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都市再生

  • 生まれ変わる街(チョンシン(昌信)、スンイン(崇仁)地区再生事業)

  • 都市再生 SMG 3,256
    • 衣料品産業の「生産流通販売」ネットワークを有する縫製産業のメッカ
    • チャンシンドン(昌信洞)…ソウル城郭に囲まれ、ソウルの文化的・歴史的活力の源
    • 韓国の映画やドラマに登場し、観光客が増加
    • 住民や専門家が都市再生に向け意見交換…コミュニティ活動が盛んに

    古いものがどんどんリフォームされたり、消えたりするこの時代に、かつてのものをありのまま残そうとする人たちがいる。

    人生の喜びと悲しみと汗がにじむチョンノ(鐘路)区チャンシンドン(昌信洞)で、かつてのものを保存しようという動きが起こっている。縫製工場のメッカで衣料品産業の要衝だったチャンシンドンは、先人たちの暮らしの様子がそのまま残ってる地域だ。長い年月が経った今、チャンシンドンは私たちに多くのことを語りかけている。

    チャンシンドン(昌信洞)の歴史的・文化的背景

    チャンシンドンは高麗時代から庶民の町だった。朝鮮時代の村名「インチャンバン(仁昌坊)」「スンシンバン(崇信坊)」にちなんで「チャンシン」「スンイン」と名づけられた

    日本による植民統治期、近隣のトンデムン(東大門)一帯とクァンジャン(広蔵)市場は大規模な反物市場として成長した。韓国独立を経て朝鮮戦争後は、各地域から集まった移住民と避難民によってスラム街が形成された。

    現在のチャンシンドン(昌信洞)

    朝鮮戦争後、チャンシンドンは避難民であふれかえった。避難民らは生計を立てるために縫製工場で働いた。チャンシンドンには多いときで大小約3千の縫製工場があった。チョンゲチョン(清渓川)一帯のピョンファ(平和)市場に密集していた縫製工場の多くが1970年代後半から移転してきて以来、チャンシンドンは縫製工場のメッカとしてトンデムンのファッション産業を支えた。今も多くの人がチャンシンドンで縫製産業に従事して生計を立てている。

    衣料品産業と連携した生産-流通-販売のネットワークを有するトンデムン縫製産業のメッカ「チャンシンドン」。トンデムンの商人たちが企画やデザインを完了させると、チャンシンドンの作業場に運ばれ、すぐ生産に取り掛かるシステムが整っている。そのおかげで迅速かつ専門化された技術を有する縫製の専門家たちがわずか一日で一着の服を完成させる。

    きょうも生地を積んだオートバイがくねくね曲がった古い路地を行き来する。チャンシンドンの縫製従事者は20~30年の経歴を持っている。17歳で縫製の仕事を始め、もうすぐ還暦という人がほとんどだ。多くは人生の黄金期をチャンシンドンで縫製に従事しながら送った。それだけに、「メード・イン・チャンシンドン(Made in Changsin-dong)」の服にはプライドを感じている。

    チャンシンドンの路地はオートバイが多い。多くの荷物を積んで狭い路地を走り、縫製工場を行ったり来たりできるからだ。生地を積んで走るオートバイの音と途絶えることなく動くミシンの音が響いていたチャンシンドンだが、この頃静かになりつつある。

    見習いとして働く若者であふれていたチャンシンドンから多くの若者が姿を消し、この地域の縫製産業は衰退の一途をたどりつつある。

    チャンシンドン(昌信洞)の救済と都市再生

    主要産業が衰退していくのを黙って見ているわけにはいかない。新しい時代の変化に合わせ、チャンシンドンを特化地域として発展させる都市再生事業が始まった。ソウル市は、都心均衡発展第3次候補地にチョンロ区チャンシンドンを選定した。

    韓国の歴史と文化、自然環境が保存されているチャンシンドン。ソウル城郭に囲まれ、ナムサン(南山)公園に隣接するアニャンアム(安養庵)やチョンリョン(青龍)寺、クァンジャン市場、シンジン市場などが文化的・歴史的活力をもたらしている。

    特に、丘の建物と路地はかつての姿をそのままを残しており、ドラマや映画のロケ地として脚光を浴びている。映画「建築学概論」やドラマ「シークレット・ガーデン」などに登場したチャンシンドンの風景は、韓流ブームの影響で多くの観覧客を呼び込んでいる。

    かつては、古いものはすべて撤去し、新しいものを建てることこそ、地域経済を活性化させる最善策とされた。それが若者の就職難を解決する唯一の道だと思われた。しかし、壊される建物の一つひとつは現在と未来の文化であり、歴史的に貴重な資産である。現在の姿をただそのまま残すのではなく、社会の変化に合わせて維持・補修していく都市再生こそ、私たちが目指すべき方向だ。

    きょうも住民や公共機関の専門家らが集まり、チャンシン・スンインの都市再生に向けて意見を交わしている。これまで公共は主に管理監督を担ってきたが、これからは支援の主体を目指す。公共機関が積極的に指導や支援を行い、すべての人が一丸となって取り組んではじめて、都市は再生する。

    これまで住んでいた場所を離れることなく住み続けることができ、所得が生まれ、それが多くの人に行き渡る街。それこそ都市再生が追求する「住民が共存する街」だ。この街を文化的・経済的に豊かにするのは、住民の自発的なコミュニティ、公共機関との協業を通じた交流だ。

    暮らしの拠点はそのまま残し、地域に活力を与えること。持続可能な再生力を養うこと。それこそ都市再生のあり方だ。都市再生は計画から実行までの全過程が住民とともに推進される。地域の特性を尊重し、地域に合わせた再生が、チャンシン・スンインで実現されつつある。