春は菜の花、夏はアヒルボートと水上スキー、秋は高い空と紅葉、冬は足跡のない一面の銀世界。ハンガン(漢江)は、四季折々に自然が織り成す様々な姿を見ることができる。
車で橋を渡るだけでは感じられないソウルの隠れた魅力が満載のハンガン。川のほとりを歩き、遊覧船に乗ってハンガンを一回りしなければ、ソウルの旅の醍醐味を味わったとはいえない。
以前よりも夏と冬が長くなり、秋を満喫する期間が短くなった今、秋を最高に満喫できる方法は何だろうか。おすすめは、体中で秋を満喫できる秋のイベントだ。年中催されるハンガンのイベントの中でも、秋のイベントは特に人気だ。
毎年10月、ソウルの秋の夜空はソウル世界花火大会で華やかに彩られる。ヨイド(汝矣島)ハンガン(漢江)公園で繰り広げられるこのイベントは、日程が発表された瞬間から多くの人をワクワクさせる。毎年、100万人以上が来場し、違う国が参加する。2014年は英国、中国、イタリアのチームが、2015年は米国、フィリピンのチームが参加した。米国は自国のラブソング、フィリピンは自国の大衆音楽に合わせて花火ショーを演出した。
夜に楽しめるイベントもある。ヨイド・ハンガン公園で開かれる「ソウル・パムドケビ・ナイトマーケット」で、今年初めて催された。ナイトマーケットは、タイや中国、台湾などが有名だが、華やかな夜景を眺めながら美味しいものを楽しむソウルならではの市場の雰囲気を感じることができる。40台余りのフードトラック、新しいアイデア商品コーナー、フリーマーケットのほか、サーカスやマイム、マジックショーといった公演が夜の市場で華やかに繰り広げられる。
美味しい食べ物と公演が満載の夜のイベントも良いが、ナイトマーケットが開かれるハンガン・ヨイド公園周辺は、イベントが始まる前から見どころ満載だ。
日中に行くことをおすすめするのは、韓国の季節を満喫できるからだ。ソウルの秋空を眺めるなら、都心よりもハンガンだ。青空に浮かぶ入道雲と都心をくねくねと曲がって流れる川。夏の暑さを癒す爽やかな風を全身で感じながらハンガンのほとりを歩いてみよう。ソウルの秋空の美しさがきっとわかるだろう。
特に、自然が息づく美しい景観を一望できるのがヨイド・ハンガン公園だ。ヨイド・セッカン生態公園の所々に生息するキバノロ、タヌキ、ヤマネコを見ることができ、コウライヤナギとアシの森の間にタラノキとクヌギが生息しているほか、オグルマやゴノマハグサといった野生の花が見られる。
ハンガンが市民に愛される一番の理由は、老若男女誰でも涼しい場所で文化と自然を同時に満喫できるからだ。ヨイド・ハンガン公園は「チ・メク」のメッカとしても知られる。
「チ・メク」は、チキンとビール(メクチュ)を縮めた言葉で、韓国では定番の組み合わせだ。
秋風を受けながら自転車に乗った後、芝生の上に横になって憩いを満喫しながらのチ・メクは最高だ。ただし、ヨイド・ハンガン公園のソニュド(仙遊島)公園は飲食物の持ち込みが禁じられているのでご注意。
ソウルを訪れる外国人に人気の夜景スポットといえば、遊覧船から望むハンガンの夜景だ。名実ともにヨイド・ハンガン公園の名物となったハンガン遊覧船で夜景を眺めながら、美味しいグルメを楽しもう。
ヨイ(汝矣)ナルで乗船するハンガン遊覧船は、ドラマ「星から来たあなた」のロケ地として知られる。ヨイナルに回航するコースに乗れば、パンポ(盤浦)月光虹噴水を観賞することができ、ランチとディナーのビュッフェやライブショーなどを楽しめるコースもある。ご参考まで。
チョン・ジヒョンとキム・スヒョンが主人公として出演した「星から来たあなた」は、大きな話題を呼んだ2013~14年のSBSドラマ。400年前の地球に降りた宇宙人男性のト・ミンジュンとマナー知らずの韓流トップスター、チョン・ソンイの奇跡のラブロマンスを描き、大ヒットした。
遊覧船に乗る前、ハンガン公園の所々では様々な夜の風景を満喫できる。中でもおすすめは、洗練された月光虹噴水と開かれたハンガンの夜景を眺望できるパンポ・ハンガン公園だ。月の光に照らされた公園から美しい夜景が望めることで有名だ。
月光虹噴水の他にも、歩行者中心の橋に生まれ変わったチャムス(潜水)橋や月をテーマとした月光広場など楽しいアイテムがいっぱいだ。世界最長の橋梁噴水としてギネスブックに登録された月光虹噴水は、昼と夜で形と色を変える幻想的な美しさが自慢だ。特に、華やかな夜の音楽噴水ショーは、韓国内外の観光客の間で有名だ。
ソウルは止まらない。ハンガンには販売締切時間も閉店時間もない。深夜でもあきらめる必要はない。ハンガンは日が暮れても休まない。ソウルはソウルらしくあってこそ魅力と神秘さを発揮する。一番ソウルらしい、真のソウルを体験できる場所。それがハンガンだ。