ソウル市が「粒子状物質・窒素酸化物同時低減装置」モデル事業に参加を希望する老朽化した大型軽油車44台を7月18日(金)から募集する。
軽油車から排出される粒子状物質と窒素酸化物(NOx)は、大気中で化学反応を起こし、微小粒子状物質など人体に有害な物質に変わる。これらは、呼吸器系疾患や心血管系疾患などをもたらしかねない。
<窒素酸化物の56%が軽油車から、老朽化した大型車で排出量が多い>
ソウル市に登録されている車のうち、軽油車が占める割合は31%に過ぎないものの、全体の窒素酸化物排出量のうち軽油車が占める割合は56%に上る。とりわけ、老朽化した大型軽油車であるほど窒素酸化物の排出量が相対的に多くなっている。
なかでも、市に登録されている軽油車はおよそ90万台と、その割合(現在31%)は毎年増加傾向にある。大気汚染防止のためには、粒子状物質・窒素酸化物対策が早急に求められる。
<今年は老朽化した大型軽油車44台を対象に、同時低減装置を優先設置>
これを受け、ソウル市は粒子状物質と窒素酸化物の排出量を画期的に低減できる「粒子状物質(PM)・窒素酸化物(NOx)同時低減装置」を設置するモデル事業を7月から実施する。
市は、2003年から第1期空気汚染防止事業である「老朽軽油車排出ガス低減事業」でソウルの粒子状物質(PM-10)の年平均濃度を45㎍/㎥まで減らしており、
今回は、’15年施行予定の第2期首都圏大気質改善対策の一環として、実証により事業の成果を検証する目的のモデル事業である。
※ PM・NOx同時低減装置とは、煤煙低減装置(DPF)と窒素酸化物低減装置(SCR)が一体化したもので、粒子状物質と窒素酸化物を同時に減らせる装置を指す。
’13年、大型バスを対象としたモデル事業の結果、PM・NOx同時低減装置を設置した場合、粒子状物質は8割強、窒素酸化物は6割強の低減効果があることが分かった。
’13年に続き、今年は装置の性能や運行時の技術的な問題点、装置の耐久性などを広範にわたって検証する。
<装置の構造>
SCR(選択的還元反応装置)とは? 車の排出ガスのうち、窒素酸化物を還元剤(Urea,ヨウ素水)で還元させ、人体に無害な窒素(N2)とH2O(水蒸気)にして排出する装置。
<設置済みの写真>
モデル事業の対象は、2005年以前に出庫(EURO3)された車両のうち、煤煙低減装置や窒素酸化物低減装置が設置されていない大型経由車(バス、貨物)で、ソウル市のホームページでモデル事業参加車両を募集し、その中から44台を選定する計画だ。
ソウル市所在の公共機関、運送事業者などから申し込みの順番を考慮したうえで対象となる車を選定する予定で、選定された場合は装置を設置する費用をソウル市が支援する。
装置を設置した車は、性能検査などモニタリングへの協力が必須になっており、廃車する場合は装置をソウル市に返却しなければならない。
市は、今年のモデル事業で装置の性能など事業の効果を確認したうえで、’15年から’24年まで同時低減装置の設置を段階的に拡大していく計画だ。
今年のモデル事業で分かった運行時の技術的な問題点やコスト分析、大気質改善効果などについては、今後検証をより強化して’15年以降、事業を拡大していく予定になっている。
ソウル市エコ交通課長のカン・ヒウンさんは、「これまで粒子状物質低減中心の大気質改善対策を越え、ソウル市民の健康と直結した粒子状物質と窒素酸化物を画期的に低減していくことで、世界的なクリーンシティ・ソウルを目指していきたい」と、軽油車を保有している市民の積極的な参加を呼びかけた。