メインコンテンツに移動
  • ソウル市ニュースレター購読 刊行物
  • visiting seoul?
T T

[2012] 市長挨拶


地域住民と共に生きるということです

ヨンドゥンポ(永登浦)過密集住地域の現場訪問 月日:2012年2月3日 場所:ヨンドゥンポ(永登浦)の過密集住地域 パク・ウォンスン市長 住民の皆様はどうですか。寒い部屋への対策があったようですが。 住民代表 道路を舗装して頂いたり、屋根を修理して頂いたり、煉炭をたくさん頂いたり、いろいろして頂きました。 永登浦区長 そして今回は水道メーターを分けました。 パク・ウォンスン市長 それから、そのときに区長が計画された再開発は、どちらにしても時間がかかりますからね。仮にそうなったとしても、この地域は残さなくてはいけないでしょう。 永登浦区長 力のない過密集住地域の住民たちが再開発のためにばらばらになってしまうのは残念なことですから、その方たちは開発政策が展開されてもここで暮らせるようにしたいと思います。 キム・ギョンホ本部長 それが市長の哲学です。 パク・ウォンスン市長 全てなくしてしまおうということではなく、大きい建物を建てろというのでもなく、地域と共存しようということなのです。トイレやメーターなど改善されたものもありますが、自分の目で見ると胸が痛みます。本質的に住居の質といった部分が改善されなくてはいけませんね。先日、区長が全体を再開発するとおっしゃいましたが、それが実行されてもされなくても、その地域の特徴を大切に守りながら、住居の質や町全体がよくなる方法がないか、考える必要がありますね。 地域の牧師 まず当面の問題の一つは、高齢者が多いということです。高齢者が休める空間をたくさんつくる必要があります。 パク・ウォンスン市長 そうした点で、先生のような牧師や地域活動をする方々がもう少し具体的なアイデアと設計を出してくだされば、私たちや本部長、住宅室と一緒に進めていける部分があるかもしれません。 永登浦区長 もう一度検討してみます。 イ・ジョンヒョン記者 昨日ホームレス施設を訪問した際に、こうした場所は野宿の直前の段階にあたるので、もっと管理に気を使わなければならないとおっしゃいましたが、どんな対策がありますか。それから、雇用はどうしますか。 パク・ウォンスン市長 雇用は様々な側面で検討する必要があります。若年失業もホームレスも背景は同じです。日雇いが減っていますから、大規模土木事業などは建設景気が良い時はいいですが、その代わりとなる雇用が継続して生まれてこなければなりません。都市農業や公害対策といった職業などです。これが従来型商圏の再生などにも関連してきますし、私たちが話した町の共同体事業も同様ですね。それが町内での雇用にもつながります。先日の「優しい企業」もソウル市の購買力で変化をもたらそうという試みです。全面的に検討するよう指示したところです。
SMG 1,485

住まいは人権です

ニュータウン・再開発問題収拾案に関する記者説明会 月日:2012年1月30日 会場:ソウル市庁西小門庁舎ブリーフィングルーム ソウル市民の皆様、本日私は悲壮な思いでここに来ました。市長就任以来、一番辛い気持ちでこの場に立ちました。 本日は、再開発40年の歴史と、ソウルを投機ブームと工事現場で覆いつくしたニュータウン10年の歴史に区切りをつける日です。私たちは今、もつれた糸のように複雑化したニュータウン問題を解決すべき切羽詰った時期を迎えています。同時に、住宅地再生事業の新しい時代を切りひらくという約束と道筋を明確にすべき段階に来ています。 ニュータウンと再開発を合わせると1300カ所以上。ソウルはごちゃごちゃになりました。なぜこうなってしまったのでしょうか。いったい誰のための、何のためのニュータウンだったのしょうか。その結果、私たちは何を失い、何を得たのでしょうか。 まるで金の卵を産むガチョウのように、政治家は先を競って票を得ようとニュータウン指定を選挙公約に掲げました。地主と投機家、そして私たち一人ひとりが彼らを煽りました。一獲千金の期待を抱き、全国、特にソウル全体が投機ブームに巻き込まれました。これを適切に制御すべき地方自治体と政府は役割を果たせませんでした。今こそ、政界や行政、そして投機家など、私たちみんなが反省すべき時期です。 振り返ってみると、過去40年間の整備事業は、「開発と成長」という理念の下、必然的な産物というにはあまりにも胸の痛む犠牲を要求してきました。社会的弱者、すなわち零細家主と借家人の住居権と生存権の犠牲を踏み台にしてきたのです。所有者と勝者だけが支配する構造でした。先祖代々あるいは長く近所同士で仲良く暮らしてきた人々を、古くて生活に不便だからといって町から追い出し、崖っぷちに立たせたのです。巨大資本と地主だけが主体となって施行された再開発ニュータウン事業により、零細家主や借家人はより劣悪な地域を探してあちこち歩き回らなければなりませんでした。それだけではありません。各事業の段階ごとに同意書を求める過程や書面決議、総会開催といった事業施行の過程における非正常と不合理はすでに慢性的かつ固定化し、修正がきかない状況にまでなってしまいました。いわゆるOS要員を動員し、情報と判断能力が足りない組合員を懐柔したり、金品で買収したりしました。請負業者を動員し、行き場のない人を無視して強制撤去を行い、総会秩序を維持するという名目で威圧的な雰囲気をつくって自由な意思表示を阻むなど、列挙することも難しい問題が潜むようになりました。 こうしたニュータウン整備事業を通じて私たちが失ったものと得たものは何でしょうか。投機家と投機資本に追い出された住民たちは都市難民となりました。町のコミュニティは解体し、町の商圏は跡形もなく消えました。庶民が住める安い住宅がなくなることで、周辺地域の家賃は暴騰しました。結局、「マンション共和国」という汚名を得るために、私たちは多くの価値を根本から破壊し、かき消してしまったのです。それが成長だと信じていました。貪欲のためだったのです。 私は市長に就任してから3カ月間、ソウル市内をくまなく視察して回りました。目を疑うような場面を多く目撃しました。イムン(里門)洞再開発地区の祖父母が孫を育てる家庭、ヨンドゥンポ(永登浦)区ムンレ(文来)洞、タプシムニ(踏十里)洞の古い住宅街、横たわることすらできないほど狭い部屋で暮らす人々。社会が関心を持って面倒を見るべき多くの人がいました。それなのに、彼らはニュータウン・再開発によってもうすぐ追い出される立場にあります。どこへ行けばよいのか、彼らにも私にもわかりません。できることなら、全てを元に戻したい思いです。 敬愛なるソウル市民の皆様。これまで大きな痛みを味わってこられたことでしょうか。ニュータウン再開発によって苦しんでいる市民の皆様に対し、市政の責任者として心より深くお詫び申し上げます。 深く悩み考えました。しかし、法的な限界がありました。各界各層の多くの方に会って話を聞いたり、諮問を受けたりしました。私たちができる範囲で全力を尽くして最大限の策を探りました。しかし、みんなが満足できる解決策を見出すことはできませんでした。遺憾であり、申し訳ない気持ちでいっぱいです。 しかし、これで終わりではありません。これからが本当の始まりです。ニュータウン再開発による痛みと苦しみが消える時まで、あらゆる手段と方法を駆使して解決策を模索してまいります。 私にとってこの3カ月は3年のように感じられました。多くの人との対話と傾聴を通じて実状を把握し、政府と国会を説得して制度をつくり、それを土台に収拾案を模索してきました。様々な声を聞きました。賛成派と反対派、そして区長にもお会いしました。昨年末に収拾のための法的な土台づくりをしたことが、不十分な中でも慰めになったと思います。 ソウル市はニュータウン・再開発問題を収拾する大きな枠組みと方向性をこのように決めました。まず、実態調査と並行して対立関係の調停を実施し、地域の実情に明るい区長と責任を共有しながら役割を分担して問題を収拾していきます。ニュータウン再開発を継続するか解除するかの判断において、住民の意見をできるだけ尊重します。 これまで進められてきたニュータウン再開発事業は、正確な情報、すなわち個別分担金がどの程度になるのかという明確な情報提供もないまま事業に同意した側面があります。まずは客観的な調査機関を通じて正確な実態調査を実施します。その対象は、現在の予定区域段階から組合が設立されている区域までの610区域です。対立関係や実態調査の過程で発生する対立を調停する対象は、施行中のすべての区域866カ所を対象とします。実態調査は市長と区長が分けて実施します。推進主体の有無と責任・権限によって役割分担を行います。実態調査にともなう手続きは、透明で正確な実態調査と客観的で合理的な意見の取りまとめを経て進め方を決定します。実態調査の結果を十分に公示した上で、住民の多数が望めば継続します。 行政支援と制度改善を通じて推進できるようにします。この過程で公共管理制度を拡大するだけでなく、必ず零細家主や借家人への対応も強化されるよう制度を改善していきます。継続的に推進する地域でも借家人の住居権は絶対保障されなければなりません。法的に借家人対応の対象とならず、これまで対応から除外されていた生活保護者には公共賃貸住宅を供給する予定です。賃貸料は永久賃貸マンションの水準とします。借家人がまた地元に帰って暮らせるように、まず移住する際には近隣の再開発の空き家に入居させ、事業が終われば元の地域にある賃貸住宅に戻って暮らせるシステムを構築します。また、冬季など悪天候の多い時期は移住と撤去を禁止します。これまでニュータウン再開発事業の過程で無視されてきた零細家主や借家人の意見を事業計画に反映させます。多数が望まなければニュータウンは解除します。その地域は住民が希望すれば、共同体が維持されるまちづくり事業などに切り替えて市が支援・推進します。解除地域は代案となる事業を推進できます。共同利用施設などその地域のインフラ整備を支援して家の修理費を融資するなど、まちづくりと小規模整備事業に対する行政支援を惜しみません。 全過程で葛藤管理を実施します。実態調査や住民意見の取りまとめ、区域解除の是非などを決める過程で発生する葛藤については、住居再生支援センターを設置して調停案を提示します。葛藤調停委員会はすでに運営されています。 しかし、今この瞬間にも、言葉で表現できないほど大きな限界と物足りなさを感じています。組合解散にともなう費用処理問題は、いまだに支援の規定がありません。それにともなう新たな葛藤が予想されますが、今はどうすることもできず残念です。最も責任の重い政界や政府はすべての費用を地方自治体に押し付けています。最も不十分な店舗・住居借家人への対応もまだ道のりは遠いです。 私はソウル市の首長として政界と政府に強く求めます。政界と政府は私たちとともに責任を感じなければなりません。政界と政府は地方自治体と必要な財源を共同で分担しなければなりません。政界と政府は様々な代案モデルを共同で開発しなければなりません。特に、昨年末に改正した関連法の不十分な部分も、政府と国会が積極的に早期に解決していく必要があります。 また、借家人の意見が区域指定や事業計画策定の段階で反映されるよう、当事者に参加する機会を保障しなければなりません。店舗入居者に対しては生計が脅かされないよう、実質的な補償がなされなければなりません。推進主体が解散する場合には、彼らが使った一部の費用の補助を地方自治体だけに押し付けるのでなく、中央政府も相当部分を分担してしかるべきです。このような要求を政府と大統領に建議します。まだ不十分な部分もソウル市主導で改善し、新しい国会が始まる5月までに改正案を準備して国会に協力を要請していきます。 ソウル市は「住まいは人権だ」を宣言します。従来の投資家を中心とする、開発利益の視点に立ったニュータウン再開発を、居住者を中心とする人間の視点に立ったものへと方向転換します。 全面撤去を要求する住宅供給中心の政策はもうソウル市では採択しません。人間を中心とする住居地管理と共同体回復がその根幹となるでしょう。全てに優先して「人」を尊重する政策を立案・施行してまいります。このような状況に至らせた原因提供者であるソウル市はもとより、自治区や政府、政界、建設会社、施行会社、組合など全てが共同責任者として市民に謝罪し、深く反省しなければなりません。そして問題の収拾に向けて共に努力していかなければなりません。 再度申し上げます。私が市長として在職している限り、これまでのような全面撤去方式の事業慣行を完全に変え、豊かな人と貧しい人、過去と現在が調和でき、共同体のエコシステムが維持された持続可能な住宅地になるような方式で再生できるよう取り組んでまいります。 私が市長として在職している限り、冬のある晩突然撤去が強行され、庶民が涙を流すことのないようにします。私が市長として在職している限り、今後新たに指定されるニュータウンはもうありません。ありがとうございました。  
SMG 1,339

市民の心の拠り所になります。

2012年の年頭挨拶 日付:2012年1月2日 場所:世宗(セジョン)文化会館 「市民の心の拠り所になります」 市民が中心となるソウル市政、共に作り共に享受するソウル市 親愛なるソウル市民の皆様、そして、ソウル市の職員の皆様、2012年壬辰の年、明けましておめでとうございます。天高く昇っていく黒竜の気運にあやかり、市民の皆様のご健康をお祈り申し上げますと共に、皆様の希望がかなう一年になりますよう祈念いたします。 昨年は、韓国社会にとって大変厳しい一年でした。まるで開発時代にさかのぼったかのように成長だけを追い求める歪んだ政策の下で、世の中は勝ち組を中心に動き、格差社会が深刻化した結果、閉塞感が漂う一年となりました。 その中でも歴史の歯車は回り続けています。「勝ち組だけが生き残る世の中はもうごめんだ!」「そういう世の中は結局皆を負け組にするだけなので、これからは私たち皆が一丸となって共に生きていける世の中をつくろう!」これが、補欠選挙の際に浮き彫りになった市民の熱い思いであり、時代が求める確固たる精神です。自分に与えられた使命でもあります。就任してわずか2ヶ月で迎える新年です。ソウルという巨大な船の針路を時代の精神に合わせて正していくには、この2ヶ月という時間ではとても足りません。10年近く見せかけだけの海図に頼りすぎて航海し続けてきた船だからなおさらです。 しかし、ソウル市の職員の皆様のご労苦と市議会のご協力で、針路変更のための準備は終えたと思います。まず、環境配慮型給食(環境に優しい食材で作る給食)の無償化を妨げていた足かせを取り除き、ソウル市立大学の授業料半額化で教育革新の扉を開きました。市長室を開放し、現場に出向いて市民とのコミュニケーションの間口を広げました。2012年の予算を全面的に見直し、見せ掛けのためのバラマキ型事業、土木建築事業への予算は排除し、福祉と安全分野の予算を増やしました。ソウル市の組織も福祉、安全、雇用中心に再編しました。大がかりな人事異動を行い、ソウル市庁と各区役所に新しい風を吹き込みました。車の両輪のように連携が必要な市議会との混迷を続けていた関係も正常化しました。 市民の皆様、そしてソウル市の職員の皆様、このような準備を基に今年は「市民を中心とするソウル市政」、「共に作り、共に享受するソウル」を本格的に切り開く最初の年になると思います。 政治や経済が置かれた現実と各種指標を見ると、今年も市民と市庁の台所事情は依然として厳しいものになる見通しです。庶民の生活がよくなる景気回復の兆しは見えず、社会の二極化に伴う対立と歪みもそう簡単には消えないでしょう。生活の困難は誰もが抱える問題でありますが、その中でも特に社会的弱者にかかる負担はより大きくなります。 「デザイン・ソウル」という派手なスローガンの裏には、苦しみを余儀なくなれるたくさんの人たちがいます。その一面を私はクリスマス直前の二日間、徹夜で現場を歩き回りながら目にしました。そこには、母親とともにモーテルでの生活を余儀なくされながら、学校に通っている子どもたちがいました。ホームレスになる寸前で、一坪にも満たない考試院(コシウォン、本来は学生が試験勉強をするための部屋を指すが、最近では勉強目的ではなくても入居可能となっている)と呼ばれる部屋での生活を余儀なくされる人もいました。考試院という不安定な環境で暮らしているソウル市民は約60万人にも上ります。病気を抱えたまま、古紙を拾い集めて生活しているお婆さんもいました。このお婆さんは寒さの中でお孫さんと共に電気毛布一枚に頼って冬を凌いでいます。それすらもニュータウン再生事業が進んだら失ってしまうかもしれません。もしそうなると、お婆さんの体調が悪い時に、代わりに古紙や空き缶を集めてくれたり、家の前にそっと牛乳一パックを置いておいてくれる、優しい近所の人さえも共に消えてしまうでしょう。いったい、そのお婆さんはどこへ行けば良いのでしょうか。モーテルで生活している子どもたちはどこに希望を見出すのでしょうか。そもそも、ニュータウン再生事業は誰のためのものなのでしょうか。 尊敬する市民の皆様、そしてソウル市の職員の皆様、政府があって市役所がある理由は、小さな力ではあっても大切な人たちの生活を心配し、守り、助けるためです。しかし、韓国の政府と市役所は成長だけにこだわりすぎたり、あるいは「デザイン」や「ルネサンス」、「開発」に目がくらみ、一般の人たちの生活や日常生活の大切さを見失ってしまいました。そうしているうちに、ソウル市は彼らのささやかながら大切な生活を奪っていく都市と化しつつあります。私は、こんな都市が怖くてたまりません。その怖さはどんどん広がります。ソウルは社会的弱者を苦しめるだけでなく、中間階層の人たちの生活基盤まで揺るがしてしまいました。痛みを知り、それが怖いと思うなら、直すために行動しなければなりません。希望を見つけなければなりません。いや、自ら生み出さねばなりません。それが、ソウルという同じ空の下で暮らしている私たち皆がすべきことであり、政府とソウル市が果たすべき任務なのです。 しかし、政府とソウル市が虚像に目を奪われている間に、厳しい生活を余儀なくされる人たちを守ってくれたのは、ほかならぬ市民たちでした。80歳を過ぎても、毎日欠かさず、恵まれない人たちにお弁当を届けるお婆さん、自分自身も人の親であり、一家を支える大黒柱であるはずなのに、自分のことよりもっと厳しい生活を余儀なくされる近所の人たちのために、ささやかな救いの手を差し伸べる人、冬休みに入って給食を食べられない子どもたちに、食事を提供する近所の飲食店のオーナー、こうした人たちこそ、官公庁がよそ見をしている間に、ソウルとソウル市民を守ってくれた本当のヒーローです。私はその中で一筋の希望の光を見ました。まさにここに「人が中心となるソウル市政」、「共に作り、共に享受するソウル」の姿を見つけました。 「人が中心となるソウル市政」において、市民は顧客ではなく市役所は企業ではありません。市民はPRマーケティングの対象ではありません。主権者なのです。誰かに従わせられたり、教えられたり、また制限されたりする、施しの対象ではなく、福祉を享受する権利を持つ、市政の主体です。ソウル市政が追求すべきものは効率、創造、デザイン、ルネサンスではありません。これらは目的ではなく、手段です。市政が本当に追求すべきなのは、市民一人ひとりの幸せと平和です。育ち盛りの子どもたちや学生、子育てに苦しむ母親、就職活動にいそしむ若者、老後を心配する中高年など、彼ら皆の生活を支えることに市役所が存在する理由があります。一言でいえば、人が中心となるソウル市政は、厳しい生活を余儀なくされる市民たちのための憩いの場、拠り所にならなければなりません。 さらに、そうした憩いの場は、市役所だけでは意味がなく、市民と共に作っていくべきです。そうしてはじめて、共に享受することができるのです。2012年、我々はこのように人が中心となるソウル市政を始めます。共に作り上げていく市政には、もちろん利害の衝突や対立も生じるはずです。晴れた日は雨具屋さんが泣き、雨の日は陶器屋さんが泣くといわれます。公共の場での喫煙問題、ソウル市庁前のスケート場設置などの問題でも利害がぶつかり、対立が生じてくるものです。 対立を調整、予防、緩和することこそが、市役所の任務です。かつては目の前の成果にこだわり、対立を生むことを承知の上で、ニュータウンや再開発の事業をむやみに推進していました。我々は二度とそんなことを繰り返しません。しかし、様々な問題が複雑に絡みあっている再開発事業やニュータウン事業を巡る利害や対立を解決しなければならない課題を抱えています。かなり難しいことだと思いますが、一緒に悩み、一緒に話し合って必ず解決策を見出せるよう努力します。 もうすぐ3カ年計画について発表する機会があるかと思いますので、本日この場では2012年に着手する幾つかの重点課題についてお話させていただくことで、市政計画の話に代えさせていただきたいと思います。 2012年における市政の重点目標は、人と福祉が中心となる新しい市政を進めることです。そのためには、市民なら誰もが享受できる権利として、ソウル市民の福祉基準の目安を市民と共につくり上げていきます。支援が行き届きにくい貧困層の人たちの生計支援を強化する一方で、公共賃貸住宅8万戸を供給することで住居に対する市民の不安を解消し、公共保育のインフラを拡大して育児の負担を減らすよう後押しします。また、大学生の授業料負担を軽減するなど、教育費の負担がかからない教育環境を整え、社会的企業の未来成長エンジンを確保し、若者から高齢者に至るまで、持続可能な良質の雇用を提供することに尽力します。同時に、家計の負債に苦しむ各家庭を助ける実質的な対策を模索します。災害から安全な都市づくりに向けて、まず子どもや高齢者などの社会的弱者向けに安心安全を確保するサービスの拡大や、分散型雨水管理システムの構築を通じて、災害の事前予防に重点を置くようにします。また、社会的配慮に欠けた開発で消えつつある共同体の価値を取り戻すために、ソウル市の町共同体支援センターを立ち上げ、多様な支援プログラムを採用し、町共同体の育成に取り組みます。 尊敬するソウル市民の皆様、そしてソウル市の職員の皆様、今年は総選挙と大統領選という二つの大きな政治に関するスケジュールが決まっています。社会的亀裂が深まりかねない状況です。しかし、揺ぎ無い姿勢でソウル市政を守っていきます。中央政府ともお互い積極的に支え合いながら、取り組んでまいります。新しく構成される国会とも緊密に協力してまいります。真の地方分権時代にふさわしい法律の見直しも強く求められているからです。 全国が一つの経済圏で結ばれた現在、ソウルは島でもありませんし、ソウルだけの発展もありえません。首都圏の広域的な協力関係を強化し、地方との均衡の取れた発展を成し遂げるためにも積極的に取り組みたいと思います。ギクシャクしている南北関係や予測できない北朝鮮情勢も、ソウルのバランスの取れた発展だけでなく、ソウル市民の暮らしに直結している問題です。もちろん、地方自治体の域を超える問題ではありますが、小さなことでも緊張をほぐし、平和を実現するのに役に立つなら、ソウル市レベルでも取り組みたいと思います。そういう点で、ソウル平壌サッカー大会やソウル市立交響楽団の平壌公演を、韓国の統一部(省)と北朝鮮当局に提案したいと思います。 尊敬するソウル市民の皆様、そして、ソウル市の職員の皆様、ソウル市を市民の心を癒せる拠り所にすることは、決して簡単なことではありません。長い間、ソウル市政の中心に人はいませんでした。だからこそ、針路変更には幾多の難関が待ち受けていると思います。 しかし、私はこのことを一瞬たりとも諦めたりはしません。そうするつもりもございませんし、もしそうしたいと思っていてもできるはずがありません。これは、時代が求める流れに従うことであり、歴史の歯車が向かっている道でもあるからです。 ソウル市の職員の皆様、最近、皆様は長い間苦楽を共にしてこられた優秀な仲間たちと別れるという悲しいことを経験しました。私もやはり心が痛みました。しかし、そのような方々の犠牲があったからこそ、新しく構成されたソウル市の組織に新たな風を吹き込み、活力を与えることができることと確信いたします。皆様は、私の人生の中で出会えた最高の同僚であり、市役所を生まれ変わらせる歴史的な使命を一緒に全うする仲間です。私はソウル市の職員の皆様を信じます。  親愛なるソウル市民の皆様、厳しい環境の中でも苦しい日常の中でも、それぞれの大切な生活を見事に営んでこられた全ての方々に深く敬意を表します。皆様こそがソウル市政の主役であり、存在する理由です。皆様が辛くて心が折れそうになったとき、心を癒せる場として、ソウル市が生まれ変わるよう常に目を配り、また力になってください。皆様の参加があってはじめて、市民が中心となるソウル市政、共に作り共に享受するソウル市を作ることができるはずです。 ソウル市民の皆様、そしてソウル市の職員の皆様、2012年新年を迎え、改めて皆様のご多幸とご健康をお祈り申し上げます。そのために私、朴元淳は最後まで汗を流すことを厭わず全力を尽くすことをお約束します。
SMG 1,386