国際連合の経済社会局による2014年世界都市化展望報告によると、現在、世界の人口の54%が都市に居住しており、2050年には先進国人口の86%、開発途上国人口の64%が都市に住むことになる。都市はすでに全世界的な問題であり、人類の幸福な生存をゆさぶる差し迫ったイシューであることを再確認できる内容である。また、先端通信技術時代とグローバル経済時代において、国は個人の幸福と安全を全的に保障できなくなった。最近広まっている世界経済の危機は、国が個人を保護するというよりもむしろ紛争の原因になっていたり、時には内部の権力争いによって国民の平安を脅かすこともあることを明らかにした。個人の力量には限界があるため、切実に連帯が必要である。この連帯の最終的な組織体こそがまさに普遍性を前提とする都市である。
都市の本来の価値は、イタロ·カルヴィーノが表現したように、「偉大な記念碑的建築にあるのではなく、街角、窓格子、階段の欄干、街路灯の柱や旗竿、そして壊れたり削られたりした多くの痕跡たち」にある。都市の真実は、私たちの日常的な風景に宿っている。このような言説の背景には、都市が匿名性を前提に形成された共同体であるという前提がある。互いに知らない人々が集まっては別れる都市の物理的な空間、即ち広場、公園、通り、建物の合間、そしてデジタル仮想空間の組織と構造は、都市共同体の成敗を分ける都市の本質である。ソウル都市建築ビエンナーレが追及する価値も、イメージよりも叙事、美学よりも倫理、完成よりも生成というより人文的かつ民主的な都市構造の構築に近い。
なぜ、ソウルビエンナーレなのか。ソウルは1000万人が住むメガシティであると同時に、悠久なる歴史を持つ歴史都市である。美しい山水のおかげで2000年前に韓国の首都となり、ユーラシア大陸の末端に位置する太平洋沿岸とその先をつなげる地理的要衝の地でもある。20世紀、日本の帝国主義による植民地支配及び戦争の惨状を経ながら焦土と化したソウルは、今や世界経済圏の先頭都市として成長している。だが同時に、西洋の資本と文化を無分別に取り入れたため、ソウルのアイデンティティが失われた状態で現代化という不慣れな包装に包まれたまま世界都市に編入してしまった。
しかし、失われることのない自然と歴史は、この都市を復元させる原動力である。都市は生命体と同じで、ソウルは潜在する固有性を取り戻す変化を重ねている。世界の東西イデオロギーの紛争によって分断した韓国が統一されれば、――多くの人々がその日は遠くないと言っている――ソウルは全く新しい局面に直面するだろう。
世界の都市が膨張を続けると、私たちは幸せになれるのだろうか。過去の都市膨張過程で発生した環境破壊、社会的不平等、都市犯罪などを見るに、未来に楽観的態度をとるのは難しい。そのため、もう一度問おう。健康な暮らしを続けるためには、どのような都市を築くべきか?都市の空間と組織、開発と再生、建築と技術、都市環境、都市経営と連帯などは、私たちの時代が再び問うべき重要な都市の議題である。歴史と伝統、経済と文化、政治と理念など、都市をつくり上げる全ての要素が混ざった都市、再び新しい姿を模索する都市、ここソウルでこのような緊迫する論議を始めたいと考える。
スン·ヒョサン(承孝相)
ソウル都市建築ビエンナーレ運営委員長