テジモリ(豚頭)がナムデムン(南大門)市場を世界中に知らせた。
1998年、韓国での公演のためソウルを訪問したメタリカのボーカル、ジェイムズ・ヘットフィールドは、不思議に思った豚の頭とキスする写真を撮り、話題になった。その写真はテジモリを食べ物だと考えていなかった欧米社会で大きな話題をさらった。
このテジモリがナムデムン市場を世界に知らせた決定的な素材となった
あの頃、軒を並べた店の間で急に豚の頭が登場したりした。体はなく頭だけの姿。外国人は急に目撃した豚の頭に驚く。このような珍しい場面を見たのは初めてだからである。そして不思議がる。
茹でて黄色くなった豚の頭は、あまりにもリアルな表情で行き交う人を迎える。初めて見て驚いた外国人は、もう一度近づいて好奇心を示す。
このテジモリは、韓国の伝統在来市場で見物する韓国の料理文化であった。異なる文化に接し、驚きと好奇心を抱いた後は、情を持って眺める。そのようなろ過機の役割をナムデムン市場が果たしてきた。
そのため、ナムデムン市場は韓国をきちんと知りたがる外国人旅行者が溢れる天国となった。最も韓国的な在来市場だったからだ。
ナムデムン市場は元々韓国を代表する在来市場の一つである。規模はもちろん歴史もソウルで最も古い。
ナムデムン市場の一番の特徴は「無いものが無い」といえるほど様々な物を売っているという点である。衣類、寝具類、キッチン用品、インテリア雑貨、各国の菓子類、外国人観光客向けのお土産店まで多彩だ。さらに、市場の通りに軒を連ねる庶民的な飲食店が外国人の食欲をそそる。
ナムデムン市場は、市場の商人たちを対象にする飲食店も一緒に繁盛しており、市場内の狭い通りにはタッコムタン(鶏コムタン)などの店が軒を並べている。古びた小さい店だが、小さい鍋で煮込んで出されるタッコムタンは、ここでしか味わえない美味である。
また、地下鉄フェヒョン(会賢)駅5番出口の横の通りにはナムデムン・カルグクス(きしめん)通りが形成されている。
最も韓国的な料理の味でもあるが、旅行者の関心を引くのは、安くてボリュームたっぷりな点である。
ここのカルグクス麺は機械を使わず、人が手でこねることで有名である。そうして出来た麺をいりこ出汁に入れて茹でる。油揚げや海苔粉、ゴマが一緒に添えられる。麦ご飯とおこわはビビンバの形で出る。
また、カルグクスを頼むとネンミョン(冷麺)を提供し、ネンミョンを頼むとカルグクスを提供するため、様々な味が経験できるのも魅力的である。
ナムデムン・カルグクス通りは1950年の朝鮮戦争直後に形成され、今日に至っている。昔は屋根がなかったため雨の日は傘を持ったまま食べたという。
いまやナムデムン市場は進化を続けている。テジモリの代わりにきれいな外観の飲食店が各国の訪問客を迎える。市場では韓国語より多く聞こえるのが中国語と日本語であるほどだ。
ナムデムン市場はソウルを訪問する外国人の必須コースでショッピングが楽しめる名所である。