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希望日記

  • [朴元淳の市政日記36]ストーリーがある市長室を紹介します

  • 希望日記 SMG 1,919

         私は新庁舎に市長室が移転する時考えました。「市長室をソウル市民の話で飾りたい」と。私はもともとソウル市の市長は市民だと思っています。ですから新庁舎を市民の話がいっぱい溢れる空間、市民が作った歴史が蓄積される空間にしたいと思ったのです。

        世界中にある各市庁をみると、単なる行政業務を執り行う場所を超え、様々な話が溢れています。誇らしい歴史をはじめ、市長の面白い個人的な習慣まで記録・展示され、その市を代表する空間となっているし、さらには素晴らしい観光資源となっています。

        それで私も考えました。「どのようにすれば市長室を市民の話題でいっぱいにできるか」と。そんな時「会議用の椅子に市民の話を取り入れたらどうか」という提案を受けました。それは本当に素晴らしいアイデアでしたし、さっそく12の様々な意味が込められた椅子を探しました。

        市民が直接寄贈した椅子もあれば、無償で貸してもらった椅子や現場にあった椅子を集めたものもあります。それらの椅子は、現在市長室の会議用の椅子として使われています。今日私は皆さんに、その市長室の椅子について話をしようと思います。これからも市長室が、そして市庁が、ソウル市民の皆さんの話で飾られる時、またその話をお伝えしたいと思います。それでは、12の椅子に込められている物語をご紹介します。

    美しい市民の椅子 – ① エデン福祉財団理事長のチョン・ドックァン氏
    美しい市民の椅子 – ② 殉職した消防職員の故ピョン・ジェウ氏
    美しい市民の椅子 – ③ 神父のブレナン・ロバート・ジョン氏
    美しい市民の椅子 – ④ 23億ウォンを寄付したおばあさんリュ・ヤンソンさん

    伝統がある椅子 – ⑤ 北村(プクチョン)韓屋村の名匠の椅子
    伝統がある椅子 – ⑥ 先祖代々ソウルが故郷の家族の椅子

    思い出のある椅子 – ⑦ 大林(テリム)市場の椅子
    思い出のある椅子 – ⑧ ぺクサ村の椅子
    思い出のある椅子 – ⑨ 旧ソウル駅の木材で作られた椅子

    市政哲学が込められた椅子 – ⑩ 人権尊重政策(弁護士故チョ・ヨンネ氏の椅子)
    市政哲学が込められた椅子 – ⑪ 市民とのコミュニケーションを象徴する椅子
    市政哲学が込められた椅子 – ⑫ 地域共同体を象徴する椅子

        まずは「美しい市民の椅子」をご紹介します。50年近く貧困地域の撤去民を支援しながら献身的に活動してきたニュージーランド出身の神父ブレナン・ロバート・ジョン(韓国名:アン・グァンフン)氏の椅子です。この椅子からは今でも彼の深い愛情が感じられるようです。彼の愛情の足跡がソウルのあちこちに残っているように。

        また火災の消火活動で殉職した消防士のピョン・ジェウ氏が、消防士になるために勉強する時使っていた椅子もあります。その椅子は「主人のいない椅子」のような寂しさが感じられます。しかし、これ以上椅子もピョン・ジェウ氏も悲しむことのないよう、ソウル市の隅々まで目の行き届く行政を行っていこうと思っています。

        元柔道国家代表選手のチョン・ドックァン氏(現、エデン福祉財団理事長)が、チョン氏のような重度障碍者の自立を支援するために汗水流して活動していたときに使用していた車椅子も会議用の椅子として使われています。熱い情熱が感じられる椅子です。

        鷺梁津(ノリャンジン)水産市場で37年以上塩辛を売っているという「寄付天使」のリュ・ヤンソンさん。リュさんの店で椅子の代わりに使っていた塩辛の入っていた缶も市長室にあります。人生の塩味が深くしみ込んでいます。おばあさんの暮らしから教えられることがたくさんあります。

        ソウルの伝統と思い出が刻まれている椅子もあります。

        北村韓屋村から持ってきた木の椅子は、重要無形文化財第80号刺繍匠の技能保有者であるハン・サンス先生の椅子です。なんと刺繍工房で30年以上使っていたという椅子を無償で貸してくださいました。

        また、400年以上前から先祖代々ソウルに住んでいるというキム・ハクチンさん一家は、瑞草区(ソチョグ)ヌンアン村で約30年間使っていた椅子を寄贈しました。その椅子を使っていた人々はどんな暮らしをしてきたのでしょうね。

        8月末、44年の歴史に幕を下ろした大林市場。生涯働いてきた市場を立ち去る時、ある商人が寄贈してくれた青いプラスチックの椅子も市長室にあります。商人たちの心は、今でも毎日市場の路地を行き来していることでしょう。皆さんお元気でお過ごしでしょうか。

        蘆原区(ノウォング)中渓洞(チュンゲドン)104番地の番地数から「ぺクサ(104の韓国語発音と同一)村」と名付けられた貧困地域の上り口に置かれていた椅子もあります。去年の冬にその地域を訪ねたことがあります。お変わりありませんか。今年の冬には暖かいソウルづくりのために最善を尽くします。

        1925年に建てられた旧ソウル駅舎の復元工事の時に出た廃材を利用して「上京の夢」という思い出の椅子を作りました。これからはソウルが、韓国国民の懐かしい故郷になったらいいと思います。

        この他にも市政哲学が込められた椅子があります。

        人権弁護士として有名な故チョ・ヨンネ氏が使っていた椅子があります。この椅子は、彼が一生を捧げてきた人権擁護を象徴しています。私にとっては忘れられない恩師です。お元気ですか。

        最後に、市民とのコミュニケーションと地域共同体を象徴する椅子があります。未来の椅子です。ソウルは、失われた関係を回復して共同体の価値を再び取り戻すために努力し続けることをお約束します。

        このように市長の会議室にある椅子の一つ一つには、ソウルの歴史、暮らしの話、価値や思い出などが込められています。貴重で、ありがたい椅子たちです。この椅子をただ見つめているだけでもソウルの昨日と今日を反省し、明るい明日を考えることができるでしょう。この深い感動を市民の皆さんと一緒に分かち合いたいと思います。急に冷え込みました。くれぐれも健康には気をつけてください。ありがとうございました。