- 22の投資・出捐機関約2万人の「男女賃金格差現況」を9日ソウル市ホームページに掲示…討論会開催
- 男女賃金格差を国内で初めて分析・公開し、改善に向けた本格的な取り組みへ
- 労使、民間専門家が共同で作成した公示モデル提示、社会的な認識の変化を
- 22の機関で多様な男女賃金格差、女性の割合は18%、男性の平均勤続年数は女性よりも7.7年長い傾向
- ソウル市、差別調査官など専門諮問団を各機関に派遣、改善計画を策定…民間への拡大に向け努力
ソウル市は、男女が平等な労働のスタートラインに立てるよう支援すべく、今年3月8日の「国際女性デー」に発表した「男女賃金公示制度」を施行した。
ソウル市は、22の全ての投資・出捐機関につき、機関別の男女賃金格差と、職級別・職種別・在職年数別・人件費構成項目別の男女賃金格差を9日(月)ソウル市のホームページに公示(2018年ソウル市投資・出捐機関男女賃金格差現況)したと発表した。国内初の「男女賃金公示制度」の施行となる。
※ ソウル技術研究院は2018年に設立され満勤者がいないため対象から除外。
「男女平等賃金公示制度」は、性別や雇用形態別の賃金や勤労時間など、労働に関する情報公開を義務化するもの。情報公開の透明性を高めることで性別による不合理な賃金格差を解消し、男女の平等な賃金体系を目指す。スイス、イギリス、ドイツなどではすでに同様の制度が施行されている。
ソウル市は、韓国がOECD加盟国で男女賃金格差ワースト1位という状況のなか、公共はもとより民間でも初めて男女賃金格差の分析に着手し、透明な情報公開に加え具体的な改善の取り組みを本格的に進めることが今回の公示の最大の狙いだと説明する。
女性・労働・市民団体、企業など、民間各界の専門家が参加するTFの主導のもと、22の機関の労使が対話、協力しながら推進したという点でも意義深いといえる。こうした一連の内容を男女賃金格差改善委員会(共同委員長:シン・ギョンア翰林大教授)が審議、議決し、市が最終的に公示した。
今回公示された男女平等賃金データによると、ソウル市の22の投資・出捐機関の男女賃金格差は46.42%~-31.57%と大きな開きがあった。「男女賃金格差」は、男女間の賃金の格差を比率で示したもの。例えば、30%の格差なら、男性の賃金を100万ウォンとした場合、女性の賃金は70万ウォンということになる。-30%の格差なら、男性の賃金を100万ウォンとした場合、女性の賃金は130万ウォンであることを意味する。
19の機関の男女賃金格差は、韓国の男女賃金格差(34.6%、2017年OECD発表)よりは低い結果となったが、改善すべき格差は依然存在している。
大部分の機関で、職級が高くなるほど女性の割合が低くなるという点や建築、土木、機械などの職種は、男性中心というイメージが未だ強いという点も、賃金格差発生の要因と考えられる。一例として、ソウル市農水産食品公社は、上位の職級(1~2級)には女性がいない。建築、土木などの職種が多いソウル住宅都市公社は、上位の職級(1~3級)で男性の割合が88%を占める。
ソウル市男女賃金格差改善委員会のシン・ギョンア委員長は、「ソウル市とソウル市の投資・出捐機関の労使がお互い尊重し協力し合った結果、国内初の男女平等賃金公示を施行することができた」とし「ドイツなどのヨーロッパでも国家の積極的な介入と改善の意思があったからこそ、男女の賃金格差を減らすことができた。ソウル市の今回の公示は、『労働尊重特別市ソウル』と軌を一にするもの。男女差別のない労働環境を築くための、長い道のりの第一歩になるだろう」と話す。
パク・ウォンスン市長は、「男女平等賃金公示の目的は、男女賃金格差の現状を公開し、原因を綿密に分析したうえで、改善策を提示し格差の是正に取り組んでいくところにある。男女賃金格差の改善は、男女が平等な労働のスタートラインに立つためのもっとも基本的な努力」とし、「国内で初めて公示を実施したところ、相対的に公正で透明な賃金体系を運用している公共機関においても男女賃金格差が見受けられた。合理的な理由のない理不尽な格差を解消するために、ソウル市が模範を示していきたい。そしてこの動きが民間に波及し、長年の慣行と社会的な認識に変化をもたらすことを期待したい」と話す。