昨日、ソウル地域の中小企業経営者及び商工業者らとの面会で、MERSがもたらした経済危機と問題について聞き、支援策を討論しました。「啐啄同時」の思いで一致団結して乗り越えましょう。私の挨拶です。
地域経済をリードしておられる中小商工業界の会長の皆様。皆様にお話できる機会をいただき、嬉しく思います。中小商工業界の被害は日に日に拡大しています。本日は、私どもが状況を説明し、皆様の具体的なご提案を承りたいと思います。真剣に耳を傾け、急を要することは直ちに措置をとり、中長期的なことは腰を据えてじっくり取り組むことで被害を最小限に抑え、一日も早く活力を取り戻してまいります。
MERS感染者発生から1カ月ほどになりますが、これまで感染者166人、そのうち24人が死亡し、深刻な被害となりました。ソウル市も事態の深刻さを考慮し、早期から本格的な対応をとってきました。特に、早いうちに感染を食い止めることが重要だと思います。何よりも市民の生命と安全を守ることが重要だと判断し、ソウル市政としても全力をかけて取り組んでいるところです。
ソウル市医師会と保健所を各区役所に構え、14の市立病院、特にソウル医療院は感染者の治療に当たっています。そこの医療スタッフの方々は、この1カ月間でかなりの疲労がたまっているにもかかわらず、公共医療の第一線で全力を尽くしていらっしゃいます。MERS感染を一日も早く食い止めることも重要ですが、これまでの1カ月に加え、もうしばらくは影響を覚悟しなければならない状況の中で、深刻な打撃を受けた経済を立て直せるかどうか心配です。とにかく全力を尽くす所存です。
今年の経済成長率の見通しが3.7%から2.8%に下方修正され、影響がさらに3カ月程度続くようであれば、投じられる社会的コストは20兆ウォンに上るという見通しが示されています。韓国訪問を予定していた外国人観光客10万8千人がキャンセルし、6月の1カ月だけで観光分野における損失は1,200億ウォンに上ります。ソウル市の中小企業及び商工業者の被害はいうまでもないでしょう。
私どもはこう呼びかけています。「MERSは食い止め、市民の暮らしは切り開く」と。その言葉通り、感染拡大防止に重点を置いてはいますが、同時にソウル市の経済と民生を回復させていくことが重要だと思い、緊急支援策を取りまとめました。直接・間接の被害を受けた小企業と小商工業者に2千億ウォン規模の緊急支援金を支給するとともに、融資を支援し、飲食店など生計に直結する業種については、業種別の相談支援に加え、1社当たり100万ウォン前後、総額4~5千万ウォンを支給する方針です。また、入院・隔離された方には緊急福祉費として1カ月の生計費を全額支援するとともに、ソウル市の予算を早期に執行することを決めました。もちろん、間接的に被害を受けた人まで支援するには、これでは足りないでしょう。
「啐啄同時」という言葉があります。鶏の雛が卵から産まれ出ようとするとき、中からつついて殻を破ろうとする努力も必要ですが、親鳥も外から殻をついばんで破らなければなりません。そうした努力を同時にすることが必要なのです。中小商工業界の皆様が何とかしようとし、外部からも協力してこそ、MERSによる危機を乗り越えることができるのではないでしょうか。ソウル市に協力してほしいことを具体的にお話しになり、ご指摘くだされば、全力を尽くして取り組んでまいります。ありがとうございました。