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希望日記

  • [朴元淳の市政日記8]「ソウル市民はすごいです」

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    「ほんとうに、すごいですね!」

        「ほんとうに、すごいですね!」。思わず、大きく頷いてしまう時があります。何の話をしているのかですって?私が出会った市民の皆さんの話です。市民の皆さんに会うと、「けっこう、良い仕事してるんじゃないかな」と自負している私でさえも、驚かされることが多々あります。地域社会に根を下ろし、社会問題を考え、その解決のためのオリジナルなアイデアを生み出し、実践する。その姿を見ていると、思わず感動してしまいます。

        今日の「原発を一つ減らそう」市民ワークショップでも、まさにそのような方々に出会いました。その「すごーい市民」の話を聞いてください。

    銅雀区の「原発一つ減らす運動」-18人の一ヶ月間の電気使用量節減に!

        ソウル市銅雀区(トンジャック)には、「ソンデゴルこども図書館」という所があります。そこのキム・ソヨン館長は、全羅北道(チョンラブクド)・扶安(プアン)の生まれだそうです。扶安は、放射性廃棄物処理施設の誘致に反対する激しい市民闘争が繰り広げられた地域でもあります。キム・ソヨン館長は放射性廃棄物処理施設の反対運動をしているお父さんを見て、原発の危険性を知ったといいます。昨年の福島原発事故の後、その考えは確信に変わりました。

        環境団体に電話し、問い合わせたり、講演をお願いしたり。

        それから一ヶ月半が過ぎ、「みどり連合」の人がソンデゴルこども図書館でこどもと父兄を対象に、講義を始めました。勉強したのだから、次は実践あるのみ。一ヶ月後には、「銅雀区原発一つ減らす運動」を開始、活動開始に先駆けて「エネルギーガーディアン」を10人選びました。これらのガーディアンが図書館の会員に会って、なぜ原発はいけないのか、そして原発を一つ減らすためにはどのようなことをしなければならないのかについて説明し、話し合いの場を持ちました。

        その結果、ソンデゴルこども図書館の会員200世帯中34世帯が参加を希望してきました。まずは、大型テレビを使用せず、肌着を着るようにしました。ある家庭では、トイレを使う時も、家族全員が使った後に水を流すようにしたそうです。(笑)そうやって節減された電気量は140KW!これは18人の一ヶ月間の電気使用量です。すごいではありませんか。

        目に見えて電気料金が減るため家計にもやさしいですが、効果はそれだけではありません。テレビを見ないため、こどもが本をたくさん読むようになりました。暖房器具の使用を減らすと、家族が寄り添って眠るようになり家族の絆が深まりました。肌着を着て適正温度を保つため、子供があまり風邪を引かなくなりました。このような良い結果が口コミで広まり、「原発一つ減らす運動」に参加する家庭が増えているそうです。

        これまで7回の講座、3回のワークショップを開催し、時間の余裕を見計らって全羅北道・任実(イムシル)に現地調査にも行って来ました。来月には「ソンデゴル節電所」宣言式を開くそうです。「節電所」という言葉にあまり馴染みがないでしょう。発電所はエネルギーを生産する場所ですが、節電所はエネルギーを節約する場所、つまりエネルギーを大切にする運動を行う場所です。福島原発事故があった日本でも、節電所が多く作られるようになり、エネルギー節減運動が活発に行われているそうです。「ソンデゴルこども図書館の会員の皆さん、ほんとうにすごいですね!」という言葉が口を衝いて出てくるのも分かるでしょう。

    環境にやさしいLED十字架

        「すごい市民」をもう一人紹介しましょう。夜、飛行機からソウルの街を見下ろした時、最も多く目につくのは何だか、ご存知ですか。そうです、「十字架」です。教会の十字架がソウルの夜空を華やかに飾っています。この十字架を通じて「原発一つ減らす運動」に参加している方がいらっしゃいます。ユ・ミホ「キリスト教環境運動連帯」政策室長です。彼女はエネルギー消費の多いネオンの十字架を環境にやさしいLEDに変える運動をしています。キリスト教徒ならではの運動といえるでしょう。

        大きな実践だけが「原発一つ減らす運動」に繋がるわけではありません。少し発想を変えるだけで、生活の中で実践できることはいくらでもあるのです。

    グリーンキャンパス、4ヶ月で2億8千万ウォンを節約

        「すごーい大学」もあります。残念ながらソウル市にある大学ではありません。しかし、モデルになるケースなので、みんなに知ってもらいたいと思います。昨年から大邱(テグ)大学では、大学本部が支払っていた電力、水道などの費用を、学部ごとに支払う「公共料金独立採算制」を導入しました。エネルギー節減のための、秘策だったのです。結果は大成功でした。

        4ヶ月間節約した金額は、何と2億8千750万ウォンだそうです。建物における在室感知センサーの設置、マルチタップへの交換、冷暖房の適正化など、基本的なエネルギー節減システムを導入しました。しかも、エネルギー浪費の徹底した監視、節水器の設置、漏水点検などにより、エネルギーとお金を同時に節約することができたと言います。

        一日も早く、ソウルでもこのような「グリーンキャンパス」を作って、エネルギーも学校の財政も両方減らし、学生の授業料負担をうんと減らさなければなりません。

    すごーい公務員-エネルギーは雇用に繋がる

        最後になりますが、市民の皆さんの自慢話をずっとしてきたのですから、今度はソウル市の公務員の自慢話をしたいと思います。江東区(カンドング)は廃油を集めてバイオディーゼル事業を行っています。小中高の6校と共同住宅など90ヶ所から廃油を集め、清掃車の燃料として使用しています。現在、清掃車32台中26台に廃油が使われています。軽油からバイオディーゼルへと変えた後は煤煙も減り、一石二鳥だそうです。

        江東区庁の公務員はこれだけでもすごいですが、さらに取り組みを強化させました。既にバイオディーゼル事業の成果がある程度知られていて、アパートなどにはかなり定着しています。したがって、これからは共同住宅に比べて比較的実践しにくい一軒家を対象に廃油リサイクル事業を行っていくそうです。また、廃油の回収と処理を担当する社会的企業を育成し、地域の雇用を拡大していく計画にあります。エネルギーがお金や教育、共同体、雇用をどんどん変えていっているのです。私が大きく頷くのも分かるでしょう?本当にすごーい公務員ではありませんか。

        私の任期中に「原発を一つ減らす」と言った時、一部では、韓国のような化学燃料が生産されない国で原子力は「避けられない選択」だとする意見もありました。しかし、我々は日本で起きた教訓を見ています。

        2月8日から10日間、日本を訪問した時、私は日本の官房長官、復興担当相、原発事故担当相に会いましたが、彼らは皆暗い顔をしていました。福島原発事故以来、日本は次第に沈んでいます。日本の知識人社会では、日本は事故以前の平和な時代には戻れないという悲観論が広まっています。

        現在、日本の原発54基中50基はすでに稼動を中断しました。3基もこれから中断する予定です。それでも日本の電力需給に問題は生じていません。日本が脱原発で生きていけるなら、韓国も脱原発で生きていけるはずです。日本から最も近いわが国が、福島原発事故から何も教訓を得ないのなら、それは現代における最大の失態と言えるのではないでしょうか。

        「原発一つ減らす運動」は、私たちが次世代に伝えられる最高の贈り物です。その贈り物は、上で話した「すごーい市民」の皆さんの力で実現します。エネルギー問題、環境問題は実践の問題であるため、市民の皆さんの参加無しでは決して解決できません。公的機関より、市民の皆さんが中心となって実践していかなければならないのです。

        私は「市民の人生を変えるはじめての市長」になると、重ね重ね申し上げてきました。しかし、このような「すごーい市民」の皆さんがいるからこそ、私たちの生活は次第に変わっていけるのだと思います。このような「すごーい市民」を持つ私は、本当に幸せな市長です。
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