2021年は、ソウル地域の大気質観測を始めて以来、最も良好な結果となった。2021年、ソウルのPM2.5(微小粒子状物質)の年平均濃度は19.8㎍/㎥で、PM2.5の観測を始めて以来、最低値を示した。PM2.5が「良い(~15㎍/㎥)」の日も観測を始めて以来最も多い172日を記録した。半面、「悪い」段階を超えた日数は、歴代最少となる35日を記録した。
ソウル市は、このようにPM2.5濃度が改善された背景として、韓国内外における排出低減への努力と気象的条件、新型コロナウイルス感染症により社会経済活動が減ったことなどが複合的に作用したものと分析している。
特に、これまで2003年からソウル市が先導的に取り組んできた様々な大気質改善政策が効果を発揮したものとみている。ソウル市は、2003年から輸送分野における大気質改善政策を推進して、2014年にすべての市内バス燃料をCNGに替えることを完了しており、2021年まで約50万台の老朽ディーゼル車に対して低公害措置を支援してきた。また、PM2.5(微小粒子状物質)の原因物質である窒素酸化物を低減させるため、2015年から一般ボイラーよりも窒素酸化物の排出が88%少ないエコボイラー普及事業を実施して22万台を普及し、さらに2020年4月には「大気管理圏域法」改正によって、設置が義務化されている。その他にも、電気自動車の普及、事業場の大気汚染物質総量規制、防止施設設置に対する支援などの低減対策への取り組みを継続している。
これと合わせて、下半期の気象的条件を見たときに、東風気流の流入が多く、中国北東部地域の大気質が比較的良かった点も、PM2.5濃度が低くなった原因の一つと推定されている。
ソウル市は、2022年にも市民がますます澄んだソウルの空を体感できるよう、季節別の対策と自動車、暖房、発電など分野別の既存の大気質改善政策を継続していく計画だ。
なお、現在「微小粒子状物質(PM2.5)季節管理制」を施行しており、大気質が悪くなる2021年12月から2022年3月までの4か月間、通常よりも強化された分野別の低減対策を推進中だ。
特に、2022年は大規模な排出源を中心に、IoT基盤の遠隔監視システムを常時稼働させ、リアルタイム排出源管理に抜け目がないよう強化していく予定だ。