メインコンテンツに移動
  • ソウル市ニュースレター購読 刊行物
  • visiting seoul?
T T

[2012] 市長挨拶

  • 共有経済は明日のための新しい経済機会

  • [2012] 市長挨拶 SMG 1,751

    共有都市ソウル記者説明会

    月日:2012年9月20日 会場:ソウル市庁西小門庁舎ブリーフィングルーム

    本日私は「共有都市、ソウル」の開始を記者の皆さんに申し上げ、市民の皆さんと共に「共有」しようと思います。時代的共感と認識の共有、市民参加なしには真の変化が不可能なためです。

    それでは「共有」とは何でしょうか?各自持っているものを必要な人と分け合うこと、共同で使って一緒に消費すること、閉鎖されている資源を公開し、開放して一緒に使うこと、眠ったままの資源の価値と効率を上げること。このようなことを私たちは「共有」という概念で一括りにすることができます。

    ところで、未来の解決策と言われる「共有」という概念は、実は私たちにとって全く新しい概念ではありません。私たちには古くからの「共有の根っこ」がありますね。わずか数十年前でも、テレビがある家は多くありませんでした。村の人々がテレビのある家に集まって一緒にテレビを見るのはありふれた夕方の光景でした。このような資源の共有は必須でありながら自然な文化でした。これは貧困を克服する方法でしたが、隣同士の絆を強くしました。何より自然発生的であり人間的な福祉となっていました。

    私たちも以前は食事をつくったら近所の人におすそ分けしていたでしょう?このような共有が、単なる美徳レベルにとどまってはいけません。「共有」を上手にデザインして制度化する必要があります。

    それだけでしょうか?大変なことをする時は互いに助ける助け合い文化がありました。それが、産業化、都市化といった社会の速い変化により、私たちの共有文化は急速に消えていき、私たちは大変なことどころか、日常の些細なことさえ、一人でしなければならない孤独な生活を送ることになりました。

    しかし、最近は再び共有の時代が到来しています。2009年のアメリカ発の世界経済危機が契機となりました。所有でない共有に基盤を置いた共有経済が浮上し始めました。特に、共有経済の基盤であるITインフラが発達したサンフランシスコで始まりました。個人的には実に印象的な場面として記憶しています。インターネットを通じて空き部屋を旅行者に共有する「エアビーアンドビー」は毎日数万個の部屋を仲介し、一年間に192カ国の2万7000の都市で100万人以上が利用するという驚くべき成果を出しています。多様な道具と工具を貸すことで単純なレンタルを超えてそれ以上の技術を共有するアメリカの「ツールライブラリー」は、公共図書館に設置されたものだけで50カ所以上があります。自動車を共有する「ジップカー(Zipcar)」等は既に立派なビジネスとして位置を確立しました。

    このように伝統的に所有の領域だった自動車ビジネスも所有から共有へと進化していて、アメリカの自動車メーカーもカーシェアリング会社に投資したり、協力事業を進めたりしています。未来のための選択ですね。

    ご覧のように共有ベンチャーはITを基盤としています。情報の共有とアクセスが容易になったのです。これは「共有経済」が立派なビジネスとして位置を確立する基礎となりました。これについてハーバード大学法学部のローレンス・レッシグ教授は、「財貨を所有せずに共有、交換、賃貸、活用する協力的消費を共有経済」と呼んでいます。学界で本格的な議論が始まったのです。

    市民たちも既に動いておられました。カーシェアリングをする「グリーンカー」、子ども服を共有する「キップル」、食の共有と運動を一緒にする「家ご飯」、旅行者のために宿を共有する「ビーアンドビーヒーロー」など、韓国の共有企業も元気に育っています。

    「所有の時代は終わった。今はアクセスの時代が近づいている」。ヨーロピアンドリームの著者、ジェレミー・リフキンの言葉です。今や世界的な識者たちが共有経済に注目しています。2009年、タイムズ誌は世の中を変える10大アイディアに「共有経済を通じた消費文化」を挙げていました。

    それでは、ソウル市はなぜ共有に注目するのでしょうか?ソウル市は共有経済を明日のための新しい経済機会、解決策の一部だと見ています。ソウル市は「共有」の文化が広がることで、失った絆と共同体の回復ができると信じます。またこれを通じて都市の安全と福祉などに支出される社会的費用と行政予算を節減できるでしょう。

    そうです。都市は本来、共有のための枠組みです。今まで都市は1次的な共有のためのインフラを構築してきました。道路、公園、市場、住宅、図書館などが代表的なケースでしょう。

    今は2次共有の時代が到来しました。物と空間の共有から情報と知識まで共有されています。都市政策もまた、2次共有まで拡張されなければなりません。自分が勉強して人の為に与える社会、自分の得にならないと動かない姿勢ではなく、進んで協力して何かを残す共有社会、共有経済、「共有都市、ソウル」。このようなソウルのほうが、私たち皆にはるかにプラスです。

    まず、ソウル市はソウル市と自治区、傘下機関が持つ資源の公開と開放による共有を始めたいと思います。共有という哲学を土台にした政策と事業を「オープンソウルプロジェクト」といいます。現在までソウル市の自治区で216個の講堂と会議室を開放しました。今年7月初めから開放しましたが、12月までに500個以上の空間を追加で開放する計画です。ソウル市の52個の遊水池は賃貸住宅の敷地や寮、公園および生活体育センターなどに活用します。また、ソウル市では23カ所のおもちゃ図書館も運営中です。10月6日には市民の皆さんと市長公館も共有します。遊びにきてください。それだけではありません。既に情報疎通広場を開いて、行政情報、公共データ、会議資料を共有しています。段階的に拡大していく方針です。

    このような公共情報の共有は、社会の信頼と透明性の確保につながります。それだけでなく、市民の皆さんは公共情報を活用して莫大な付加価値をつくり出すことができます。ソウル市が公開した公共情報を活用してITの専門家がアプリケーションなどをつくるキャンプを開催し、その結果として市民の皆さんが便利に使い、共に参加できるアプリケーションやウェブがつくられました。代表的に「ソーシャルイノベーションキャンプ」で1等を受賞した「ハッピースペース」は、ソウル市が公開した公共機関の遊休空間情報に基づいて空間共有プラットホームをつくったものです。今後このプラットホームを通じて公共機関だけでなく民間の参加も活性化すると期待しています。

    その効果を少し具体的に見てみましょう。居住者優先駐車場の10%だけでも駐車場の共有に参加すれば、駐車スペースで3725台分の建設効果をもたらし、1862億ウォンの予算削減効果があります。外国人観光客が持続的に増加しているでしょう?1万5千ある客室の数が不足することが予想されています。都市民宿に1千世帯が参加すれば、50個の客室がある宿泊施設を20軒建設するのと同じ効果があります。これは特に、引退したベビーブーム世代が新しい経済活動に参加するきっかけになります。公共機関の講堂や会議室などの遊休空間を500個共有するとしたらどうでしょう。10個の講義室を備えたコミュニティセンターを25棟新設する効果を得ることができます。

    続いてソウル革新企画官が具体的にお話しますが、2013年に推進する9個の共有都市事業の経済的効果を合計すると1675億と推定できます。それに必要なソウル市の予算は16億に過ぎません。

    こうした「共有都市、ソウル」はソウル市単独では実現できません。市民の参加と官民の協力が欠かせません。企業、市民社会、自治区など社会の多様なセクターが参加して共有の概念が広がっていけば、経済的、社会的、環境的問題を解決して新しい価値をつくり出す、真の意味の「共有都市、ソウル」が実現するでしょう。特に積極的に参加する自治区の場合には、ソウル市でも意志を持って支援するようにします。

    今回の発表は開始に過ぎません。ソウルが共有都市に向かう道、最初の一歩を踏み出しました。今後市民の皆さんが積極的に参加できるように多様な方法とシステムをつくります。

    市民の皆さんは十分な力量を持っていると信じています。ありがとうございました。