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[2014] 市長挨拶

  • 社会的経済という新しい世界、 その希望の扉を開く鍵

  • [2014] 市長挨拶 SMG 760

    2014国際社会的経済協議体創立総会の基調演説

    日付 2014年11月17日 | 場所 ソウル市庁多目的ホール

    こんにちは。お会いすることができて嬉しいです。ソウル特別市長パク・ウォンスンと申します。2014国際社会的経済協議体(GSEF)創立総会にお越しくださった皆様、心より歓迎申し上げます。

    ファン・マリアアブルトバスク社会部長官、ジョセフィーナ・ベルモンテケソン副市長、シャンティエ・ネンシニムタン代表、カールポランニー研究所のマーガレット・メンデル教授をはじめ、各都市と民間代表の皆様、社会的経済の専門家の皆様に感謝申し上げます。同時に、パク・レハク市議会議長、行事をご準備くださったソン・キョンヨンソウル組織委員長をはじめとする、ソウル市社会的経済の関係者の皆様にも感謝申し上げます。

    本日、私たちは国際社会的経済協議体の創立を通じて、「連帯」と「協力」という美しく感動的な言葉をついに手にしました。「両手両足と同様に、私たちはお互いに協力するために生まれた」(マルクス・アウレリウス)という言葉がありますよね。私たち人類はこのようにお互いに連帯し、協力しながら最も偉大な歴史を築いてきました。

    何より今の世界は、いつにも増して深刻で重大な挑戦と危機に直面しています。貧富の格差や不平等問題、資源枯渇やエネルギー問題、少子高齢化をはじめとする低成長や雇用不安などは、私たちの目の前にある懸案となっています。これらは地域や都市、国家の問題を乗り越えて、世界がともに経験し、世界がともに解決しなければならない地球レベルの問題となっています。

    しかし、「ピンチはチャンス」という言葉のように、私たちは危機を新しく、大きな転換のチャンスに変えなければなりません。世界の市民全員がともに幸せな、「もう一つの世界」へ跳躍する土台にしていかなければなりません。

    社会的経済は、私たちに新しい世界に向けた希望の扉を開けてくれる鍵となるでしょう。社会的経済は、すでに経済危機や環境問題、地域共同体崩壊など、私たちが直面している問題を解決できる新しい方法として、その価値が認められています。社会的経済は経済、社会、文化、そして生態問題を統合的に見つめ、民主的な意思決定と参加を促すことで、私たちの問題を私たち自ら解決する機会を与えてくれます。社会的経済は、何よりも村と地域の境界を越え、世界市民と国際社会がともに連帯し、ともに協力する気持ちと協業の道を開いています。

    2013年11月、私たちはこの場で出会いました。社会的企業、協同組合、地域コミュニティービジネスなど、世界の多くの地域と都市の社会的経済を通じた社会革新の試みや成功事例を調べ、そこから都市と都市、国家と国家との間には、お互いの経験や資源を積極的に共有することが必要であることが分かりました。私たちは「ソウル宣言文」を採択し、それに同意しました。

    今回創立される「国際社会的経済協議体」は、全世界の都市政府と民間組織を繋げ、またこのような私たちの連帯は、世界を変えていくと確信しています。

    ソウル市も、社会的経済の生態系造成と発展のために、様々な政策を進めています。市場経済や公共経済、社会的経済と調和した発展こそ個人の能力を最大限発揮させ、また社会問題を解決してくれるという信念を持って、公共購買の拡大や体系的な中間支援システムの構築、社会問題を解決する革新的な社会的経済組織の発掘、地域共同体を基盤とする社会的経済組織を育成しています。

    ソウルの社会的経済政策の一貫した政策方向は、相互連帯や協力、信頼を構築することであり、これによって私たち社会が抱いている格差問題と不均等、疎外と孤立、雇用などの諸問題を解決する対案と希望を提示しています。

    これを実現するためソウル市は、「社会的経済支援センター」を設立して社会的経済組織間の協力を促し、新しい主体を発掘しており、社会的経済組織が独立できるように、各種教育とコンサルティングなどを支援しています。社会的経済支援センターの社会的経済育成プログラムは、革新的なモデルとして評価され、これまで海外37ヵ国、韓国内63都市及び機関など1,700人余りの人々がベンチマークや業務協力のために訪問しています。

    またソウル市は、販路の狭い社会的経済組織のために、社会的経済市場の運営やオンラインショッピングモールの運営などを通じて、販路の開拓支援を行っています。ソウル市が率先して社会的経済組織の客となり、今年だけで800億ウォンの公共購買達成を目指して努力しています。今回の国際社会的経済協議体イベントも、通訳や翻訳をはじめ茶菓、展示、公演に至るまで、様々な社会的経済組織が参加して準備したものです。

    同時に、社会的な波及効果の大きいビジネスモデルを持つ、革新型モデルを発掘して企業を育成し、優秀な社会的経済企業に対しては販路やマーケティングを集中的に支援して、スター企業として成長できるよう支援しています。このような社会的経済政策の一貫した推進は、持続可能な社会的経済生態系の造成と発展を実現してくれる原動力になります。

    実際にソウルの社会的経済に対する様々な試みが、都市の外観だけではなく、市民たちの生活を具体的にどのように変化させているかを調べるために、ソウル市の政策事例をいくつかご紹介させていただきます。

    社会的経済は、構成員間の民主的な意思決定と参加を、最も重要な価値としています。ソウル市の場合も、すべての政策の意思決定と参加の中心には、「市民」がいます。ソウル市は、「市民の皆様が市長です」をモットーに、ソウル市のメインであるソウル市民の積極的かつ能動的な参加を導くために努力しています。ソウル市は市民との「協力政治」、そして制度の「革新」という両軸で、市政を運営しています。

    「聴策討論会」と「政策博覧会」は、市民の参加を導いて市民とともに協力政治を行う、良い事例になります。「聴策討論会」は、一つのテーマで様々な意見を提示する市民の声を聴き(聴)、政策(策)に反映する、ソウル市のオフライン疎通チャンネルの中で最も代表的な窓口です。

    これまで「原発1基削減」や「PM 2.5対応方案」などをはじめ、計88回の聴策討論会が開かれ、1万2,000人余りの市民が参加しました。市民からの意見の中で76%の1,141件が政策に反映され、市政として施行されています。また、スウェーデンの「アルメダレン」をベンチマークした、毎年9月開催の「希望ソウル政策博覧会」は、市民が直接政策をつくって参加するお祭りです。

    2012年から始まって3回目を迎えた今年は、約3万5,000人余りの市民たちが参加して安全、住居、保育など、ソウル市政の全般に対して400余りのアイディアを提供し、35の市民団体が社会的経済や歴史文化遺産などをテーマに、様々な討論と論議を展開しました。

    SNSを活用した市民との協力政治も、市政の一つの軸になっています。私のSNSフォロワーはすでに130万人を超え、SNSは世界中のすべての市民に開かれた、政策公論の場になっています。SNSでつぶやかれた市民たちの声は市政に反映されており、現実化しています。

    深夜バス「オルペミバス」は、市民や企業、ソウル市がともに協力政治を実現しながらつくった政策です。夜遅くまで灯りの消えない、24時間眠らない都市ソウルは、それだけ深夜の移動人口も多いです。

    ソウル市は、夜間勤務を終えて帰宅する市民たちのために、民間移動通信社と協約を締結し、実に30億件以上の通話量データ情報と500万件の深夜タクシー乗下車のビックデータを分析し、ソウル型深夜バスである「オルペミバス」を誕生させ、市民たちがSNSにアップした要求事項を政策に反映しました。このように誕生した「オルペミバス」は、ソウル市民が最も支持するソウル市政策1位となっています。

    「健康体重3.3.3」プロジェクトも、市民と民間企業の参加と協力政治に基づいてつくった、代表的な健康政策です。3か月に3kgを減量して3ヵ月間その体重を維持する、肥満予防プロジェクトである健康体重3.3.3は、ソウル市民が体重から減量した分の米を低所得階層に寄付する方式で行われており、健康も守りつつ社会貢献もできる「優しいプロジェクト」として知られるようになり、これまで計1万7,000人余りの市民が参加しています。

    民間と情報を共有しながら新しいトレンドと政策需要を把握し、スマートで優しい政策を実現していくこと、これこそが真の民官協力政治になります。

    ソウル市は2012年に「所有を越え共有の時代へ」というモットーの下、「共有都市ソウル」を宣言し、徐々に目に見える成果が現れ始めています。特に、共有企業とソウルの行政力がサポートし、シナジー効果を上げています。

    ソウル市の固有ブランドである「ナヌムカー」は中小カーシェアリング事業者を同じブランドの「ナヌムカー」に統合し、ソウル市が直接広報して、共用駐車場を安く使用できるようにするなど行政的支援をした結果、利用率が年間150%以上増えました。子供服を共有する共有企業(株)キプルの場合、自治区と地域内の国公立保育園とマッチングされてから1年で、子供服の共有率が120%までに拡大されました。

    モノと空間、情報、時間と才能の共有は、利用可能な資源の限界や人間関係の喪失など、現代社会が抱いている多くの問題を解決する糸口を提供しながら、市民の生活を変えていくことができると思っております。

    現在ソウル市では、約1,000個余りの社会的経済組織が活動しています。社会的経済組織は崩壊した共同体を復元し、個人と村、地域の成長と社会問題を解決するために積極的に努めています。

    社会的経済は、村と地域を基礎にしなければ成功することができません。代表的な例が、ソウルのソンス(聖水)洞手製靴協同組合です。ソウルソンス洞は、韓国手製靴製造会社の70%が集中しており、ここで作られた靴は百貨店などに納品されるなど世界最高品質の手製靴です。

    しかし、優秀な品質にもかかわらず、有名ブランド商品ではないという理由で、消費者から冷遇を受けてきました。問題は「ブランド」だったのです。そこで、「ソンス洞手製靴協同組合」が誕生しました。「ソンス洞手製靴」は、合理的な価格で最高品質の靴というイメージを構築することに成功し、衰退していたソンス洞商圏は、全国から靴を買いに来る手製靴のメッカとして復活しました。

    「少子化問題」はソウルをはじめ、世界の多くの都市が抱いている共通の問題です。何よりも育児の大変さが少子化の原因の一つとして挙げられますが、育児のために女性の皆様が仕事を辞めたり経歴を諦める事例も増えています。これは当事者だけではなく、社会にとっても大きな損失になっています。ソーシャルメイト・ソムは、キャリアを中断した女性の皆様が集まり、「学んだことを活かせる仕事を探すために」つくった協同組合です。午前9時から午後6時までという固定時間制ではなく、できる仕事をできる時間帯で行い、足りない部分はお互い助け合うことで、育児をしながらもキャリアが中断されないようにしています。

    またソウルは、エネルギー消費都市からエネルギー生産都市への転換を目指しています。代表的な事業の一つが「原発一基削減」です。原発1基から生産されるエネルギー200万TOEを減らすという政策目標を持って、実際にこれを実現しました。この政策を心強く後押ししたのは、太陽エネルギー関連11の協同組合です。11の協同組合の約3,500人の組合員が集まって7基の発電所を建て、これからさらに7基の発電所が設置される予定です。代替エネルギーの重要性に共感し、市民たちが自ら出資金を出して発電所を建てたことが、大きな成果と言えます。

    本日は、ソウルの社会的経済政策とその事例、努力と成果などを簡単に紹介させていただきました。

    私は、ソウルが歩むべき道はまだ遠いと思います。本日の「国際社会的経済協議体」の創立は、これからソウルが歩むべき道に素晴らしい道しるべになってくれるでしょう。「国際社会的経済協議体」は、世界各都市と団体のビジョンと経験を共有する場となり、私たちは協議体の活動を通じて、社会的経済の価値が世界市民の意識と実践の中で一層広がっていけると思います。また、別の次元での連携と協力を行うことができると期待しています。

    皆様、「1人で見る夢は夢でしかない。しかし、誰かと一緒に見る夢は現実になる」という言葉があります。本日私たちの出会いが、私たちの夢を現実にしてくれると確信しています。本日のイベントがソウル市で開かれたことを嬉しく、誇らしく思います。この場にお越しくださった皆様に改めて感謝申し上げます。

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