去年9月11日から13日までの3日間、私は江東区(カンドング)長期チョンセ(賃貸契約する際に売買価格の50%程度を家主に預けることにより家賃は払わない韓国の賃貸契約制度)住宅である高徳里(コドクリ)エンパーク、再開発賃貸住宅の清凉里(チョンニャンニ)韓信アパート、江西区(カンソグ)加陽(カヤン)5団地永久賃貸団地をそれぞれ一日中かけて訪問し、所によっては1泊しながら500人余りの住民と会って話しをしました。
その時入居者たちが「お金がなくて仕方なく賃貸住宅に住んでいる」と話すのを聞いて胸が痛かったです。その時私は、これから賃貸住宅の入居者たちが「共に生きる、温かい情を交し合う、住みたいと思う福祉共同体の力」を感じる賃貸住宅を作ろうと決心しました。
その決心の小さな結実が、▴参加、▴活力、▴自立を主要内容として11日に発表した「公共賃貸住宅総合改善対策」です。今まで賃貸住宅に対しては事案別かつ個別的に接近して問題を解決してきましたが、これからは住居福祉共同体の具現というビジョンのもと、ソウル市の賃貸住宅を「住みたいと思う福祉共同体」として作る計画です。
ソウル市は「公共賃貸住宅総合改善対策」を通じて、▴参加村、▴活力村、▴自立村の具現を目標に13の推進課題と47の詳細実践課題を推進していきます。
1. 参加村を作ります。
今までの賃貸住宅の管理はSH公社が独占していたと言っても過言ではありませんでしたが、これからは民間専門業者が参加する競争体制を取り入れ、入居者にも一部委任します。
また月々の平均収入が150万ウォン未満の世帯がほとんどである永久賃貸住宅の入居者たちにとって最大の負担である管理費を最高30%まで値下げする一方、永久賃貸住宅ではない他の賃貸住宅(公共、再開発、国民)に住んでいる基礎生活保護受給者には、賃貸料金を永久賃貸住宅との賃貸料金の差額の20%ずつを引き下げることにしました。
2. 活力村を作ります。
賃貸住宅の中でも特に基礎生活保護受給者や障害者などのように低所得層にのみ入居資格を付与することにしてきたため、老齢化及びスラム化していた永久賃貸住宅があります。このような永久賃貸住宅にも、新婚夫婦や子供3人以上家庭などの若い世代も入居できるよう改善します。
すなわち「永久賃貸住宅居住=低所得層専用」という固定概念を破壊し、さまざまな世代と階層が一つの団地内で共に暮らすという真のソーシャルミックスを推進していくわけです。
また団地内の入居者が、育児や地域安全などの生活に関する問題を村共同体として解決できるよう支援する予定です。小さく易しく面白い共同体活動から始めて、住民たちが共に力を合わせる楽しさと価値を感じながら自然に入居者たちにも伝達・拡散されるように計らい、住民コミュニケーション掲示板の造成、地域祭り、父母コミュニティ、安全村などよりさまざまな共同体活動ができるよう推進していきます。
さらに自分で食事の準備ができない独居老人には「一食無料給食」を提供し、障害者の方には障害者補装具修理センターを拡充するなど体感型支援を増やすことにしました。
3. 自立村を作ります。
今後は永久賃貸住宅の世帯主が死亡したなどの理由で入居資格を失い退去の危機に直面している世帯に対して審査を行い、都市勤労者の月平均所得の50%以下である場合は名義を相続して引き続き住むことを許可する計画です。
また働ける住民の勤労意欲を高め、基礎生活保護受給者の生活から脱して自立できるよう自活特例認定期間を3年から5年に延長する方案、及び受給者全体の勤労・事業所得の50%まで勤労所得空除を拡大する方案を中央政府に建議する計画です。
このようにして賃貸住宅が「仕方なく住む空間」ではなく、隣人と共に住みたいと思う住居空間となる第一歩を踏み出すのです。
同市は、賃貸住宅が今までの画一性から脱し、自活力のある福祉共同体として新たに生まれ変われるよう支援します。そのために、住民の多様なニーズに合わせて公共住居福祉サービスの質を高め、長期的には住民自らが所属意識と責任意識を持って地域の問題を解決することを目指します。
もちろんこの政策だけではすべての問題を解消することはできないでしょう。
しかしこの第一歩が、希望に向かって進む第一歩となると確信しています。子供からお年寄りまでの各世代・各階層がひとつの垣根の中に住みながら、互いに慰め合い、励まし合い、生きていく楽しさを共に分かち合える幸福共同体、福祉共同体としての夢、つまり住みたいと思う地域づくりの第一歩を踏み出すのです。