皆様は深夜、どのように家まで帰りますか?
ソウル市民は「オルペミ(フクロウ)バス」を利用します。本物のフクロウではありませんよ(笑い)。遅い時間でも起きている市民のために運行しているバスです。
ある大学生が地下鉄が運行していない深夜は、家に帰るのが大変だとSNSにコメントしたことがあります。多くの市民から同じ意見を頂きました。それでソウル市は考えました。約30億件の通話量の分析を行い、夜の12時から5時までどの辺りに人が多いのか調べました。それで9つの路線を作りました。
それで終りではありません。「オルペミ(フクロウ)バス」の運行を開始した後、私のフェイスブックに数多くの市民が数千のコメントを残してくれました。そしてフェイスブックの友達の要請事項を徹底的に把握し反映しました。今の「オルペミ(フクロウ)バス」は一日平均6千人の市民の足として重要な役割を果たしております。
このように「第4次産業革命」は企業および産業の現場だけでなく、行政機関においても行われています。私は市民と最も近いところで行政サービスを提供する行政機関が、ビックデータを活用することで、大きな変化を先導していくことができると思っています。
世界各都市の行政機関が「第4次産業革命」の大きな流れに乗り、うまくやっていく事を願っています。ソウルはうまくやっていますよね。
皆様、ソウルは豊かな都市です。国民所得2万ドル、世界10位圏の貿易大国、GDP世界14位の大韓民国の首都です。しかし、ソウル市民の暮らしはそうではありません。地球幸福度指数は低く、自殺率は高いです。世界中の他の都市と同様に、低成長と両極化の苦難を受けています。地球温暖化と気候、大気のエネルギー及び環境問題、自然災害と犯罪、少子化、超高齢化などの社会問題によってソウル市民の暮らしが脅かされています。市民の暮らしを豊かにする改革が必要です。
改革は小さな変化から始まります。さらに、改革は市民一人一人の声から始まります。そして改革は暮らしに密着したことから始まります。
ソウル市はこのような信念で市民と共に暮らしの改革を行っていきます。 一緒に歩んでいけば道になり、一緒に見る夢は現実になります。
ソウルは新たな協力政治のガバナンスで都市開発と不動産分野の改革を行っています。「2030ソウルプラン」は市民参加型の都市計画です。都市の未来を市民が直接設計・参加・決定します。100人の市民参加団の1人からはソウル市民として初めてやりがいを感じたと言われたこともあります。
フランソワ・アシェールは彼の著書『都市の未来、メタポリス』で、「成長と膨張を目指す'メトロポリス'でなく、持続と繋がりの価値を指向する'メタポリス'が新しい時代の私たちの都市風景にならなければなりません。」と綴っています。 そうです。私たちの都市は機能や効率、速度や結果より、関係や概念、緩和な過程が重要です。開発よりは再生が重要です。ソウルは市民と協力して共存するメタシティを夢見ています。
もう一つの例をあげてみましょう。ソウル駅の前には古い高架道路があります。その車道は1970年に大韓民国の産業化およびソウルの都市化の象徴として作られました。そして、今は耐用年数が過ぎたソウル駅の高架道路に対して論争が繰り広げられています。破壊して撤去するか、再び生かして再生させるか。ソウルは再生の方を選びました。物寂しかった車道は市民が自由に歩ける「人道」として生まれ変わります。
この道が完成されればソウルは自然と市民が調和をなしたメタシティに、より一層近づけるようになります。環境にやさしい生態都市、元気な歩行都市、共存し協力する持続可能な都市に新しく生まれ変わります。