模の水質改善プロジェクトやタンザニア(首相府、ワールドバンク・ファンディング)の1,700万ドル規模の7都市におけるゴミ埋立地建設プロジェクト、モンゴル南ゴビ地域(Newcom Group)の1億1,500万ドル規模の風力発電所建設プロジェクトなど、大型プロジェクトの商談も多く行われました。 <4月10日:世界都市サミット市長フォーラム> 「世界都市サミット市長フォーラム」では、ヨハネスブルグ、モントリオール、サン・ラファエル、ナント、パリの5都市が、それぞれの事情に合わせて取りまとめた温室効果ガス削減に向けた実践方策を発表しました。今回のソウル総会で、モントリオールやパリ、バンクーバー、ベクショー、セベランぺライ、ダーバン、ツワネ、メルボルンなど36都市が新たに首長誓約への参加を表明しました。 ソウル市は、「気候変動への対応に向けたソウル市の公約」を掲げ、温室効果ガスを2030年までに40%削減(2005年比)すると発表(4月7日)するとともに、2020年までに1千万トンを削減するための「1人当たり1トンCO2削減キャンペーン」を推進中です。 特に、カナダ・モントリオールは同日、カナダの都市としては初めて首長誓約に参加することを表明し、エネルギー供給の9割以上を再生可能エネルギーで賄う方針を明らかにしました。また、1990年の水準に環境を回復させるために、2020年までに温室効果ガスを30%削減するという具体的な計画を発表しました。 「首長誓約」と「ソウル宣言」がガイドラインと宣言であるのに対し、「世界都市サミット市長フォーラム」は各都市が温室効果ガス削減目標とその実践方策を提示するという点で異なります。各国の合意に先駆け、同フォーラムで都市・地方政府が自主的に温室効果ガス削減目標を掲げることで、より強化された「各国が自主的に決定する約束草案(INDCs、Intended Nationally Determinded Contribution)」が国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に提出されることが期待されます。同フォーラムは、フォーラムの定例化とともに、より多くの都市に参加を呼びかけ、「首長誓約の拡散を通じ、ポスト2020に向けた気候変動問題への本格的な取り組み」を目指す方針です。 一方、各都市の首長約70人は、エネルギー守護天使団、企業、市民団体、市民とともに、「Stop CO2, Save the Earth」を叫びながら、トンデムン(東大門)中心街の歩行者専用道路を練り歩きました。 「気候変動への対応に向けたソウル市の公約」は、温室効果ガス削減のアクションプランを市民社会に提示するとともに、オン・オフラインで市民の様々な意見を集約し、ソウル研究院が専門性を補完してソウル市の行政支援によって策定された10分野(▴エネルギー ▴大気 ▴交通 ▴資源 ▴水 ▴生態 ▴都市農業... Read more
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