ソウル路7017、1年で訪問客数1千万人突破、歩行・展望に満足
– 1日平均2~3万人が訪問…韓国人の満足度7点満点中5.49点、外国人83.8%が満足 – 南大門市場の訪問客20%増加…縫製、手作り靴など地域産業活性化に向けた積極的な協業 – 人工地盤上の花や樹木の1年後の生存率95%、年間7㎏のPM2.5低減で「小さな都心の森」効果も – 聖火リレー、パレードなど多彩なイベント計1,305回開催、8千人のボランティア参加 – 英ガーディアン紙、米CNNなど世界が注目、北京市長などベンチマークのために韓国・海外の都市関係者の訪問相次ぐ 「ソウル路7017」が、1周年を迎える5月20日を前に、訪問客数1千万人を突破する見込みだ。週末は1日平均約3万人、平日は平均約2万人が訪問し連日にぎわいを見せており、約200万人の外国人も訪れている。20代(26.1%)と30代(23.9%)の訪問が最も多く、ソウル路に入るソウル駅広場(41.1%)南大門市場(19.7%)が圧倒的に多かった。外国人訪問客は、台湾(18%)、日本(13%)、香港(10%)などアジア圏の割合が高く、欧州は、米国(10%)、カナダ(3%)、フランス(3%)の順だった。(資料:2017年5月~2018年4月、ソウル観光財団調べ) これまでに南大門市場の訪問客が約20%増加し、縫製・手作り靴など地域産業の活性化に向けた公共・大学・商人間の協業も積極的に行われている。平昌冬季五輪の聖火リレーやファッションショー、パレードなど多彩なフェスティバルやイベントがおよそ1,305回も開かれ、四季を一巡した後も人工地盤上の花や樹木の生存率は約95%と、都心の中の小さな森の役割も果たしている。 ソウル研究院が調査したところ、訪韓観光客のソウル路に対する満足度は、5.49点(7点満点)で、主に休憩、散歩、展望などのために足を運んでいることが分かった。また、ソウル路訪問前後に訪れた場所は南大門市場(38.6%)、ソウル駅(23.9%)の順だった。(資料:2017年9月から12月まで訪問客900人、地域住民・商人・会社員121人を対象に行ったアンケート調査) 商人や地域住民のうち、ソウル路7017について肯定的に評価している人は63.6%だった。地域訪問客の変化(3.85点/5点)、地価の変化(3.99点/5点)、賃貸料の変化(4.06点/5点)などは今後さらに良くなるだろうと答えている。また、ソウル路造成後の暮らしに関する変化について聞いたところ、「会賢洞~萬里洞など地域間の移動が便利になった」(3.60点)、「都市再生事業への関心が高まった」(3.56点)という項目で評価が高かった。 外国人訪問客の満足度は全体的に83.8%と高水準だった。内訳をみると展望(89.3%)、安全性(87.9%)、歩行環境(86.5%)、周辺観光地との連結性(86.0%)、樹木(85.5%)などに対する満足度が高く、食べ物(72.6%)や化粧室(67.9%)は改善の必要性が見受けられた。(資料:2018年4月、外国人500人を対象にしたアンケート調査、(株)ワールドリサーチ) 回答者の49.4%が、撤去ではなく都市再生を選んだソウル路の意味を知っていた。ソウル路に対するポジティブなイメージは、51.2%(訪問前)から96.6%(訪問後)と大きく伸び、回答者の84.1%が他の人に積極的に勧めたいと答えた。ソウル路が今後観光名所になる可能性については、「すでに観光名所だ思う(31.2%)」という意見と「今後名所化すると思う(58%)」という意見が圧倒的に多かった。 ソウル市は「ソウル路7017開場1周年」を迎え、▲地域商圏 ▲自然・生態 ▲フェスティバル・イベント ▲海外の関心 ▲市民の参加など、これまでの道のりを総合的に振り返り、不足しているところは改善し、ソウル市民のみならず世界の人々に愛される都心の中の歩行・休憩空間として位置づけられるよう取り組んでいきたいと話している。 <産学官協力で西界洞の縫製、塩川橋の手作り靴など地域産業の活性化を支援> ソウル路7017が地域再生の拠点として浮上したことで、地域住民と周辺商人にとってソウル路は生活の一部になりつつある。南大門商人会によると、ソウル路開場後、最近は市場の訪問客が前年比20%程度増加したという。縫製(西界洞)、手作り靴(塩川橋)などソウル路周辺地域をベースにしている地域産業の支援に向けた共生協力も地道に進んでいる。 南大門市場でパーティーやイベント用品を販売しているオ・ヨングンさん(60歳)は「ソウル路ができてから南大門市場の流動人口が増え、食堂街や飲食店の売上が上がった」とし「最初は渋滞で不便だったが、徒歩で利用しやすいためむしろ良い効果をもたらしていると思う」と肯定的な評価をしている。 ソウル路と職場がつながっているホテル・マヌ(Hotel Manu)の社員、Ruzieba Elnaraさん(ウズベキスタン、21歳)は「ソウル路のおかげで出勤時間と退勤時間が短くなった。また、様々なストリート公演やイベントなどが見られて楽しい」と話す。 <人工地盤上の288種の花や樹木、季節一巡後の生存率95%、今は都心の小さな森> また、ソウル路内にある288種、13,866本の樹木、95,391本の花やつるは、四季が一巡りした後も95%の生存率を維持しており、現在の環境に定着しつつある。とくに、万里洞広場を「PM2.5フリーゾーン」に指定し、粒子状物質の低減効果の高い松の木、ツツジ、草花類など計4,182本を植えた。 山林科学院のパク・チャニョル博士によると、ソウル路の花や樹木は喬木(649本×35.7g×30%)を基準に年間7㎏の粒子状物質を低減しているという。つまり、都心の歩行路でありながら、他都市にある森の約30%程度の機能を果たす「小さな森(リトルフォレスト)」としても効果を発揮している。 <フェスティバルやイベント1,305回開催、127万人参加…国際文化交流の舞台として注目> また、ここ1年間ソウル路7017では計1,305回の大小のフェスティバルやイベントが開催され126万7,092人の市民が参加した。特に1㎞におよぶ都心の中の歩行路であるソウル路のアイデンティティと象徴性が現れる「ウォーキング(ソウルウォーキングデーなど)」、「パレード(サンタ帽の大行進など)」といった行事は、周辺地域の一般会社員や地域住民を対象とした日常プログラムとして大きな反響を呼んだ。6つのストリートパフォーマンスフリーゾーンでは、市民芸術家による計160回の公演が行われた。 <英ガーディアン紙、米CNNなど世界が注目、北京市長など国内外の都市関係者も訪問> 車道を歩行者専用の緑の道に再生し市民のもとに返したソウル路7017ならではの物語は、韓国はもとより世界中から注目を浴びている。英ガーディアン紙など有力メディアがソウル路を取り上げるなど世界中に伝わり、北京の陳吉寧市長をはじめ海外の都市関係者や行政担当者たちの訪問が相次いでいる。英ガーディアン紙は、3回(2017年7月17日、8月15日、11月3日)にわたりソウル路の造成過程、意味、都市の変化に与えた影響などを取り上げた。米CNNは2017年8月9日に放映された歩行路造成の世界的なトレンドを取り上げる企画番組で、ソウル路を最も新しいバージョンのハイラインとして紹介し、ソウル路を取り巻く様々な意見を具体的に伝えた。 <市民ボランティア8千人が2万時間活動、保全に取り組む「緑の散策団」174人を養成> ソウル路を育て率いていく力の中心をなすのは市民ボランティアと周辺地域の企業の参加である。この1年で約8千人(個人325人、企業・団体520人)のボランティアがソウル路の運営に直接ないしは間接的に参加し、ボランティアの総活動時間は約2万時間に上る。さらに、運営においてもっとも大事な原則は一にも二にも「安全」であるだけに、「安全」に最も注力し24時間体制(警備要員31人、3交代勤務)で警備を実施しており、高画質の防犯カメラ41台を設置・運営し常時モニタリングを行っている。また、全社員と警備要員を対象に安全マニュアルと応急処置の教育を実施し、非常時に迅速に対応できるよう備えている。
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