世界の主要国がカーボンニュートラル達成のためエネルギー転換に乗り出しているなか、ソウル市が世界レベルの「地熱エネルギー都市ソウル」づくりに拍車をかける。現在、建物の冷房・暖房に278MWが供給されている地熱エネルギーを、2030年までに原発1基の設備容量にあたる1GW(1,000MW)水準に供給を拡大するという計画だ。
これにあたって、公共部門での地熱供給をリードするため、カラク(可楽)市場、ヨンサン(龍山)国際業務地区などの5大圏域に対するソウル市の主な拠点事業に地熱設備を導入するなどして、地熱ランドマークを造成する。
また、高い初期投資費用、工事期間の遅延など、地熱冷房・暖房における設置・運営上の敷居を下げるため、2024年から「ソウル型地熱インセンティブ」制度を新設してテスト運営を実施し、工事計画から運営段階まで、専門家で構成されたコンサルティンググループを運営する。
ソウル市は、このような内容を骨子とする「地熱補給活性化総合計画」を策定した。温室効果ガス発生の割合が高い建物の熱供給に対応できるよう、地熱エネルギーを都心のメインエネルギー源に転換することが計画の中核である。
ソウル市は、総合計画に従って2030年までに地熱1GWを供給することができれば、温室効果ガス51万8千トン(CO2)を削減できることを期待しており、これは電気自動車32万3千839台の供給に値する効果を発揮する。
ソウル市は、地熱を中心にソウル市の新再生エネルギー供給率を継続的に引き上げて、2050カーボンニュートラル達成に向けて邁進する計画だ。
カラク(可楽)市場の地熱システム機械室の様子