ソウル市は、2学期の始業を迎え、公立小学校のスクールバス53台に「子ども下車安全確認システム」(別名「Sleeping Child Check System」)を導入する。このシステムにより学生や保護者が安心してスクールバスを利用できるようになる。
ソウル市の公立小学校に対するスクールバス支援事業は、2015年に始まり、現在までスクールバス関連の安全事故は発生していない。しかし、毎年全国で通学バスの中に子どもが閉じ込められる事故が起こっている。2016年12月2日から、道路交通法によって、子どもの下車を必ず確認することが義務付けられているが、それにもかかわらず2018年7月に再度、子どもが車内に閉じ込められ死亡する事故が発生した。これを受け、事故を未然に防ぐために、公立小学校のスクールバスに安全装置を設けることとなった。
「子ども下車安全確認システム」は、スマートフォンとNFC(近距離無線通信)を活用したもので、まず運転手が子ども全員の下車を確認し、バスの最後列とバスの内・外部(計3ヵ所)に取り付けられたNFC端末にスマートフォンをかざすと、保護者や学校の管理者に安全下車確認の知らせが届く。端末にスマートフォンをかざさない場合、運転手や介助員のスマートフォン、そして学校管理者のパソコンから1分ごとに警報音が鳴り、子どもが車内に閉じ込められるような事故は防ぐことができる。
また、ソウル市は、8月14日、スクールバス運営校の運転手や介助員106人に対し、スクールバス利用上の事故予防規則や、応急手当、心肺蘇生などの安全教育を行った。今回の教育では、スクールバス事故の特性、安全運転の仕方、事故予防規則などの理論的な教育だけでなく、出血、骨折、火傷などが発生した時、速やかに対応するための応急手当や心肺蘇生の実習も行われた。なお、新たに導入する下車安全確認システムに関する使用者教育も行われた。
ソウル市は、スクールバス事故の大半は、運転手と介助員の注意や努力さえあれば事前に防ぐことができると考え、このような教育により事故率が下がるものと期待している。
また、ソウル市は2016年から毎年、現代海上火災保険㈱とともに、希望校に「子ども交通事故予防のための通学路安全地図」を製作、配布している。今年も積極的にこの活動に取り組むほか、学校を訪問して「訪問安全体験教室」も運営している。
通学する子どもの安全を確保するために、2018年はスクールバス運営校のうち4校(2016年から計16校)に安全地図を製作・配布した。学生の通学状況アンケートや通学環境・施設評価などの現場調査を通じて安全な通学路と危険な地域を示した安全地図を製作。この安全地図を2,300㎜×1,130㎜の大型にして学校の主な出入り口に掲げるとともに、Eメールや連絡帳を通じて各家庭にも送っている。
また、2018年にスクールバス運営校のうち6校(2016年から計43校)を対象に「訪問安全体験教室」も行う計画で、現在まで4校の1,886人(3時間)に対して実施している(残り2校は8月末と11月の予定)。「訪問安全体験教室」では、つまらない理論だけの教育から抜け出し、自分の体で実感しながら安全な生活習慣を身につけることができる。
ソウル市は、現在スクールバスを運営している53校以外にも通学環境の改善が必要な公立小学校があると判断し、2019年までにスクールバス運営校を58校に拡大する計画。そのために、計40億9千万ウォンの予算を編成している。その予算には、車両費(バスの借り上げ料金、塗装料金、保険料、子ども下車安全確認システムなど)と人件費(運転手・介助員)が含まれている。2019年の支援予算は、2018年(53校)より8.6%、2015年(33校)より34.5%拡大したもの。(※2015年33校、2016年40校、2017年48校、2018年53校に支援)
ソウル市生涯教育局のぺく・ホ局長は、「今回導入する『子ども下車安全確認システム』により、学生と保護者のみんなが安心して通学できることを期待している。これからも小学生の安全を守るために取り組んでいきたい」と述べた。
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< 運転手のスマートフォン・アプリケーソン画面 > | ||||
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