ソウル市在郷軍人会行事でソウルの賛歌を一緒に歌う朴元淳ソウル市場
数日前、ソウル市在郷軍人会の定期総会で祝辞を述べたことがあります。この時、私の祝辞を聞いた参加者の中には涙を流した人もいたと言います。まだ退役軍人に対する間違った先入観を持っている人が多い中、何より国のために献身した人々の人間的なプライドを尊重し、正しく評価し、礼遇することが、私たちがやらなければならないことではないでしょうか。ここに祝辞の内容をご紹介します。
シン・サンテ会長および来賓の皆様が着ておられる郷軍の制服がとても素敵です。紺とグレーの色の組み合わせも素敵で、とてもうらやましく感じました。次回は私もその服を着てみたいと思います。本日、安保関連の功労者として表彰を受けられた皆様に、心からお祝い申し上げます。
最近、安保の重要性に対する関心がますます高まっています。北朝鮮が先日、3回目の核実験を強行しました。世界中の国々が反対したのにもかかわらず核実験を強行し、さらには4回目、5回目の核実験またはミサイルの打ち上げを示唆している状態です。私は北朝鮮が、このような挑発的な行為を直ちに止めることを求めます。韓半島では、どんなことがあっても、核保有は許されてはなりません。私はそう信じています。安保は民生と経済の活性化のための前提条件です。わずか40Kmしか離れていない一千万人の市民が住んでいるソウル市としては、核保有および北朝鮮のどんな挑発的な行動も許されてはならないし、そのことに対する確固たる態度を維持していかなければならないと考えています。
ソウル市では、先回の核実験後、万一の事態に備えて危機対応班を24時間体制で運営しています。また国家の重要施設と民間防衛の体制・態勢を強化するなど、首都防衛司令部と共に各関連機関との連絡体系を維持し、ソウル市民の安全を守るために努力しています。
在郷軍人会の会員の皆様、私は去年の顕忠日(ヒョンチュンイル/6月6日、韓国の祝日、国のために命を捧げた殉国兵士の魂を追慕する日)に、 朝鮮戦争およびベトナム戦争に参戦して国のために命を捧げた兵士の方々、また枯葉剤被害者の皆様の家を訪ねながら、実に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。特にベトナム戦争に参戦されたカン・ムングさんに会いに行った時には、その貧しい暮らしぶりに胸が痛くなりました。建物の屋上に建てられた狭い部屋で、家族もなく、生活苦に耐えながら暮らしておられました。ソウル市民の一人として、大韓民国の国民の一人として、本当に申し訳ないと感じました。
私が留学生として過ごしたイギリスでは、各都市ごとに、各地域ごとに、在郷軍人のための郷軍クラブを作り、互いに励まし合って、常に地域のために奉仕し、地域住民に感謝されるような活動をしていました。またアメリカの場合は、「Veterans」つまり「在郷軍人の日」を作ったり、在郷軍人専用の病院を建てたりして優遇しています。戦争を経験し、今でも危険な状態にある韓国で、在郷軍人の皆様の存在価値は、イギリスやアメリカに決して劣らないはずなのに、相応の待遇が与えられていない現状に、私は恥ずかしささえ感じます。
それで、その後私は、韓国の各報勲団体の事務所を一軒一軒訪問していろいろ調査した後、去る8月15日の光復節(韓国の祝日、独立記念日)に「ソウル市報勲総合政策」を発表しました。私は国家功労者の家族の安定した生活を保障する経済政策をはじめ、医療、賃貸住宅、文化的な生活を支援する総合政策を準備しました。何より国家功労者の家族が韓国社会で誇りとプライドを持って生きていける待遇が必要だと考えました。今日までの報勲政策は、中央政府の責任のもとで行われ、ソウル市は補助的役割をしてきました。しかし青春を捧げ、心と体を捧げて国を守ったにもかかわらず、今このように苦労しておられる皆様のことを知ったからには、ソウル市として黙ってはいられないと思ったのです。
国家功労者の皆様こそ大韓民国が誇る国民です。皆様の犠牲と献身がなかったら、今日の大韓民国の平和と発展はなかったでしょう。ソウル市は今後、国家功労者の家族の皆様のことを忘れず、国のために身を捧げられた方々の名誉を守ることに積極的に取り組んでいくことをお約束します。またソウル市在郷軍人会では、市民の安保意識を 鼓舞するため、これまでさまざまな努力を重ねてこられました。先ほどシン・サンテ会長がおっしゃったように、1年に約2,000人の青少年を対象に、韓国の過去の悲しい歴史を忘れることのないよう、安保現場の体験などを実施していくことが大切だと思います。それで、前年比7,000ウォン増の2億2,000万ウォンの事業費を支援しました。そしてさらに、古い郷軍会館を現代式に改修する予算も確保してあります。
今後は私どもが在郷軍人の皆様と共に、ソウル市の安保とソウル市民の安全と平和のために努力してまいります。皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げ、お祝いのご挨拶とさせていただきます。