私たちは誰かの母親であり、父親であり、兄、姉、弟、妹、または叔父、叔母です。そしていつも私たちはその誰かの安全を心配しています。家に帰って来るまでは安心できません。なぜなら誰かの娘であり、誰かの姉、妹である女性の安全のためです。
そこでソウル市は、女性の安全を住民の力で守る「女性が安全な町(女性に対する暴力のない安全な町)」を14ヵ所造成します。今年地方自治体で初めて鐘路区(チョンノグ)を含む14区を対象に試験的に実施します。そして今年構築したモデルをもとに、来年には全自治区に拡大して実施する予定です。
「女性が安全な町づくり」とは、年々増加している性暴力(強姦事件)、家庭内暴力、売春行為など女性に対する暴力の問題を地域の住民、NGO、地域内の警察、区庁などがネットワークを構成し、住民自らが守り女性が安全に暮らせる町を作るということです。
そのためには防犯カメラの設置、街灯の改善のような外的環境の改善も重要ですが、なかなか表には現れない家庭内暴力や性暴力など女性に対する暴力に対し、今後は社会全体が関心を持ち、協力しながら解決していく必要があると考えています。
実際ソウル市の2012年度の性暴力発生件数は6,064件(一日平均16.6件)で、5年前に比べ61.5%も増加しました。それで多重利用施設を含む住居地域や路地などで発生する関連事件をパトロールや防犯などの外部支援だけで防止するのは力不足だというのが現状です。
また家庭内暴力のうち夫婦間の暴力発生率が53.8%に達していますが、被害者の届出率は8.3%にとどまり、家庭内暴力に対してほとんどの人が無関心で「他人事」と考えているようです。
そこでソウル市ではまず家庭内暴力ゼロスクールの設置及び届出体制を構築した「家庭内暴力のない安全な町」2ヵ所と住民参加の地域パトロール及びキャンペーンなどを行う「性暴力・売春行為のない安全な町」12ヵ所を造成します。
「家庭内暴力のない安全な町」は、恩平区(ウンピョング)(NGO・韓国女性の電話)と中区(チュング)(韓国家庭法律相談所・家庭内暴力相談所)の2ヵ所で推進します。ここでは家庭内暴力に関する問題を「プライベートなこと」とか「他人事」と考えている住民たちを対象に「暴力」であることを認識させ、コミュニケーション・地域ネットワークなどを通じて家庭内暴力を予防する活動を行います。
また銅雀区(トンジャクグ)、麻浦区(マポグ)、鐘路区などを含む計12ヵ所では「性暴力のない安全な町」を作るため、地域住民が「マウルサルピミ(地域パトロール隊)」となり、地域の実態調査を実施するとともに、環境の改善、町内パトロール、路地の安全確保など性暴力予防のために積極的な活動を展開します。
特に冠岳区(クァナクグ)、中浪区(チュンナング)、江東区(カンドング)の3区では、女性の一人暮らし密集地域や接待飲食店密集地域など地域的な特性を考慮した「女性が安全な町」を構成・運営します。
ソウル市は「女性が安全な町」試験事業を通じて、より多くの市民が女性に対する暴力について正しく認識し、女性自身も主体的な力を育てていけるよう「女性が安全な町」づくりにさらに注力していきます。