1960~70年代、大韓民国の経済成長の前哨基地で科学技術の揺籃だった「ホンヌン(洪稜)」が、地域住民と共生する「バイオ・医療R&D拠点」に生まれ変わります。ソウル市は、洪稜団地を再生させることで東北圏をバランスよく発展させるための新成長エンジンを確保し、それを通じてソウル型創造経済を実現できると見込んでいます。
ソウル市、洪稜インフラ「洪稜研究団地再生及び活性化推進計画」を発表
(参考 : http://japanese.ddm.go.kr/jpn)
ソウル市は、バイオR&Dアンカー及びクラスターの造成や都市再生による地域経済の活性化、研究団地の共有・開放化などを柱とする「洪稜研究団地再生及び活性化推進計画」を4月1日に発表しました。
ソウル市は、これまで様々な議論を重ね、洪稜のバイオ・医療R&D拠点としての可能性を確認し、この分野を積極的に育成・支援していく計画です。「バイオ・医療産業」は、未来の新成長エンジン産業として高齢化・慢性疾患の増加など、人口の変化に伴って関連需要が増加する見通しです。
特に洪稜は、近隣に上級総合病院2ヵ所や生物学・医工学などの基礎研究が特化されたKIST及びKAISTといった基礎研究機関、スタートアップ・インキュベーティングを支援する韓国技術ベンチャー財団などが立地しており、病院・研究機関・大学間の人材や技術、装備などのネットワーク構築が容易で、バイオ・医療産業の育成にシナジー効果を最大限に発揮することが期待されています。
点-線-面の3段階の拡張を通じ、バイオ・医療R&D拠点として造成
ソウル市が今回発表した「洪稜研究団地の再生及び活性化推進計画」は、都市再生を基に点(バイオ・医療R&Dアンカー) → 線(バイオ・医療R&Dストリート(通り)) → 面(バイオ・医療R&Dクラスター)の3段階の拡張を通じ、R&D拠点を造成することが柱です。これを通じ、東北圏をバランスよく発展させるための前哨基地を築き、ソウル型創造経済をリードするという構想です。
ⓛ農村経済研究院をバイオ・医療R&Dアンカーとして造成し、開放・革新のオープンR&Dを実現
まず、ソウル市が買収した韓国農村経済研究院が2016年までに「バイオ・医療R&Dアンカー」に様変わりします。「バイオ・医療R&Dアンカー」は、仲介研究や技術取引などの「R&D支援」、特許やベンチャーキャピタル、法律、会計、経営などの「経営支援」、IR教育や技術取引、教育、起業教育などの「専門人材養成」を目的とする開放と革新のオープンR&Dというのが最大の特徴です。
入居した企業は、バイオ・医療分野の先導企業として成長できるよう支援する計画です。具体的には、賃貸料の減免やソウル型R&D事業との連携などの報奨に加え、マーケティング・法律諮問、バイオ・医療ファンド、関係研究機関とのMOU締結を通じた共同研究装備の使用、技術商用化支援を通じて入居企業を実質的に支援するもので、2016年上半期から企業を募集する計画です。
②回基路を中心にR&Dストリートを造成、優れたバイオ企業や海外の研究所などを誘致
2017年から中長期的にフェギ(回基)路に「バイオ・医療R&Dストリート」を造成し、優れた関連企業や海外の研究所などを積極的に誘致します。まず、韓国農村経済研究院内の可用敷地を中心に同地域を段階的に開発・拡張していく計画です。また、中央政府が構成中の「グローバル創造知識科学文化団地造成計画」とも連携させ、同地域を名実ともに創造経済の拠点に造成していく計画です。
③KIST-KAIST-高麗大学-慶熙大学病院などのネットワークを活用したバイオ・医療クラスターを造成
最後に、KIST-KAIST-高麗大学-慶熙大学病院などと連携し、産業-教育-研究-技術-人材を連携させたバイオ・クラスターを長期計画で造成します。洪稜研究団地の基礎研究技術を大学や病院などと連携させて臨床化・事業化できるよう支援し、バイオ・医療R&Dクラスター好循環システムを構築、活性化させます。各段階の推進計画は、政府及び関係機関との継続的な協議や専門家の諮問などを通じて具体化させていく計画です。
地域住民のための空間造成とアクセスの拡大で地域社会との共生を追求
また、ソウル市は農村経済研究院の一部空間の地域社会への還元や洪稜の森のアクセスの拡大、周辺地域と連携させた都市再生などを通じ、洪稜を地域社会を巻き込んだ研究団地に造成していく方針です。そのために、市は今年上半期内にタウンホール・ミーティングや公聴会などを開き、地域社会の意見を取り入れるなど、開発方向に対する社会的合意を導出していく計画です。