「漢城百済博物館(ハンソン・ぺクチェ・バンムルグァン)」が約8年の準備過程を経て今年の4月30日、オープンする(松坡区・芳荑洞オリンピック公園南2門周辺)。これは百済の678年の歴史の中で、約500年間(BC18〜AD475)百済の首都だった漢城を復元するため、ソウルが建設を進めてきた博物館である。
百済史の2/3以上を占める「漢城百済時代」は、黄海道(ファンヘド)、江原道(カンウォンド)に至るまで広い領土を確保し、強力な国力を誇った百済史上の最盛期でもあった。とくに漢城は2つの王朝(百済、朝鮮)と、第1共和国(大韓民国)へと続く、首都として1,080年の歴史を持つソウルの始まりでもあるため、世界的に見てもその歴史的価値は高い。
漢城百済博物館は敷地14,894㎡、延べ面積19,423㎡であり、地下3階・地上2階の規模である。外観は近くに位置する夢村土城(モンチョントソン)の城壁の自然なシルエットをベースに、海上強国だった百済の船をイメージして建てられている。
展示空間はロビー、第1・2・3常設展示室(B1、1階)、企画展示室、2階の屋外展示空間の計6つある。展示内容をテーマ別、時期別に区分して展示することによって、観覧者がより分かりやすいよう展示空間を構成した。
教育施設としては講堂、教育室、セミナー室、図書館が備えられ、その他の施設としてはカフェテリア、食堂、屋上庭園、4D映像館など、観覧環境も整えられている。
また、漢城百済博物館の開館により、散在していた計42,311点の遺物も一ヶ所に集められるようになった。これに関連し、ソウル市は百済-中国の交流を知る上で重要な遺物である「施釉陶器」など、計2,199点の遺物の保管・管理庁として指定された。さらに、ソウルの先史・古代文化に関する一般人所有の遺物157点も積極的に購入するなど、今まで遺物の確保および復元に努めてきた。その他にも34,428点の寄贈を受け、4,147点の国立文化財研究所による風納土城(プンナプトソン)発掘遺物の委託などを通じ、展示遺物を確保してきた。
とくに、漢城百済博物館は市民の生涯学習センターとしての役割を果たすため、博物館の教育的役割を大切に考えている。デジタル・ライブラリー(B2階)ではソウルの先史・古代史に関する様々な情報が得られる。また、博物館の遺物と展示を通じ、各年齢層に合わせた様々な教育・文化プログラムも準備している。さらに、博物館の周辺には夢村土城、風納土城などが位置しており、学生は休みの土曜日に歴史体験が出来るなど、様々な方法で利用できると考えられる。
なお、漢城百済博物館は開館日の4月30日から9月14日まで、「開館特別展:百済のファッション-服装と装身具」を開催し、漢城百済時代の布(9種)、漢城百済時代の服飾(25種)、装身具(約70種)の展示、体験イベントも同時に行う。
施設の概要
– 敷地面積14,894 、延べ面積19,423 /地下3階・地上2階
– 展示空間:ロビー、常設展示室、企画展示室、屋外展示空間
– 教育空間:講堂、教育室、セミナー室、図書館
– その他の施設:カフェテリア、食堂、屋上庭園、4D映像館など
博物館の全景
展示空間