先端技術と自然の共存、ソウルの島について
ハンガンに囲まれた神秘の島々…100年間消えていた島、突然現れた島など 「ソニュド(仙遊島)」、洪水によって生まれた島…ギャラリー、緑の柱の庭園などテーマパーク ノドゥルソム、イチョンドン(二村洞)まで続いていた砂場が島に…美しい夕焼けの「ヨンサン(龍山)八景」 「セビソム」、夜景の美しい人工の島…映画「アベンジャーズ」のロケ地 「ヨイド(汝矣島)」、牧畜場から飛行場に…現在は北東アジアの金融中心地 ソウルを流れる川、ハンガン(漢江)に浮かぶ島々の歴史についてご存知だろうか。 100年間姿を消していた島、蘇った島など、様々な変化を遂げたソウルの島々の歴史はすなわちソウルの歴史でもある。 歴史を秘め、秀麗な景色を誇るこれらの島々には多くの人が訪れる。そんな島々をご紹介しよう。 ソニュド(仙遊島):ハニャン(漢陽)八景の一つ、秀麗な景色が自慢 ソニュドは、かつてハンガン南方のタンサンドン(堂山洞)につながっていたが、1925年の大洪水を受け、石と岩が掘り返されて島となった。その後、浄水場として利用された後、リサイクル生態公園に様変わりした。人工の造形物が自然で覆われたソニュド公園を歩いていると、古いコンクリートの柱や水路の痕跡が見られる。 ソニュド その上を覆うツタがコンクリートの空間を彩り、不思議な調和を見せている。 ソニュド公園は、中央にあるテーマ庭園と、公園の外側に形成されたハンガンとソウルを望む散策路で構成されている。環境にやさしい水遊び場と水生植物園の間にデザイン・ソウ ル・ギャラリーがあり、その前には緑の柱の庭園がある。春から夏にかけてコンクリートの柱に巻きつくように緑が育ち、秋は紅葉に染まる。夜は色とりどりの照明に照らされ、素敵な夜景が演出される。 時間の庭園でもリサイクル生態公園の真髄を見ることができる。浄水場施設の骨格がそのまま残る時間の庭園は、まるで迷路を歩いているようだ。地上と地下を行き来するロマンチックなムードのコースはカップルに人気だ。 他にも、仙遊亭や環境遊び場、円形劇場、メタセコイヤ並木、白樺の森など、心が癒される緑の風景がいっぱいだ。映画「サマリア」では2人の主人公が出かけた場所として、クォン・サンウとキム・ハヌル主演の「青春漫画」ではデート場所として、ドラマ「アイリス」では主人公のアクションシーンの背景として登場するなど、映画のロケ地としても脚光を浴びている。 ソニュド公園には、散策路や芝生、過去の浄水場施設の一部が彫刻作品として活用されたオブジェ、生態復元と自然再生への願いを込めて造られた水生植物の生息地などがある。これらを見て回った後、芝生に敷物を敷いて座り、おやつを食べながら秋の夜を満喫できる。 ノドゥルソム:インド(人道)橋で様変わりした人工の島 「ノドゥルソム」は、「チュンジド(中之島)」とも呼ばれ、インド橋の建設によって生まれた島である。かつてイチョンドン(二村洞)からノドゥルソムまでは砂原だった。朝鮮時代は「サチョン(砂村)」と呼ばれ、夕暮れの風景が美しいことからヨンサン(龍山)八景の一つに選ばれた。 その後、鉄の橋「インド橋」が建設され、周りにある石を積み上げて丘にし、「チュンジ島」と名づけた。砂原だったノドゥルソム周辺はやがて島となった。 ノドゥルソム ソレソム:菜の花とソバの花で親しまれる人工島 「ソレソム」は、毎年春に満開になる菜の花で市民に親しまれる人工島である。 1982~86年のオリンピック大路建設とハンガン総合開発の際に建設されたパンポ(盤浦)大橋とトンジャク(銅雀)大橋の間に浮かぶ人工の島で、3本の橋が架かっている。シダレヤナギと菜の花が調和した秀麗な風景が魅力的だ。 ソレソム ソレソムは、春でなくてもシダレヤナギと川のほとりのガチョウののどかな風景を眺めることができる。花木が生い茂り、散策や写真撮影を楽しもうと多くの人が訪れる。近くにはアシ原とホアン散策路があり、家族連れのお出かけスポット、カップルのデートスポットとして人気だ。毎年5月には「ハンガン・菜の花祭り」が、10月には「ハンガンそばの花祭り」が催される。 日が暮れたら、悠々と流れる静かで落ち着いた雰囲気のハンガン沿いを散策するのをお忘れなく。向こう岸に屏風のように広がるソウル都心の夜景に何度も足を止めてしまう。 セビッソム:夜景が美しい、先端技術の人工島 ハンガンの素敵な夜景を眺めながらロマンチックなデートを楽しみたい人におすすめなのがセビッソムへ向かう道だ。 うっとりする夕焼けと五色の照明が調和した美しい夜景で知られるセビッソム。島の中には、レストランやパブ、カフェなどが建ち並んでおり、ハンガンとソウルの夜景を眺めながら食事とお茶を楽しむことができる。憩いの空間で休憩しながら散策路を歩いた後、芝生に敷物を敷いて座り、おやつを食べながら秋の夜を堪能するのも、忘れがたい思い出になるだろう。 セビッソム セビッソムは、映画「アベンジャーズ」の重要な韓国ロケ地の一つだった。韓国人女優のスヒョンが扮するドクター・チョの研究室として登場し、韓国人だけでなく世界の人々の関心を集めている。映画の影響で、以前の4~5倍の人が訪れる名所となった。 晴れた日はもう少し頑張って日が暮れる前に行き、ハンガンの秋の夕焼けを満喫しよう。熱気を冷ましてくれるような夏の夕焼けに対し、この季節の夕焼けはソウルとハンガンを真紅色で暖かく包み込んでいるようだ。その後、ハンガンと公園、セビッソムの夜景を見れば完璧だ。 パムソム:人の街が渡り鳥の飛来地に 形が栗に似ていることから名づけられた「パムソム(栗の島)」は、かつて孤立した島だったが、ヨイド(汝矣島)が徐々に面積を広げることで川の水が少なくなり、ヨイドにつながって一つの島になった。島の東部の絶壁は「小さなヘグムガン(海金剛)」と呼ばれるほど美しい景観を誇っていた。 朝鮮王朝のハニャン(漢陽)遷都とともに造船技術者が初めて定着したと伝わる。その後、クワなどが栽培されるようになり、1967年には62世帯が漁業、造船、クワや薬草(甘草)の栽培、ヤギの放牧などに従事していた。1968年にヨイドが開発され、ハンガンの流れをよくし、ヨイドに堤防を積むのに必要な雑石を採取するため、同年2月10日に島を爆破した。住民はマポ(麻浦)区チャンジョンドン(倉田洞)のワウ(臥牛)山の麓に移転した。爆破されたパムソムは、中心部に大きな穴があいて島のほとんどが姿を消し、ウィッ(上)パムソムとアレッ(下)パムソムに区分された。 その後、20数年余りの間にハンガンの堆積物がこの島に積まれ、木と草が生い茂り、「都心の渡り鳥の飛来地」となった。 パムソム 各年のパムソムの様子 ヨイドとマポ(麻浦)をつなぐソガン(西江)大橋の下にあるこの無人島は、ヨイドが韓国金融の中心地として目覚しい成長を遂げたこの半世紀の間、自然の堆積作用によって土砂が積まれ、徐々に面積が増えていった。 1966年に米軍が初めて測定した面積は4万5,684平方メートルだったが、毎年平均4,400平方メートルずつ広がり、ソウル市がGPSを利用して測量(2013年)したところ、27万9,531平方メートル(外回り2,895m)と、1966年の約6倍になった。 面積が増えたのは、ほとんどがアレッパムソムのほうだ。ウィッパムソムはヨンドゥンポ(永登浦)区が、アレッパムソムはマポ区が管轄している。 ソウル市は、1999年8月にこの島を生態景観保全地域に指定し、一般人の立ち入りを禁じた。その結果、現在138種の植物種と49種の鳥類が生息している。パムソムは冬になると、渡り鳥が飛来してくる。2012年には都心にある水鳥の生息地として保全価値が認められ、ラムサール条約の登録湿地に認められた 島ではない島、トゥクソム:テジョンが父親テジョの弓矢を受けそうになった現場 実はトゥクソムは島ではない。ソウル市ソンドン(城東)区ソンスドン(聖水洞)、クァンジン(広津)区チャヤンドン(紫陽洞)とクイドン(九宜洞)にまたがるトゥクソムは、ハンガンとチュンナンチョン(中浪川)に囲まれ、島に似ていることから島と呼ばれるようになった。特に、軍事訓練場として使用されていたトゥクソムに王が狩りにやって来ると、自身の象徴である纛旗(牛や鴨の尾が施された大きな旗)をさしたことから「ドク(纛)島」(纛旗がさされた島)」と呼ばれていた。 トゥクソム トゥクソムは、「サルゴジボル」とも呼ばれていた。これは、朝鮮時代の「お家騒動」後、ハムフン(咸興)に蟄居していたテジョ(太祖)イ・ソンゲ(李成圭)がソウルに戻ってくるという噂を聞いた息子のテジョン(太宗)がトゥクソムに迎えにいくと、テジョがテジョンを見るやいなやテジョンに向かって弓矢を放ったという故事に由来する。 ヨイド:牧畜場が飛行場に、 そして国際金融の中心地に 朝鮮時代、ヨイドは「インファド(仍火島)」「ナイジュ(羅衣州)」と呼ばれ、渇水期にはパムソムと砂浜でつながっていた。 羊とヤギを飼育する牧畜場として使用され、ヨンジョ(英祖)時代の朝鮮後期になって村と認められるようになった。 その後、1916年に韓国初の飛行場が建設され、1922年には飛行士のアン・チャンナムが韓国人として初めてヨイド上空での試験飛行に成功し、国民に大きな夢と希望を与えた。 1970年代になるとヨイド開発が本格化し、国会議事堂、マンション、金融施設が建設され、ソウルとハンガンの中心地に様変わりした。2009年の「ハンガン公共性回復宣言」により戦略整備区域に指定され、2011年の地区単位計画の策定とともに北東アジアにおける国際金融の中心地として飛躍を続けている。 暖かい日差しを浴び、それぞれの島にまつわる歴史を振り返りながらハンガン沿いを散策してみよう。きっと、どこへ行っても歴史の痕跡を発見できるだろう。
登録日投稿者SMG ヒット3,934