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[2015] 市長挨拶

  • 真の地方自治が新しい成長と国家競争力を導く力です。

  • [2015] 市長挨拶 SMG 1,288

    自治分権と地方財政拡充戦略セミナー基調演説
    日付 2015年4月20日 場所 国会図書館

    こんにちは。皆様、お会いすることができて嬉しいです。ソウル特別市長のパク・ウォンスンと申します。民選地方自治20年を迎え、「自治分権と地方財政拡充戦略」について意見を交わす場を持つことができて非常に意味深いと思っております。このように意味深い行事に大きな関心を持って準備してくださったソウル研究院のキム・スヒョン院長、韓国地方自治法学会のキム・ドンゴン会長、韓国地方財政学会イ・サムジュ会長をはじめとする関係者の皆様に深く感謝申し上げます。同時に、本日のセミナーで発表と討論をしてくださる学界や専門家の先生方々にも感謝申し上げます。皆様の貴重な意見がこれから地方自治の成長と発展に大きな力になると信じております。

    都市の時代・地方の時代

    去る4月8日、ソウルでは世界が注目した国際的な行事が開かれました。5日間開かれた世界都市気候環境総会イクレイ(ICLEI)行事でした。全世界87か国、1,200余りの都市と地方政府から2,000人余り以上の市長団が参加した歴代最大規模で行われた行事でした。私はイクレイ会長として選出され、今回ソウル総会を主導しました。特に、温室ガスの減縮と地球温暖化防止のための9大実践事項を含む「ソウル宣言文」を採択し、発表したのは今回行事のクライマックスでした。世界都市と地方政府が主役となって地球の持続可能な未来を共に作っていくという決意は、国境を越える都市と都市間のガバナンスを実現した非常に大きな成果でした。

    今世界は都市の時代に進んでいます。地方の時代に進んでいます。国家と国家間の境界を超え、都市と都市、地域と地域、人と人の間の実質的な疎通や交流、協力に集中する時代になりました。

    世界的な碩学たちも世界的な流れである都市と地方政府の重要性について力説しています。世界的な社会学者であるベンジャミン・バーバーは、「大統領は原則を述べるが、市長はゴミを拾う」という名言を残しました。『If Mayors Ruled the World: Dysfunctional Nations, Rising Cities』という著書の中で、都市問題が世界的な問題として浮上している時代に、都市問題は都市と地方政府が主導的に解決しなければならないと主張しました。未来学者であるアルビン・トフラーも、「地方分権は未来の政治秩序」と強調し、地方分権に未来があると主張しました。

    世界化・都市化の時代の中で、真の地方分権は世界主要都市が様々な都市問題を解決する中心軸となっています。隣国の日本は過去には国家の法律で自治組織権を厳しく統制していました。しかし、2003年以降、地方自治法を改正し、組織編成権を条例に定めて自治組織権を全面的に認めています。その結果、地域の特性に合わせた自律的な組織の運営が可能となり、国家競争力の強化に繋がりました。しかし、我が国大韓民国の現実はどうでしょうか?

    成人となった地方自治ー明暗二つの顔

    今年は1995年に第1次全国同時地方選挙が復活されことで本格的な地方自治時代を開いてから20年以上になります。地方自治がもう「成人」を迎えたのです。しかし、我が地方自治は今も中央政府に依存している「未成年」に過ぎません。世間では大韓民国は地方自治国家でなく、「中央自治国家」という話があり、財政と事務が20%を占めている現実を皮肉って、「2割自治」とも言われています。今日の我が地方自治の姿を加減なしに見せています。

    何よりも世界有数の都市と地方政府は企業を誘致するために土地の無償提供や地域インフラの拡充、法人税の減免、雇用創出に対する補償等を提案しながら交渉し、それを実現しています。しかし、我が地方政府はどうでしょうか?

    何の約束も、補償もすることができない無気力な政府です。これらの全てを中央政府が担当しているためです。むろん、過去20年間地方自治の歴史を振り返って見ると、市民が地域社会の主役として登場し、市民のための行政サービスの量的・質的な拡大を実現し、市民との協力政治を実現したという意味ある成果も多くありました。

    ソウル市も、「市民の皆様が市長」という旗印の下で始まった民選5期と6期の間、市民と疎通、協力、参与の市政を行いながら地方自治の花を咲かせるよう努力を尽くしています。

    環境に優しい無償給食を小中学校で全面的に実施したことや、ソウル市立大学の「半額授業料」政策、ソウル市民なら誰でも享受できる「ソウル市民福祉基準」の設定、「ソウル市民福祉基準」と関連する102件の事業と「ソウル型基礎保障制」の実施、非定期職の定期職化、「患者安心病院」の施行、国公立保育園300か所拡充、高齢化社会対策の「ベビーブーマー支援対策」と「人生二毛作支援センター」の設立等、ソウルの状況に合わせたソウル型政策を展開しています。

    このように地方政府が自律権を実質的に確保してはじめて地域の状況に合う、また市民が肌で感じられるような行政サービスを提供することができます。したがって大韓民国の持続的な成長と発展、様々な行政需要に対応するためには真の地方自治が至急に実現されるべきであり、これは直ちに国家競争力に繋がります。

    ソウル市をはじめ、地域特色の政策を展開している地方政府の努力にもかかわらず、大韓民国の真の地方自治を実現するためには乗り越えるべき山がまだ多いです。

    何よりも国税と地方税の配分構造に変化がないという事実は手痛い現実です。基礎年金、受給者制度の改善等、福祉需要は急増していますが、福祉財源の調達を自治体の税収入にだけ依存しては解決し難しいのが現実です。ソウル市の場合を見て見ましょうか?社会福祉予算の86%、女性家族予算の68%が国家事業を代行する福祉政策(国費・私費)です。このためソウル市ではソウル市の必須な福祉政策を実施することには限界があります。また、社会福祉予算の中、74%が基礎保障、基礎年金、障害手当て等で中央政府の機能である公的扶助及び社会保険に関する予算です。

    国庫補助金の比重が高まることに連れて政府に対する依存現象は日々深化しています。実際に一定の比率の財政を負担すべきである国庫補助事業は2007年の32兆ウォンから2014には61兆ウォンまで2倍近く増えました。

    国庫補助事業が増加したため、ソウル市のマッチング事業費を負担することも難しいのが現実です。

    無償保育、基礎年金等、国家最低水準の共通サービスは、国家財源で中央政府が全部負担し、地域最適水準の自由裁量サービスは、地方財源で地方政府が全部負担する方向で福祉事務の機能を再配分することが必要です。

    地方自治団体長が地方自治団体の現実と実情に合わせて円滑な組織運営権を握らない現在の制限的な組織運営権も、経済、再生、安全、福祉等、様々な行政需要と国政課題を先制的で効果的に対応するために難しい点が多いです。組織運営の自律権も真の地方自治を具現するために必ず必要です。

    パラダイムの大転換-分権型国家経営に未来があります。

    今や地方自治と分権は時代的な課題であり、我が社会が目指さなければならない目標です。そして自治分権はある一つの主体だけが主導しては行けません。

    「中央と地方」、「地方と地方」が力を合わせて解決して行かなければならない問題であり、国民の関心と愛情に基づいて社会的な談論が形成されなければならない課題です。

    中央政府も地方自治20年を振り返って見て、その歴史から地方自治の主要課題を包括的に含んだ「地方自治発展総合計画」を発表しました。むろん、地方自治団体と関連学界、市民団体の期待の全てを満足させるのは難しい点が多いでしょう。それぞれの立場と見解によって当面の課題が異なるかも知れません。

    しかし、地方財政の拡充を通じた自主財源の拡大、自治組織権及び自治立法権の拡大等、共通課題を解決しようとする社会的雰囲気が形成されているのは肯定的な変化だと思っております。しかし、それが「計画」で終わらせないためには、行動で実践しなければなりません。

    これからは地方自治団体の発展のみならず、国家全体の持続的な発展と新しい成長のためにも、さらには世界中で国家競争力を確保するためにも国家経営のパラダイムを変えなければなりません。「分権型」に私たちの未来があります。

    「真の地方自治」の道に都市と国家の競争力の命運がかかっています。相生と自治の道に新しい成長の動力がかかっています。

    市民が幸せになれば、都市が幸せになります。都市が幸せになれば、国家が幸せになります。私たちはこの簡単明瞭の真理を忘れては行けません。

    本日のセミナーが真の分権型国家経営の道、真の地方自治の道を大きく開く出発点になることを願っております。民選自治20年を迎える2015年がこれから新しい地方自治時代を開いていく歴史的な転換点になることを期待します。ソウル市も一緒にします。ありがとうございました。

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