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[2012] 市長挨拶


愛する人と見つめ合いながら歩くソウル市を

歩道ブロック関連記者説明会 月日:2012年4月25日 会場:ソウル市庁西小門庁舎ブリーフィングルーム これよりもっと重要な内容の発表も、私ではなく、室長と局長が行ったのですが。別の見方をすれば、些細なことに思えるこの事案を自ら発表する理由があります。市長に就任する前、街の通りをよく歩きました。毎日のように公共交通機関を利用しました。しかし、街の通りを歩くたびにいつもストレスを感じました。歩車道ブロックもきちんと設置できない国がいったい何をできるのかという思いが湧いてくるのでした。年末になるといつも掘り返される歩車道ブロックに市民の皆様はうんざりしたことでしょう。予算も予算ですが、これまでの歩車道ブロックの慣行を見ながら、私も市民の皆様と同じ思いになりました。 私は、歩車道ブロックは行政のショーウィンドーだと思います。歩車道ブロックの状態を見れば、ソウル市政がどんな状況かわかります。さぞあきれたことでしょう。それで私は、市長就任後に担当部署とともにこの発表を準備してきました。歩道60年の慣行に終止符を打ちます。歩く街ソウルの第一歩を踏み出します。 ソウル市民は一日平均7時間道路の上で過ごし、歩道の総延長は2788kmです。ソウル市民の一日は道路で始まり、道路で終わります。道路がしっかり整備されていなければならないのは当然です。ソウル市民は、歩道の通行に不便を感じてきました。障害があって車椅子に乗る市民はいつも限界を感じてきました。ですから、段差を1センチ程度にします。市民全員がソウル市は暮らしやすくなったと感じられるようにします。道路上に積まれた荷物や店の立て看板、商品が通行の支障になってきました。カンブク(江北)区は特に深刻です。歩道幅が狭かったのです。自治区とともに改善していきます。目に余る露店には注意をし、それでも聞かなければ過怠金を科します。歩道工事時に資材を必要以上に積んだまま放置しておくケースが多くありました。できる限り通行の不便をなくしていきます。主犯は歩道上の違法駐車です。市民意識も改善しなければなりません。自分さえよければと歩道に駐車する車が多かったのです。1~3月で約3万件にも上りました。道路上の違法駐車の取り締まりを強化していきます。 私が一市民だった頃、ウォンスン・ドット・コム・ブログに掲載した書き込みです。ドイツの中世都市もそうです。当時の歩車道ブロックは今でもびくともしません。私は市長候補だったときに「歩きたくなる街をつくります」と公約しました。就任時も「歩車道ブロック市長になります」と宣言しました。 その実現に向け、10の歩車道ブロックの原則をつくりました。 1. 「歩道工事実名制の実施」。工事区間の両端に責任者名を表示します。 2.「ワンストライクアウト制の実施」。従来の欠陥工事防止制度では不十分です。この2年の間に施工された歩道工事の全数調査を実施しました。317カ所、136.7キロメートルを点検した結果、620件の指摘事項が発見されました。5月を目処に整備を完了させる計画です。施工者だけでなく検収する監修者にも責任を与える方針です。比較的小さい工事を検収するのはソウル施設管理公団です。本日、イ社長と職員がこちらにいらしています。前に出てきてください。この場で約束してください。検収の際に現場に足を運んでいないようですね。書類確認だけで済まそうとするからこうした問題が発生するのです。パンベ(方背)とピョンチャン(平昌)の事例が私のホームページに掲載され、工事期間中ずっと見守っていましたが、終了時点ですでに欠陥が見つかりました。最近工事が行われた現場に行ってみるつもりです。その意向はありますか?ありがとうございます。 3.歩行者の安全のため、臨時の歩行路を確保するとともに歩行安全サポーターを配置します。すべてを実質的に変えます。 4.「歩道工事CLOSING 11」。冬季には工事をしないという意味です。年末に集中する歩道工事が市民から批判されてきました。緊急の場合はやむを得ないとしても、原則的には施工しません。 5. 歩道破損者に原状復旧の責任を与えます。原因者負担金の原則です。車の乗り上げなどによって破損した部分は当然その人に負担を求めます。歩車道ブロックに関する体系的な研究を開始しました。 6. 地域住民424人で歩道モニタリングチームを編成して活動します。活動期間は1年で、毎年12月に成績優秀者を表彰します。 7. このように申告してください。ソウル市民全員がモニタリングチームのメンバーになる方法を考えました。歩車道ブロックに問題がある場合は通報してください。実際にどのようにするのかお見せします。「イゴバ(イ・ゴリルル・バックジャ:この通りを変えよう)」という「ソウル市GISポータル市民不便申告」です。大衆的集団知性の方式でソウル市の歩道管理に活用する予定です。これがコミュニティ・マッピング・システムの初めての試みと言えます。「イゴバ」は市民団体が行っており、ソウル市の申告サイトはポータルサイトから利用できるようにします。 8. 「歩道は歩行者へ」。歩道の違法停車、バイクの走行、置き荷物の取り締まりを強化します。すでに集中取り締まりを行っています。歩道に乗り上げる駐車も同様です。特にバイクに関する市民の通報が殺到しています。ツイッターで指摘する市民も多いです。 9. 「歩車道ブロックバンクの運営」。ブロックが破損しているという通報があっても、予備がないため速やかに交換できませんでした。迅速に交換できるよう、歩道を整備する際は、納品量の一定量(3%)を同バンクに入庫します。 10. ソウル市だけの力では不十分です。25の自治区、電気通信公社、都市ガス公社、上水道公社、関連機関とともに管理します。各機関がそれぞれ歩道を掘り起こしてきました。これからは問題は起こらないでしょう。一度工事したら10年以上維持されなければなりません。関連機関と十分に協議し、緊急な工事でなければ行わないようにします。 私は「歩く街ソウル」「歩きやすいソウル」を目指す最初の市長として、これから年末まで段階的に対策を施行してまいります。ソウル市の道は、満足、合法、安全、配慮という道になるでしょう。 フランツ・カフカは、「やさしい人は歩幅を合わせて歩く」と言いました。愛する人と見つめ合いながら歩ける道にします。これを第一歩として「歩きやすいソウル」をつくります。市民全員の歩行権が保証され、誰もが安全に歩ける幸せな街ソウルを目指して全力を尽くしてまいります。ありがとうございました。 フェイスブック イ・ジョンナム 大学に進学して初めてソウルに来たとき、ソウルのよさはやはり便利な交通と多様な文化活動ができることだと思いました。卒業を控えた今、それにもう一つ、素晴らしい市長の素晴らしい政策が加わりました。  
SMG 1,362

ソウルという同じ空の下で障害者と健常者は共に生きています。

2012年障害者の日における「希望ソウル・ヌリフェスティバル」での記念演説 日付: 2012年4月20日 場所: ソウル広場 本日は美しい青空が広がるとても良いお天気です。その美しい青空に負けないよう、ソウルがもっと美しい都市になるよう頑張ります。ご来場の皆様、2012年「希望ソウル・ヌリフェスティバル」へようこそ!こちらまでお越しいただく際に何かご不便なことはありませんでしたでしょうか。 イ・ギュダル組織委員長はじめ関係者の皆様、ボランティアの皆様、ソウル市議会のホ・グァンテ議長及び議員の皆様、そしてご来賓の皆様、心より感謝申し上げます。厳しい環境の中でも社会の模範となるような活動を実践してこられた受賞者の皆様や、人と少し違う能力を持っているだけの障害者のためにご支援を惜しまなかった方々に、尊敬と感謝の意を表します。「ソウル市・障害者部門福祉賞」の受賞を心よりお祝い申し上げます。 本日は32回目となる「障害者の日」です。韓国社会では人と少し違う能力を持って、輝かしい人生を送っていらっしゃる方が大勢います。体の不自由な方は能力が不足しているのではなく、人と違う能力を持っているだけです。世界有数の航空会社であるボーイング社では、格納庫の維持管理を担当する職員の15%が耳の不自由な方だと聞きます。また、目以外の全ての感覚を使って世界を見る視覚障害者の方々は、ピアノ調律師などとして優れた能力を発揮していらっしゃいます。 障害者、健常者を問わず、誰もが人生において克服すべき困難や苦しみを持っています。ただ、体の不自由な方は少し違う形での困難や苦しみを持っているだけです。そして、私たちはソウルという同じ空の下で、共に生きているのです。 ソウル市では今年から公務員の新規採用の際、障害者の割合を10%に引き上げる予定です。心の壁や制度の壁を取り払い、共に生きていくための具体的な方策を講じます。ソウル市は今年4月18日に「障害者・希望ソウル総合計画」をまとめました。これはヤン・ウォンテ名誉副市長をはじめ多くの障害者の方々が政策決定の過程に参加し、数十回にわたって膝を交えて話し合った賜物です。つまり、障害者の皆様がただ政策の恩恵を受けるだけではなく、政策決定者として積極的に参加されたということです。我々はこの「障害者・希望ソウル総合計画」を着実に実践していくとともに、その過程においても障害者の皆様と持続的にコミュニケーションを取りながら、最大限の効果を出せるよう努めます。 親愛なる市民の皆様、ソウル市は障害者団体と連携して、障害の有無にかかわらず、全てのソウル市民が共に楽しみ、共に触れ合うことのできるよう「障害者の日」を記念して様々なイベントをご用意させていただきました。知的障害者のダンスやオーケストラ演奏、肢体・脳病変障害者のハーモニカ演奏、精神障害者の絵画展示会などが用意されております。社会福祉共同募金会と共同で行う「希望のコイン募金イベント」にもご関心をお寄せいただきますようお願い申し上げます。 この場をお借りして、これまで障害者福祉のためにご尽力くださった関係者及びボランティアの皆様のご労苦に、改めて深い感謝と尊敬の意を表したいと思います。市民の皆様、美しいこの季節を思う存分満喫してください。ご清聴、ありがとうございました。
SMG 1,229

女性が笑顔になってはじめて、ソウルも笑顔になれる。

女性政策の10大中核課題実践報告会 日付:2012年4月16日 場所:ソウル市庁・西小門庁舎大会議室 ソウル市は先月「3.8国際女性デー」にちなんで発表した「女性の生活を変えるソウル」ビジョンを通じて、ソウルに住む530万人の女性の生活をより幸せにするためのビジョンを打ち出しました。 「女性が笑顔になってはじめて、ソウルも笑顔になれる」というスローガンは、実に素敵な言葉であり、全くその通りだと思います。ソウル市の行政も結局、人間がすることです。やはり、女性が笑顔でいられる社会、国、家庭は、より輝き、より豊かで、より幸せです。したがって、ソウル市の全ての政策に、女性の視点と女性の多様なニーズを反映することで、今年を実質的な「男女平等市政元年」にすることを改めてお約束いたします。 「女性の生活を変えるソウル」ビジョンには、男女平等・雇用・健康・安全など、女性の暮らしにかかわる6つの分野、10大重点課題が盛り込まれています。この中で、6つの推進計画の優秀事例を選定し、実務担当者が発表する予定です。本日ご参加いただいた皆様には、現場での採点・評価を行い、その結果を発表して優秀な部署への授賞も行われると伺っております。発表する方も審査する方も頑張ってください。 本日の報告会はビジョンをどのように具体化し、実行していくかを発表する場です。そして、新しい課題や発展させていくべき課題についても、意見が交わされる予定です。我々の努力が実質的な効果を上げられるよう、ソウル市はこれからも引き続き最善を尽くします。皆様、誠にありがとうございました。
SMG 1,111

働く人の一番の親友になってください

「市民名誉労働オンブズマン」任命式での挨拶 月日:2012年4月13日 会場:ソウル市庁西小門庁舎懇談会場 ここ数日の間に花が咲き、若葉も芽生えました。美しい光景に見とれてしまい、つい触れたくなる、そんな今日この頃です。このような日に、苦労しながらソウル市で働く労働者のために活動する「市民名誉労働オンブズマン」の皆様にお会いできてとても嬉しいです。特に貴重な時間を割いてご出席くださったハ・ジョンガン教授に心から感謝申し上げます。 ソウル市は人口1千万人の都市で、労働者は約387万 6千人(昨年8月時点)です。そのうち、非正規雇用は約130万 6千人(約33.7%)です。ソウル市が労働者の権益保護を図るべき理由を統計からも十分に知ることができます。 しかし、それはソウル市の力だけでは不十分です。当事者である市民の皆様の積極的な関心と参加、ソウル市との協力が必要です。しかし、様々な労働問題を解決しようとしても、零細弱小事業所の労働者にはこれを積極的・実質的に解決する力がありません。彼らの身代わりとなって駆け回り、彼らの声をソウル市に届ける専門家や友人が必要です。これから2年間、皆様がその友人になるのです。 市民名誉労働オンブズマン制度は、ソウル市が全国で初めて導入した制度です。皆様はこの制度の最初の参加者であり最初の友人です。 皆様の友情が実質的な力を発揮できるよう、皆様の活動が無駄にならないよう、ソウル市も全力を尽くします。ありがとうございました。  
SMG 1,113

虹のソウルを取材して世の中に知らせてください

我が友ソウル子ども記者委嘱式現場 日時:2012年4月12日 会場:世宗文化会館世宗ホール 「子ども記者団の皆さん、立派ですな、すごいですな」。真似して言ってみましたが、似ていましたか?先輩子ども記者たちの仕事ぶりを見て、ソウルには未来がある、大韓民国の未来は明るいと思いました。 私も皆さんのように子どもだった頃があるのをご存知でしょう?パク・ウォンスン君と呼ばれたその頃に子ども記者団があったら、きっと志願したでしょうが、皆さんのように賢くないので落ちたかもしれませんね。本当に良い取組みです。 子どもたちにとって世の中、ソウルはどう映るだろうかと本当に気になります。私のほうが大きく期待しています。 皆さん、ソウルには何人が暮らしていると思いますか?8千人、1億人?はい、正解です、1千万人です。1千万人が暮らすソウルはとても多様です。虹のように、ソウルで暮らす人生というのはとても多様なのです。職業も数えきれないほど多いです。先輩たちが取材した水再生センターに行ってみましたか?水をきれいに浄化する所があります。皆さんを乗せる自動車、地下鉄、バスがあります。ソウル市がこれをみな運営しているのですよ。1千万人の足となっています。いったいこれがどのように運営されているのか知りたいでしょう?市場も必要ですね。市場ではどのように商品を仕入れてどのように売っているのか、どのように食べ物の安全を守るのか。さっき残留農薬の点検をしたのを見たでしょう? 今からは皆さんがこのようなことを全部取材して、皆さんの友達、ご両親、先生に教えなければなりません。私は、良い世の中とは、子どもたちが幸せで楽しい世の中が良い世の中だと思います。 ところで皆さん、幸せですか?返事をしない人もいますね。勉強しなさいと周りがうるさく言うでしょう?私は勉強の量を少しは減らしてもいいと思うのですが。現場にも行ってみて、体験もしてみたらいいと思っています。授業が週5日になったでしょう?皆さんが行ける場所をたくさんつくっていますよ。子ども大公園のそばに、子ども博物館もつくっています。安全体験館もあります。子どもたちが楽しみながら学べる多様な内容と色々な職業を直接体験できる機会をつくっています。 さきほど、ソウル市長に挑戦すると発表する人がいて、私はドキッとしました。皆さんはソウル市長だけではないでしょう?ノーベル賞の受賞者や、国連の事務総長になる人も出てくるでしょう?こうした方々だけではありません。清掃員 の何万人という人たちが早朝から私たちのために仕事をしてくださっています。このように皆さんが取材して、共有できる内容がたくさんあるのですよ。 皆さんが今後生きていく世の中が今よりはるかに良い世の中になるよう、私ももちろん熱心に取り組みますが、皆さんも一生懸命取材してください。記者という職業は、隠れているものを掘り起こして取材し、周りに知らせていくことです。たくさん期待しています!  
SMG 1,053

労働の常識を取り戻します

ソウル市の非正規雇用から正規雇用への転換発表 月日:2012年3月22日 会場:ソウル市庁西小門庁舎ブリーフィングルーム ソウル市民の皆様。私は本日、この場でソウル市の「労働の常識を取り戻そう」と思います。同じ仕事をしながら差別を受けることのないよう、よい仕事をしている人が単に非正規雇用だからという理由で解雇されることのないよう、ごく常識的な社会づくりに向けて一歩を踏み出そうと思います。 ソウル市は5月1日から非正規雇用の労働者を正規雇用に切り替えます。対象となる1054人は、2年以上ずっと通常業務を行ってきた非正規雇用の労働者です。今後は新規採用も正規雇用として採用する予定です。また、今回正規雇用にならない非正規雇用の労働者も、差別を受けることのないよう処遇を改善します。 それでは、ただ今から「ソウル市の非正規雇用から正規雇用への転換計画」を発表いたします。現代は非正規雇用600万の時代です、もはや非正規雇用は他人事ではありません。自分の両親、兄弟姉妹、子どもたちに関わる問題です。自分の友人、隣人に関わる問題です。 具体的には、ソウルで暮らす労働者の100人中34人が非正規雇用です。全国でも労働者全体の34.2%(600万人)が非正規雇用です。特に、20代の労働者の31.6%(108万人)が非正規雇用です。将来を担う若者が不安と差別の中で社会生活の第一歩を踏み出しているのです。 非正規雇用にとって最も大きな負担は不安と差別です。「いつ解雇されるかわからない」という不安は、精神的に落ち着きません。彼らの不安は冷酷な現実となりました。非正規雇用の半分以上が雇用から1年足らずで辞職しなければなりませんでした。同じ仕事をしても賃金は正規雇用の半分程度で、賞与金、退職金、国民年金・健康保険加入でも差別を受けていました。 非正規雇用は、安い人件費を優先して人への投資を疎かにした近視眼的な雇用策です。短期的に利益が出たとしても、仕事の持続性と専門性が保たれないので、結果的には逆に効率性が下がります。何より不安定で劣悪な雇用は、ワーキングプアを生み、格差問題を深刻にしました。 非正規雇用の問題は単なる「労働問題」にとどまりません。非正規雇用の問題は、社会の統合と持続可能な未来の発展のために何としても解決すべき課題です。 これからソウル市は労働の常識を取り戻していきます。汗を流して働く人が称賛され、頑張って仕事をする人が幸せになれるソウル市を目指します。 正社員が必要な職場では正社員が雇用され、働く人がやりがいを持って仕事できるよう人への投資を行います。人への投資はクリエイティブな付加価値の創出につながり、結果的に社会の効率性を高めるでしょう。ソウル市では、5月1日から通常業務を継続的に担当する非正規雇用の労働者1054人を正規雇用に転換します。非正規雇用の労働者をこれ以上量産しないためにも、今回の転換対象となる業務については、今後の新規採用する場合も正規雇用での採用を原則とします。今回は転換対象にならなかった非正規雇用の労働者にも不当な差別が行われないように、福祉ポイントや祝日休暇費を与えるなど処遇を改善します。 まず、第1段階として転換基準を満たした非正規雇用の労働者を100%正規雇用に転換します。 第2段階として、今回転換されない民間委託や派遣、役務など間接雇用労働者に対する改善策を下半期に講じます。そして、無期契約社員全般に対する職制・賃金体系を見直します。こうした非正規雇用問題を解決する追加予算として総額62億 3,100万ウォンを投じます。 正規雇用中心の雇用は、韓国の経済と社会を強固にするための人への投資です。ソウル市はその模範となり、他の公共機関と民間企業も参加できるよう主導してまいります。 ソウル市の非正規雇用の転換は、遅すぎた措置かもしれません。既に非正規雇用の労働者たちは傷つき疲れきっています。ソウル市は非正規雇用の労働者に寄り添い、支えになってまいります。本日を出発点として、ソウル市は労働の常識を取り戻す長い道のりの第一歩を踏み出しました。非正規雇用問題の解決は、どんなに遠い道でも必ず到達しなければならない道です。ありがとうございました。
SMG 1,152

皆様すべてがファースト・ペンギンです。

ソウル市定例朝礼の挨拶 日付:2012年3月21日 場所:ソウル市庁・厚生棟講堂 ソウル市本庁及び本部、事業所の皆様!お会いできて嬉しいです。朴元淳です。 先ほど、我々のファースト・ペンギン(自発的に発展と革新を遂げた人のこと)さんにペンギン人形を差し上げました。もっといいプレゼントを差し上げたかったのですが、市長という立場は思ったより制約が多いようでして。私の心が込められているものだと思ってどうかご理解ください。 本当はこの場にお越しいただいた皆様だけでなく、ソウル市庁の職員全員にこのペンギン人形を差し上げなければならないと思います。ここ数ヶ月、本当に私のせいで苦労も多く、さぞかし大変だっただろうと思います。それにもかかわらず、いつも黙々と最善を尽くしてくださった市の職員の皆様に心から感謝申し上げます。 ペンギンたちも大変だと思います。天敵もいますし、いつも飛び込んで遊んでいる海だとしても、あの冷たい水に最初に飛び込まなければならないのが、そう簡単なことではないからです。しかし、ペンギンたちも知っているはずです。結局、その冷たい海に飛び込んではじめて餌も食べられますし、安心して種族を保ち続けることができる。そして何より自分たちの存在意義を見出せるということを。 私はここにいる皆様すべてがファースト・ペンギンだと思います。自分が先だとは思いません。たくさんの職員たちが、献身的な姿勢で新しい価値を生み出すことや、新しいパラダイムとプロセスにチャレンジしてくださいました。慣れない仕事でずいぶん大変だったと思いますが、そのおかげで成し遂げることができたことです。 今年1月9日には「人」が中心となる「希望ソウルの市政運営計画」を発表しました。それに続きまして「公共交通機関の料金の見直し及び経営革新計画」、そしてずいぶん前からの課題だと思いますが「ニュータウン整備事業における新政策構想」は先制的行政の良い事例でした。完全週五日授業制の施行に伴う「子どもちが幸せになる土曜日プロジェクト」も実現しました。 皆様が所属されている室や局、事業所の仕事がなくなったからと、あまり残念に思わないでください。それを全部説明するためには、この朝礼を明日の朝までやっても時間が足りないくらいです。一つひとつお話しすることさえできない仕事を私たち皆が共にやり遂げてきました。ひとえにファースト・ペンギンの皆様の功績だと思います。 ところで皆様、フース・ヒディンク監督の名言を覚えていらっしゃるでしょうか。「I’m still Hungry」、つまり「私はまだお腹が空いている」。それにスティーブ・ジョブズ氏も人気がありますよね。彼はもう亡くなりましたが、自分自身は2年で中退したスタンフォード大学の卒業式で残した「Stay hungry, Stay foolish」という言葉は、今もなお時代のキーワードとして話題となっています。 いかがでしょうか?気が早い方は「まさか、定例朝礼の時にも仕事の指示をするつもり?」、「あの人は何であんな話をするんだろう」と心配もあるでしょうが、ご安心ください。私は、ヒディンクでもスティーブ・ジョブズでもありません。もちろん、私だって本当にまだまだお腹が空いています。かなりの欲張りでもあります。徹夜で仕事することもできます。革新的で創造的な市政と市民の幸せのためなら「Stay hungry」であり「Stay foolish」なわけです。 しかし、我々は一緒に仕事をする。一緒に仕事するためには、少し遠回りすることもあるでしょう。そして、何よりも必ず市民と共に作っていかなければなりません。そうしてはじめて、都市は生命力を持ち、ソウル市民の幸せは持続可能なものになるからです。 それに、そうしてこそ市民の皆様が幸せになれると思います。一人で歩く道はさびしくて辛くて、それでいて失敗する可能性も十分にあります。また、私たちはそうやって一緒に仕事してはじめて、各自の地位や給料のレベルを超えた使命と働き甲斐と人生の意味を見出せます。私は何より一緒に夢見て一緒に実践したいと思います。 もちろん、息苦しい思いをされると思います。ほとんどの場合、機関の首長らはファースト・ペンギンになって「俺に従え!」というのが普通だと思います。そうすれば、責任の所在もはっきりするでしょうし、目に見える成果も現れるでしょう。しかし、これからは市民たちに直接聞いて、地位の上下を問わず一緒に討論し、市民と共に決めた上で進めてほしい、そういわれても「それで果たして仕事がうまくいくのだろうか」という懐疑の念を抱くこともあるかもしれません。 しかし、親愛なるソウル市の職員の皆様、よく思い浮かべてみてください。世界有数の都市は、市長が誰なのか、どんな哲学を持っているのか、などとは関係なく、素晴らしい都市ならではのカラーや成長エンジンで持続的に発展しています。悠久の歴史の中で脈々と受け継がれてきた市民の生活の質を維持しております。 これからは、ソウル市もそうなるべきではないでしょうか。皆様と私はその過渡期に立たされています。 今年2月で就任100日を迎え、この100日間に成し遂げた大小の成果を100個の「希望の種」として選定しました。その中では「昼食時間の小規模な飲食店の前における駐車違反の取締りを緩和する」ことが最も評判が良かったでしょう。昨年冬には「希望オンドル(床暖房)・プロジェクト」を通じて、一人のホームレスも凍死させなかったという、その小さな奇跡も我々が市民の皆様と共に成し遂げたことです。 小さな希望が与えてくれる大きな感動。これだけではありません。我々はソウル市の中長期的な計画の大きなビジョンとなる「希望ソウルの市政運営計画」も共に作り上げました。これには政策討論会からSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、「市長に願いを」プロジェクト、そして「聴策(市民の意見に耳を傾け、それを政策に反映すること)ワークショップ」などを通じて寄せられた市民一人ひとりの声はもちろんのこと、官民連携諮問機関である「希望ソウルの政策諮問委員会」も大きな力になりました。 我々はそうやって市民と共に、かなり多くの夢を現実のものにしました。今の小さな変化は近いうちに大きな実を結ぶと確信しています。それを裏付ける根拠が我々にはたくさんあるからです。 尊敬するファースト・ペンギンの皆様、今年は各種経済指標や見通しなど先行き不透明なことが多い上、総選挙と大統領選という二つの大きな政治に関するスケジュールが決まっています。だからこそ、ソウル市政の運営により力を注いでいかなければなりません。こういうときこそ、このように一緒に仕事をするからこそ、選択と集中がより重要になってきます。主要政策の実現を成功させるために、政策目標の達成すべき時点を予め定め、その推進状況を的確に分析、管理する綿密かつ体系的な細部のスケジュールを確立してください。より良い政策の質を保つためには、市民の声に耳を傾け、問題点を見つけて、現場の中で最も現実的な答えを出すことを優先すべきだと思います。 同時に、市民の皆様が日常生活を営む上で不便を感じることがないよう、ソウル市が管理する施設の中で、安全確認を怠ったことが原因で事故が起こらないよう、そして我々の職員の皆様すべてが楽しく働けるよう、お互い配慮し、細心の注意を払って努力してください。 後ほど、キム・ホ代表からコミュニケーションに関する貴重なお話を伺う予定です。透明性と本気度がますます重要になってくる現代社会において、失敗に対応するコミュニケーションのパラダイムである「クール・コミュニケーション(Cool Communication)」について話してくださる予定です。危機と対立をうまくコントロールし、信頼関係を築く方法、そして人間関係がより柔らかくなる新たな方向性を示してくださると思います。ソウル市政、その中でも特に対立を解決していく上で、大いに役立つことと思います。皆様にとって有意義な時間になれば幸いです。 ソウル市のファースト・ペンギンの皆様、私は海に飛び込みました。ただし、皆様と一緒に飛び込みました。最初のうちは慣れなくて大変かもしれませんが、我々が釣った魚は私だけのものではなく、我々皆のもの、市民のものになると思います。いつも感謝し、応援しております。頑張りましょう。ありがとうございました。
SMG 1,530

チェドリがクロムビ沖合で泳げるように

月日:2012年3月9日 会場:ソウル大公園 今日こちらに来て、チェドリと他のイルカ達、クムドゥンイとテポに会いました。多くの方が心配していましたが、日本のイルカを含む全五頭はきちんと世話されていました。また、多くの方がチェドリを心配し、様々な意見をくださいました。短い時間でしたが、いくつもの具体的な懸案について綿密に検討しました。 もうすぐチェドリは故郷へ帰ります。私はチェドリがハルラサン(漢拏山)のふもと、クロムビ沖合で自由に泳げるようになることを希望します。そのために最善の方法を探します。チェドリと他のイルカ達の権利と幸福を念頭に置いて、全ての計画を進めていきます。 行政の主な業務の一つは、人の才能、市民の税金に至るまで、世の中の多くの要素の本来あるべき場所を見つけてあげることです。そこにはイルカも含まれます。そのように本来の場所に戻れるように支援し、調整することが行政であるのです。チェドリは違法に捕獲されてここに来ました。ソウル大公園はその経緯を知らなかったので、法的な責任はありません。しかし、行政は様々な現象を調整し、時代の精神を表現したりもします。チェドリは再び済州近海で泳がなければなりません。チェドリを海に帰すと共に「イルカショー」は暫定的に中断します。ただ、廃止ではありません。多くの専門家と市民の意見を聞きます。もちろん、私の仕事の原則は、イルカの権利と幸福です。 また、動物園に対する様々な議論がありますが、ソウル大公園動物園をこの世にただ一つしかない市民の動物園にする仕事!その夢も市民の皆さんと共に描いていきます。ありがとうございました。
SMG 1,315

全てのものは町に通じます

地域共同体づくり特別講座 月日:2012年3月5日 会場:人材開発院講堂 人は切実に願えば互いに通じると思います。ガラガラヘビは10里離れていてもで互いの存在が分かると言われますが、私たちは人間です。人も絶えず進化していますね。互いに気持ちが通じ合える、私の心がそれだけ切実だということを皆さんご存知でしょう? 私は皆さんに訊ねたいです。何のために生きていますか、なぜ生きているのですか?実際、とても大事な質問です。まさに皆さんが、ソウル市民が何のために生きているのか、何のためにあくせくして働くのか知ってこそ、その方々が希望し、熱く願い、夢見るものを達成させることができます。 ソウル市民は何を心の中で最も願っているでしょうか?(「幸福」)そうです。幸福です。多くの人々は勘違いしています。なぜ生きるかと尋ねると、金、富、権力、こういったものしか出てきません。しかし、私はその全てのものを超えた、人々が最も大きく望んでいるのは幸福だと思います。 一時はお金でした。十分に食べられない、暮らしが豊かでない、飢え死にするような時代には、思う存分食べられるようになること、大きい家、良い学校に行くこと、こうしたことが夢でした。しかし、多くの人々はそれをある程度解決できるようになりましたね。その次に尋ねます。なぜこのように生きているのかと。私たちの親の世代は、誰もが所得の話をしたでしょう。重要視したのはGDP国民所得でした。一国の成長と発展の指標として使われました。 しかし、最も先を行く国々、GDPが最も高い国から、national happiness indexというものを重要視するようになりました。いわゆる幸福指数を問うようになったのです。昨年だったでしょうか。私が市長になる前のことです。英国のある団体の代表でトニー・ブレア首相の政策室長をしていた人で、トニー・ブレア労働党の未来ビジョンをつくった人、Gooff Morganですが。ある会議に私を招いてくれました。その会議のテーマが幸福指数の開発に関することでした。OECDももうGDPの代わりに幸福指数を開発する仕事をしていたのです。そうした経緯で私は幸福指数について大きな関心を持つようになりました。 先の市長選挙がなければ、その時期にどこに行く予定だったかというと、ブータンに行くことになっていました。ブータンには幸福研究所というところがあります。私たちは観光客がとにかくたくさん来れば良いと思うでしょう。しかし、そこでは観光客の数も制限していて、お金も前払い制です。10日間滞在して本を一冊書こうと決心していました。ちょうど希望製作所のインターンとして来ていた女性がブータン出身でした。彼女の案内を受けて、ブータンで10日過ごし、ブータンからネパール・カトマンズまで比較的近いのでトラッキングをしてこようと思っていました。 それでは、幸福をどのようにつくるのでしょうか。そこで、幸福学という学問があります。国民所得ももちろんあるでしょう。ただ、それだけでは決してありません。この本を読んでみたら、一番大きなポイントの一つが「絆」です。言わば一人ではとても孤独なのです。疎外という表現があるでしょう。現代の人生は強い疎外感を感じるものです。韓国が世界で自殺率1位2位を争うことはご存知ですね。生きるのがつらくて自殺する場合もありますが、孤独から自殺を選ぶ場合も多いのです。特に高齢者の方が。そのため、自分の地域共同体の中で、誰かと共に生きているということ、帰属感、こうしたことが人々に幸福を与えるというのです。これから遠ざかると自殺の可能性が高くなると言われています。 英語でconnectedness。ある地域社会の中で自分が帰属していると感じることがとても重要だという言葉です。実際、私たちが生きてきた時代は、若い公務員を除くみなが記憶していることでしょう。私もとても貧しい田舎で育ちました。60年代に子ども時代を過ごしましたから。その時は食べていくことさえ難しかったのです。春の端境期がありました。春分期になると米びつに米がなくて、麦を持ってこいと母や姉が私に手伝いを命じるのですが、すくおうにも米がないのです。それでも門の前に乞食が来たら絶対にそのまま送り返すことはありませんでした。ご飯を食べる時に来れば、ご飯に水をかけてやって乞食に持って行きました。貧しくても、町で飢え死にする人は一人も出ませんでした。また、我が家には広間がありました。広間は普段父が寝る部屋でした。母は母屋で起居して。そうすると、町内の男たちが集まって夕方遅くまで話をしたり、父は縄を結ったり、いろいろな仕事をしていました。通りかかった旅人を泊めてあげたりもしました。見知らぬ人でも泊めたのです。今は通りがかりの人を泊めることがありますか。世の中がどれほど冷たくなってしまったことか。誰が誰を信じられますか。幸せでいられるはずがありません。 本当に不思議なことですが、外国の多くの都市に行って暮らしてみると、私たちより少し先を行く社会のほうが、人々が親切です。困ったことがあってお願いすると、とてもよく案内して助けてくれます。ヨーロッパの都市が一番良いです。旅行をすればすぐ分かります。私に何か問題が起きて、通りすがりの自動車や店の人に聞いてみると、みな出てきてとても親切に助けてくれました。一方、同じ町に住みながら、何が起きているかも私たちは知らないでいます。 匿名の社会が持っている危険性。それでもソウルでは良いといわれるソンミ山共同体をインタビューしに行った時のことです。ユ・チャンボク先生が私と町のカフェで話していて、窓の外に子どもが通り過ぎるのを見て「おや、あの子は授業がまだ終わっていないだろうに」とおっしゃるのです。町内の様子をよくご存じだからです。町の人々がお互いによく知っています。ソンミ山共同体では恐ろしい殺人事件が起きることはないでしょう。共同体が安心できる町を提供するのです。安全な都市をつくる上でも、私は地域の共同体がとても重要だと申し上げたいです。 ソウル市や自治区で予算全体の26%をどこに使っていますか?福祉です。そのお金で敬老堂、老人福祉施設、保育園をつくり、一方では障害者施設をつくります。しかし、こうした施設はみなバラバラです。私は基本的に老人福祉施設をつくることは収容所をつくることだと思います。極端な言い方をすると、社会福祉学者はコットンネ(花の村)の概念は反福祉的だと言っています。なぜでしょうか。その方々が暮らしの真ん中に存在してこそ幸福に過ごせて自己の発展も可能でしょうが、いくら良い施設をつくって入れても収容所ではないですか、意味をお分かりでしょう。 本当に良い施設は、町自体が最も良い施設です。その中での絆を通じて自分の存在感と幸福を感じることができます。それが別々に離されていては、わざとらしいですし、その方々は不幸ですね。そうではなく、おじいさんが子どもたちや障害者と共に仲良く暮らす中で、おじいさんは子どもたちに若い頃の話をしてあげ、その前で子どもたちは自分が得意なこともやってみせて、そうして互いに一緒に暮らしていくほうが良いでしょう。それで私は韓国の福祉システムが非常に誤った方向に行っていると思います。最も良い福祉は、まさにこうした地域共同体、町の共同体が生きていればそれが福祉になるということです。地域共同体支援センターをつくろうというのもまさにこのような考え方です。 互いに離れた人生ではなく、一緒に生きる人生。幼い頃の思い出で、外で遊んで、友達の家でご飯を食べ、寝ることもあったでしょう。村中の人みんなが世話してくれました。私が何か間違ったことをすると近所のおばあさん、おじいさんも叱ってくれました。今は他人の子どもを叱ったら仕返しをされるでしょう。ガンジーがこんなことを言いました。町は宇宙だ、と。様々な要素が入り混じっているので、それを通じて生きる方法を学ぶということですね。私たちは既に地域共同体が消えてしまったので、人生を図書館で学んでいます。人生は図書館で学ぶものではなく、町で、共同体で学ぶのです。過去には大学を出ていなくても生きていく方法を知っていましたね。多様な構成員の姿を見て、どのように生きて関係を結んでいくのかをみな知っていました。最近はお互いにどのように関係を結んだらよいか分からないでいます。重要なのは人格で、世の中をうまく生きていくリーダーシップはまさにこうした地域共同体から出てくるという意味です。真の福祉は飢え死にする人を出さない、たとえ難しくてもそれこそが地域共同体の力だ、こう思います。 地域共同体が雇用と経済をつくり出すと思います。もちろん韓国で大企業がつくり出した力は本当に大きいです。しかし、一つの社会も有機体です。例えば、池を見ても食物連鎖やエコシステムになっているでしょう。プランクトンから始まってとても大きい雷魚のようなものまで。もし雷魚だけだったら、その雷魚は生きていけるでしょうか。本当に多様な生物が貯水池の水の中に生きています。社会も、経済も同じことです。大企業だけは存立できません。路地商圏、既存の市場があってこそ、共に生きていくことができます。それが、効率性だけ追い求めていると、全てのものが大きくなりさえすれば良いと考えがちですが、絶対そうではありません。我が国は経済危機が訪れたらとても弱い構造です。特にソウルはなおさらです。大韓民国は雇用なき成長という話が出るほど、経済の成長に庶民の雇用が追いついていません。 一方、中小企業が充実している国は、経済的にとても安定している国です。台湾がそのような国で、ヨーロッパの多くの都市、ボローニャもそうです。そうしたところは経済水準も高く、その次に外部要因に弱くありません。また、スペインのモンドラゴンという地域は協同組合の地域です。そこは10万人を協同組合が雇用して人工衛星まで打ち上げています。大企業がなくても協同組合自体が住民たちの暮らしをしっかり支えていて、経済の安全を守っています。 今年は国連が定めた協同組合の年です。しかし、韓国は協同組合の数があまりにも少ないです。ところが、ヨーロッパに行ってみると住宅協同組合がとても多く、全体の25%が協同組合の住宅です。ですので、投機が行われることがありません。そのような力が協同組合の力から生まれます。日本を旅行した時に、大きな駅の前で最も大きい建物を探してみてください。私たちだったら普通どうですか。駅前で最も大きい建物はデパートでしょう。日本では生協の建物です。グリーンクックといって福岡を中心に活動する協同組合は200万世帯が会員・組合員です。そのような国の経済はとても安定していると言えるでしょう。 今住宅に関して言えば、今までのニュータウンは突然指定されて、開発されてきました。ニュータウンを建設する会社はどんな会社でしょうか。現代、サムスン、GS、ほとんどのそのような会社ですね。しかし、もし私たちがペクサ村やソンブク(城北)区チャンス村のようなところを共同体の町として開発しようとした時に、既存の住宅を一気に追い出して大きいマンションを建てるのではなく既存の住宅を改善していくことになったら、どんな会社が必要でしょうか。その町のPVC店、水道管、こうした町の店に行って買うことになるでしょう。町の経済が回復する道が開かれるのです。 もちろん、だからといって大企業が一斉になくなるべきだと主張している訳ではありません。大企業は国際競争力で伸長し、小さい企業は町の経済を生かすことができるという意味です。私がもし市長でなかったら、協同組合をきちんと展開しようと本当に考え抜いたことでしょう。皆さん、弁護士について言えばですね、弁護士はお金をたくさん要求しますね。弁護士は力が強いです。専門知識がありますから。一般市民はよく知らないので、言い値でお金を支払っていますね。ところが、法律消費者協同組合のような組織をつくって会員が10万人いれば、弁護士を逆に働かせることができるのです。これだけではなく、自動車を修理した時に、領収書を見ただけでは、ちゃんと修理されているのか分かりませんね。日本には車検協同組合、自動車検査協同組合があります。私が自動車検査協同組合の設立計画案までつくっておきました。私はこういう例だけでも数十万の雇用を生み出せると考えます。 私は今日、雇用政策課長と朝、市長室で簡単な会議をしました。私の目には全て雇用につながるように映ります。テーマ別に雇用エキスポを開催することとか。地域共同体さえあれば雇用エキスポを開けますし、リサイクルだけでも数多くの雇用を創出できると思います。例えば、ヨーロッパなどでは、朝早く起きたら何をしますか。 一つはノミ市が開かれます。英国では10キロはあるくらいものすごい長さで、週末ごとに開かれます。自動車に物を載せて商売をする人ができます。ある人は古地図、ある人は燭台、ある人は食器。私が見ると全国的にアンティークショップ、こういうものだけでも何万件の雇用を創出できます。都市農業だけでも雇用が一気に増えます。週5日制になって子どもたちが遊ぶところが必要でしょう。子どもたちに生命の尊厳性を教えることを専門とする雇用、まさにこのような共同体が提供してつくり出す雇用がはるかに多いと思います。 私がもし町をつくるとしたら、ソウル市内のある町には古本屋だけ30カ所がある、30の店がそれぞれ専門を持っていて、ある店は詩だけ売り、ある店は小説だけ売り、ある店は外国書籍だけ売り、こうしたものが30カ所あると、すぐに有名になるでしょう。また、ある店は工芸品だけ売る工芸の町だ、とした時に、観光客が来るでしょうか来ないでしょうか。そのように考えると、例えば花だけで有名な町をつくることも可能ではないでしょうか?路地に面した全ての家にバラのつたがからまっているような。英国は公園が有名でしょう。バラガーデンが多いですね。オランダのコイゲンホープという町は畑にチューリップを植えていて、見渡す限り色とりどりに咲いています。私たちはそこまでしなくても、例えばクロ(九老)区のある洞に行けばバラがたくさん咲いている、そのような町は、すぐ口コミで広がっていきます。私が申し上げていることを、ある地域でそのようにすれば私にロイヤリティーを払わなくてはいけませんね。ところで、このような形で一つ一つやっていけば活力を取り戻せる町がとても多いのです。 先日、ハニャン(漢陽)都城に行きました。都城の見晴らしは本当に素晴らしいです。私はそれを見て、漢陽都城を復元することにとどまらず、近隣の町を再開発しようと考えました。18キロを再開発して、カフェに行って古本屋に行ってみて、そのように楽しめれば、その町は全部活力を取り戻せると思います。どうすればその近隣の町を活性化できるか悩んでいます。この前、原発一基削減セミナーをしましたが、その時見るとサンド(上道)3洞ソンデゴルという町がありました。そこは主婦たちが集まって省エネの取組みをしています。あらゆる種類のエネルギーを減らしています。ソウル市内でエネルギー自立の町をつくれば人々が相次いで来るでしょう。ハミャン(咸陽)のミンドゥレ村に行ってみたら、そこは全てが省エネになっていました。 ところで最も大事なことは、こうした村にはリーダーが重要です。村長は大統領よりも難しいです。他人の不幸は蜜の味という表現があるでしょう。村の人々が気持ちを合わせて生きていくことは本当に容易ではありません。大韓民国の最も偉大な村のリーダーに、チュ・ヒョンノ村長という方がいます。ホンソン(洪城)郡ホンドク面にいらっしゃる方で、この方は高校もかろうじて出ました。14人選抜するのに成績が14番だったそうです。ところでその学校の校長先生がこうおっしゃったそうです。最初の試験で20点だったが、実に可能性が大きい。君はあと80点をさらに上げることができる。そして日本に行く度に日本から本を持ってきたそうです。それでこの方は鴨農法に関する本を読むようになり、今では日本よりもっと広い面積で鴨農法を広めた立役者です。私にこう話していました。自分が村長を務める間に、胸のうちが炭のように黒くなりましたって。利害関係を調整するのは大変難しいことですね。 そしてナムヘ(南海)に行くとタレンイ村があります。その村の村長さんの話です。棚田で農業をしているということですが、日照りが続く度に作物が台無しになるそうです。どのして私たちの先祖はよりによってここに住み着いたのかと不満があった、でも田植えする風景がとても美しいから人々がたくさん来て民宿をします。村長がホームページを管理して、自分が民宿を運営すれば人々が疑うので自分は民宿をしません。民宿をしない人は不満を持ちますね。それでこれを50対50にして、収入の半分は村の基金にするのです。そしておばあさんおじいさんが亡くなった家には働き手を派遣して農作業を手助けさせるのです。とてもすごい村長ではないですか。私が書いた本にみな出てきます。その村の指導者がどんな心を持って村長の仕事をしているかによって、その村がうまくいくかどうかが決まるということを示しています。本当に立派なリーダーたちが村中にいると思います。 今ソウル市の地域共同体の話を私が市長になってからたくさんしていますが、聞きなれないようでいても、実際には私たちが既に行ってきた、それで既になじみのある、そのようなことです。ただ、ここ数十年の間、食べていくことに忙し過ぎて私たちの隣人をみな放ったらかしにして、子どもたちさえどんな環境で暮らしているのかさえ知らずに、最も良い幸福を遠くにやってしまって、私たちは全く見当違いのものを追い求めていたのです。私たちの時代の真の価値は共同体性です。大韓民国にコミュニティという言葉がありますか。地域共同体という言葉がハングルから消えたようになっていました。しかしすぐです。私たちの時代がそれを要求しているからです。 多くの問題を解決するのに王道があります。それはまさに地域共同体を私たちが復元することです。お祭りも、多くの投資をしていますが、定着しましたか? 祭りは町の伝統と歴史、共同の経験から生まれます。お祭り一つとっても、地域共同体が生きていないところでは絶対に良いお祭りができません。全てのものは町に通じると申し上げたいです。 韓国社会は変化があまりにも速くダイナミックなので、5年経てばおそらく韓国社会も他の先進国に劣らないくらい共同体性が強化されるだろうと思います。私がこれを打ち出さなくても韓国社会が大きいUターンをしていると考えますし、それが大きな流れだと思います。
SMG 1,263

青春の夢の格差を減らします

ソウル市立大学校入学式祝辞 日時:2012年2月28日 会場:ソウル市立大学校 ソウル市立大学校の新入生の皆さん、こんにちは! ソウル市長パク・ウォンスンです。 皆さんの入学を心から祝い、また、深く歓迎します。どれくらい嬉しいか、皆さんは多分ご存知ないでしょう。 皆さんに向けた私の心は、歳月が私にくれたプレゼントです。青春を見るとひたすら祝ってあげたいし、青春を見るとひたすら応援したい気持ちになります。 そこには私たちの社会の明日を祝福したいという意味が込められています。おそらく私たち大人たちは同じ心情でしょう。 その心情で決心できました。市立大学校の半額授業料です。 ある方々は強い懸念を表しましたが、私はまず「バタフライ効果」というものを信じます。小さいスタートが大きな結末をつくり、弱かった動きが歴史的な変化を引き出します。市立大学校の半額授業料の実施は、現在まで他の多くの大学に影響を与えましたし、また、今後も与えるでしょう。皆さんの市立大学校はそのように成長するでしょう。学生中心の学校行政と学生の福祉と学業を支える透明な財政が皆さんの力になるでしょう。 それだけではありません。半額授業料はスタートに過ぎません。ソウル市立大学校は、今から皆さんの本当にスペックを準備します。 皆さん、スペックを積みたいでしょう? 良い会社に就職したいでしょう?それならスペックから自由になってください。就職への渇望を今この瞬間から捨ててください。スペックや就職、それは世の中がつくり出した大きな罠です。どこの誰も勝者になれない構造です。 ここにいる皆さん2000人が200の職場に挑戦するとしましょう。すると基本的に1800人は敗者、英語でloserになりますね?それでは職を得た200人はいわゆるwinnerになれるのでしょうか? 200等、ビリになったその人の心情はどうでしょうか?ここから200人の競争が無限に始まります。この200人が皆運良く最後まで職場に残れるとしたら? 50代の初めに引退できるでしょう。 しかし、不幸にも皆さんは平均寿命が120才に届くかもしれない世代です。残りの70年間、何をして過ごすつもりですか? 就職が悪いというのではなく、勉強に効果がないということでは全くありません。けれども、夢のない就職、自分だけのための勉強は、その生命力がとても短いのです。皆さんはこれから、クリエーティブで、社会に寄与し、何よりも共生できる真の未来人材になるでしょう。市立大学校でそのことを学べるはずです。 私は、皆さんが何より守るべきことは、夢だと考えます。私がソウル市長として最もしたいことは、私たちの時代、私たちの青春の夢の格差を減らすことです。 誰でも貧しいこともあります。誰でも金持ちであることもありますね。誰でもつらいことがあり、誰でも回復することができます。誰でも夢見ることができるのです。 夢見ることができる権利。構成員に、特に青春に、この最小限の権利が保障されない社会は最も危険です。明日を約束できないのですから。青春が消えれば明日が消え、青春は夢が消える時に消えます。 私は今日皆さんの夢を応援するためにこの場に来ました。そして将来、パク・ウォンスン市長がした仕事のうち最も良かったことは、私たちの青春の夢の格差を減らしたことだと思い出してもらえたらと思います。皆さんを応援します。おめでとうございます。ありがとうございます。そして子どもを立派に育てて、市立大学校を選択された保護者の皆様、ありがとうございます。お疲れさまでした。 一生懸命に教えます。 ありがとうございました。
SMG 1,239

女性が真の幸せを享受できるよう、更なる飛躍が求められる時です。

男女平等委員会委員委嘱式及び全体会議 日付:2012年2月28日 場所:ソウル市庁・西小門庁舎大会議室 日ごろから韓国の女性問題について大きな関心と深い愛情を持っていらっしゃる皆様にお集まりいただき 、第1期男女平等委員会を発足することになったことを大変意義深いことと思います。また、お忙しい中、 出席してくださった委員の皆様にも厚くお礼申し上げます。 逆説的にこのソウルが「男女平等委員会」など要らない都市、すでに男女平等が普遍的な構造や常識として定着している都市であるなら、どんなに良いでしょうか。もちろん、そうなったとしても、皆が幸せになるための男女平等に対する持続的な関心は必要ではありますが、残念ながら、韓国社会はいまだ女性のための「男女平等委員会」が切に求められるのが現状です。 それだけ、皆様の役割は大変重要だということです。発足早々からプレッシャーをかけるようで申し訳ありません。しかし、プレッシャーを感じるのではなく、自負心や誇りを持って一所懸命に取り組んでいただければ幸いです。皆様の献身的な活動が、ソウル市の進める男女平等政策の基礎となり、めざましい発展を遂げる上での土台になると思います。 これまでソウル市が進めてきた女性向け政策が、女性が抱く不便と不安を解消することに重点を置いてきたとすれば、これからは女性が真の幸せを享受できるよう、更なる飛躍が求められる時です。女性が安心して子どもを産み育てられる社会、家庭と仕事を両立できる社会。ひいては、すでに変化を遂げた女性の多種多様な生き方が存在する韓国社会で、女性一人ひとりがそれぞれの構成員としての存在感を確保し、自らの夢や希望を思う存分実現できる社会を目指すべきです。そのためには、男女平等の価値を広く浸透させ、それに基づく実効性ある政策を打ち出す必要があると思います。 もはや男女平等政策は選択ではなく必須です。この問題をこれ以上先送りしてしまえば、韓国社会は偏った人権意識にとらわれ、未来の成長エンジンになるはずの多様な創造性の確保にも失敗するかもしれません。 ソウル市ではこうした過ちを犯さないよう、先月から重要な政策を決める際にジェンダー・パースペクティブを考慮に入れたかどうかを確認する決裁システムを採用し、実行しています。また、市の全ての室や局の本部で推進する事業の中で、市民への波及効果が大きい10の事業を重点課題に選び、政策が性別に及ぼす影響などを必ず分析し、女性の視点と経験が反映されるようにします。この詳細な内容に関しては、後ほど女性家族政策室長から報告がある予定です。 政策に間違いがある場合は容赦なく批判し、何か良いアイデアなどがありましたら忌憚なく話してください。政策に反映します。皆様の貴重なご意見とご提案をお願い申し上げます。ご清聴、ありがとうございました。
SMG 1,179

皆さんの意志と情熱をソウル市が政策で後押しします

考試院家賃半額に関する政策ワークショップ 月日:2012年2月14日 会場:ヨンドゥンポ(永登浦)区ソンボビル5階 心が重いです。先ほどパク・チョルス代表がおっしゃった一種の社会の縮図といいましょうか、多くのソウル市民が直面する住宅問題の現実の中で、大きな絶望が支配しているような気がします。考試院や過密集住地域、サウナ、漫画喫茶、旅館、ネットカフェといった施設について考えなければなりません。キム・ソンテ先生とキム・キルウォン先生がおっしゃった狭い部屋の劣悪な衛生とトイレとラーメン。18~19世紀の英国の産業化時代にどんどん拡大する都市の中で、見向きもされなかった階層にいた人々の暮らしが、21世紀においてそのままソウルの中心地で再現されています。 多くの人が苦痛と絶望を感じていることに、ソウル市長として重い責任を感じています。政府と国民が私たちを見捨てていないということに希望を感じると言われたこと、そうした関心さえあれば私たちは希望を育むことができるというお話が心に響きました。全てはその関心が問題解決につながると考えます。 本日、私は考試院にも過密集住地域にも行ってみましたが、今お話を聞かせて頂いて多くのことに気づかされ、新しい政策の必要性を感じています。パク・チョルス先生の発表の中で、特に非営利考試院や長期契約考試院、特別法の問題、出資財団、さらにはパク・チソン考試院やキム・チャンフン考試院の事例もありました。これらをしっかりとシミュレーションして解決策を模索しようとのお話もありました。ソ・ジョンギュン先生がおっしゃったいくつかの政策を統合すれば、現実的かつ実効性のある政策が出てくるのではないかと思いましたが、先ほどおっしゃった通りです。今運動をされている方々が政策を全部考えなくてはならない、それでよいと思うかもしれませんが、そうではありません。ソウル市の職員はそのために給料をもらっているのです。想像力とアイデアを持ち寄り、現在の予算や制度、法の枠組みの中でどんな方法が良いのかを研究して皆様と話し合わなくてはならないと思います。 そして、皆様がおっしゃったように、ここにすべての答えがあります。私が普段接することも聞くこともなかった集会を見ながら、むしろ希望を抱きました。「やってみようの会」や「蛍の光の会」「ドラマエキストラの会」や組合があるとは知りませんでした。ヨンマ共同体は以前から知っていましたし、民生行動連帯といったものは自助的集会だと思います。 いくら政府やソウル市が支援しようとしても、自らの意志と情熱がなければ政策の効果は半減します。しかし、幸いなことに、辛い絶望の中にありながらも自ら解決しようとする意志がありますから、その力とソウル市の政策が組み合わせられれば良い結果が出ることでしょう。本日の集会は、早くに正解を見つけて直ちに実施しようというのではなく、実効性のある政策に向かって進む第一段階だと思います。こうした集会を続けていけば、良い結果がもたらされるでしょう。 
SMG 1,305