- ソウルへの対外直接投資、101億ドルで過去最高、新産業への投資(52億ドル)が顕著
- グローバル投資心理が委縮するなか新規投資、増額投資ともに上昇
- 製造業とサービス業に対する投資進み、製造業は前年より大幅上昇(+276%)
- 市、「2020年も中央政府などと積極的に協力し対外直接投資の誘致拡大に向け努力」
ソウル市は、米中貿易紛争や日本の輸出規制など、全世界で投資心理が冷え込むなかでも、2019年の対外直接投資額が初めて100億ドルを突破したと明らかにした。2019年のソウルに対する対外直接投資は101億ドルと、これまでの最高記録だった2016年の96億ドル、2018年の90億ドルを上回り、過去最高額を更新した。2017年以降、ソウルへの対外直接投資額は3年連続増加し、高い伸びを見せている。
2019年の韓国への対外直接投資総額は230億ドルで、ソウル市(101億ドル)が全国の対外直接投資誘致に占める割合は約44%だった。ソウルへの対外直接投資では、新規投資と増額投資がともに等しく上昇し、とりわけ第4次産業革命を支える製造業分野における投資が大幅に増加した。
2019年、ソウル市は潜在投資家の発掘に向け、米シリコンバレーや英ロンドンなどを訪問するソウル市投資説明会を開催し、産業通商資源部と「戦略的対外投資誘致に向けたインセンティブ」を提供するなど、対外投資をソウルの「実質的な雇用創出」に結びつける成果をあげた。
ソウル市は、昨年7月、一年間に渡る投資誘致交渉の末、アベンジャーズなどハリウッド映画のVFX(視覚効果)を手掛けるスキャンラインVFX(Scanline VFX)のグローバルスタジオをソウルに誘致することに成功した。
また、11月には航空宇宙機器大手のボーイング(Boeing)社の自律飛行研究センターがソウルに開館した。これもまた、この間、対外投資家諮問会議などを通じて対外投資企業と綿密にコミュニケーションをとってきたソウル市の投資誘致活動の成果といえる。
2019年は総額37億ドルの新規投資が流入し、前年比16%以上の増加となった。新規投資のうち新産業分野に対する投資は23億ドルで、新規投資の62%を占める。ソフトウェア開発、研究開津など新産業分野への活発な新規投資は、韓国経済の新成長を促す呼び水となっている。
さらに、増額投資も前年比11%増の60億ドルだった。このうち第4次産業革命分野と情報通信基盤サービス業の創業企業など、新産業分野への投資は28億ドルに上り、ソウルの技術基盤の革新企業に対する対外投資が着実に行われていることが見て取れる。
2019年のソウルの外国人投資を投資業種別に見ると、特に製造業分野で大手企業間取引(Big Deal)が成就したことに伴い、対外投資が大きく伸びている。グローバル化粧品市場で独自の技術力と革新性が認められたK-ビューティなどの製造業分野では、昨年20億ドルの対外投資が流入し、前年比267%と大幅に上昇したことは注目に値する。K-ビューティに対する潜在外国投資家の関心が大規模な投資という形で現れており、ソウル型有望製造業分野への対外投資は今後も続いていくとみられる。
パク・ウォンスンソウル市長は、「2019年は地政学的リスクが大きい経済環境だったにもかかわらず、過去最高の対外直接投資の誘致に成功したことは大変喜ばしい成果」とし「2020年にも対外直接投資がソウル経済の革新成長に弾みをつけられるよう、さらなる対外直接投資の誘致に向けて取り組んでいきたい」と話す。
【添付】2019年ソウル市対外直接投資(FDI)誘致現況
□ 推移(申告額基準、直近5年間)
□ □ 凝集別・類型別詳細(直近5年間)