ソウル市は列車内の混雑緩和に向けた対策を施行します。乗客は増えるのに一度に行き来する地下鉄の運行距離は伸び、全体的な運行回数が減っているからです。
2月の約1カ月間にわたってソウル市が第2段階区間を試運転した結果、9号線の乗客は1日平均2,748人増えているのに対し、地下鉄の運行回数は60回減りました。特に、ケファ(開花)→シンノンヒョン(新論峴)方面は、朝の通勤ラッシュ時間帯(7~9時)に1日の乗客の25.1%が集中し、混雑度が最高240%に上ることがわかりました。
ソウル市はこうした混雑の原因として、▲住居地域(江西・陽川)→業務地区(汝矣島・江南)を通過する路線の特性 ▲通勤ラッシュ時に急行列車が好まれる傾向 ▲当初の予測を上回る利用者数 ▲9号線に代わる交通手段の不足、を挙げています。
これを受けソウル市は、➀列車の増車 ➁朝の通勤時間帯の乗客分散と輸送力強化 ➂利用者への広報強化、を柱とする「地下鉄9号線混雑緩和3大対策」を推進すると3月4日に発表しました。
➀ 増車する時期を前倒しし、’17年までに70両増車…まず‘16年9月に20両増車
ソウル市は混雑緩和を解消する最も根本的な対策として、当初計画していた増車の時期を2018年から1年前倒しし、2017年までに70両増車します。
まず、2016年9月に20両増車し、2017年末までに段階的に50両増車する計画です。そうすれば、9号線の車両は現在の144両から2017年末には214両になります。
また、2018年に予定されている第3段階区間(蚕室運動場~報勲病院)の開通に合わせ、80両を増車する案も検討中です。
➁ 朝の通勤時間帯に予備車を投入して需要を吸収、加陽→汝矣島急行バスを運行
(4月20日運行終了)
ソウル市は、増車実施までの朝の通勤ラッシュ時の混雑緩和対策も取りまとめました。具体的には、▲朝の通勤時間帯に予備車1台(4両)投入 ▲朝の通勤専用急行巡回バス8663番をカヤン(加陽)→ヨイド(汝矣島)で運行 ▲朝の通勤時間帯の各駅舎の乗客数を示した表を掲示 ▲早朝割引制(始発~6:30)の導入です。
まず、朝の通勤時間帯に予備車が1台追加編成されれば、キンポ(金浦)空港→新論峴の急行列車の運行を2回追加することができ、3,400人(約6%)が吸収されて混雑度が緩和される見通しです。
朝の通勤専用急行巡回バス8663番を15台、3回ずつ計45回運行し、朝の通勤時間帯の加陽→ 汝矣島の乗客約1万1千人のうち約18%(2,100人)を分散させることで、ヨムチャン(鹽倉)-タンサン(堂山)-汝矣島区間の急行列車の混雑緩和が期待されます。運行開始は2月26日で、料金は850ウォンです。
また、ホームに各駅舎の30分ごとの朝の通勤時間帯の乗客数を示した表を掲示し、ラッシュを避けて地下鉄を利用できるようにするほか、早朝割引制を導入して始発~6:30の列車に乗車する乗客の基本料金を20~30%割り引き、ラッシュ時の乗客を分散させる計画です。
区分(上り) | 06:00-06:30 | 06:30-07:00 | 07:30-08:00 | 08:00-08:30 | 08:30-09:00 | 09:00-09:30 |
加陽 | 390 | 810 | 1,530 | 2,030 | 1,760 | 1,060 |
760 | 330 | 750 | 1,530 | 1,650 | 1,350 | 1,040 |
堂山 | 330 | 610 | 1,240 | 1,600 | 1,810 | 1,500 |
汝矣島 | 280 | 460 | 970 | 1,390 | 1,630 | 1,140 |
➂ 安全要員の増員と9号線近隣の住民や企業への広報強化などにより自主的分散を誘導
地下鉄の混雑による事故を防止し、市民の自主的な参加で混雑を緩和できるよう、案内とキャンペーンを並行して実施します。事故防止に向け、朝の出勤時間帯の安全要員をこれまでの54人から60人に増やすとともに、乗降場に「4列に並びましょう」の表示をします。また、駆け込み乗車を禁止する表示と放送を徹底します。
さらに、汝矣島やソチョ(瑞草)、カンナム(江南)などにある従業員100人以上の企業がフレックスタイム制を30%以上導入した場合、交通誘発負担金を最大で20%(年1回)減免します。