ソウルの都心を車で走っていると、自転車に乗って風に髪をなびかせ、美しいソウルの風景を楽しみながら颯爽と自転車道路を駆け抜ける人々の姿を目にすることができる。
運動目的だけではなく、ソウルでは通勤手段として自転車を利用する人が次第に増えている。その中心にあるのがソウルの公共自転車「タルンイ」である。
ソウル市は、公共自転車のテスト運営(2010年11月〜2015年4月)を通じて市民のニーズを確認し、生活の公共手段としての自転車の利用活性化に向け取り組んできた。高効率・低コストの公共自転車システムの導入を推進すると同時に、公共自転車ブランドを開発し、自転車、貸出所の名称やデザインに関する市民の意見調査の結果を積極的に反映した。そうして誕生したのが、自転車のベル音から名付けられた「タルンイ」だ。
タルンイの貸出 | タルンイを利用する市民 |
「タルンイ」の貸出所は主要都心の随所に設置されており、いつ、どこでも利用できるということが大きな長所である。よって、自分の好みに合わせてコースを選びソウルを楽しむことができる。
ソウルの歴史や文化が知りたければ、昌慶宮(チャンギョングン)‧ 昌徳宮(チャンドックン)・国立現代美術館・景福宮(キョンボックン)・光化門(クァンファムン)世宗文化会館・市庁駅(徳寿宮(トッスグン)、ソウル市立美術館近隣)の貸出所を利用できる。また、グルメやショッピングなど、活気溢れるソウルを楽しみたければ、明洞(ミョンドン)聖堂・乙支路入口(ウルチロイック)駅、新村(シンチョン)駅・延世路(ヨンセロ)ミョンムンギル、弘大入口(ホンデイック)駅・上水(サンス)駅・合井(ハプチョン)駅の貸出所を利用するといいだろう。
心地よい風を受けながらソウルの情緒を感じたければ、ヨイナル駅・トゥクソム遊園地貸出所を利用し漢江公園でサイクリングを楽しんだり、ソウルの森公園、ワールドカップ公園、汝矣島(ヨイド)公園近隣の貸出所で自転車を借りれば公園も走ることができる。
このように、ソウル公共自転車「タルンイ」は誰もがどこでも便利に利用することができるため、外国人利用者も大幅に増えている。 昨年10月から今年6月までの外国人の利用現況は、会員登録が2,357人、貸出件数は2,572件に上る。
これを受けソウル市は、市民はもとより外国人観光客にとっても楽しい移動手段となっているタルンイの利用拡大を図るため、次第に自転車の設置台数を拡大している。
2020年までに、ソウル市全域に2万台規模の自転車を設置するとの目標を掲げ、今年は従来の設置地域との連結地域(東大門、龍山(ヨンサン)、陽川(ヤンチョン)から貸出所を拡大する。さらに自転車を5,600台、貸出所を450か所設置し、市民の利便を増進する予定である。
エコをモチーフにした軽快なデザインn | 伝統型デザイン |
また、軽快なエコカラーの自転車と合わせて、伝統工芸品のパッチワークポジャギ柄と伝統的な五方色でデザインされた「ファッションタルンイ」を製作し、今年5月から4大門内で配置・運営している。
①スマートフォンアプリで簡単貸出
「タルンイ」は、スマートフォンさえあれば満15歳以上は誰でも貸出できる。スマートフォンに「ソウル自転車タルンイ」アプリをダウンロード、またはソウル自転車ホームページ(www.bikeseoul.com)にアクセスし、利用券を購入する。利用する貸出所と自転車を選択し自転車をレンタルした後、自転車に装着された端末に会員カードをかざせば利用できる。
貸出の手順 | 返却の手順 |
②隠された機能
タルンイは、バス、地下鉄など公共交通機関との乗り換えを強化すべく、「公共交通機関乗り換えマイレージ」の特典を与えている。タルンイとバス・地下鉄間の乗り換え時間が30分以内の場合、乗り換えマイレージとして1回100ポイント(ウォン)たまる仕組みになっており、1日最大200ポイント(ウォン)、年間15,000ポイント(ウォン)まで積み立てられる。
但し、乗り換えマイレージは年間定期券の購入者に限り積み立てられ、ポイントは今後1年間、定期券の購入時に現金として使用することができる。
③外国人も楽しめるソウル自転車「タルンイ」は、外国人観光客向けのサービスも提供している。「タルンイ」の外国語ホームページで、外国人専用の公共交通機関定期券エムパス(M-pass)やT-money交通カードを登録すれば利用でき、タルンイのホームページや端末は全て外国人の便宜を図るために英語、日本語、中国語に対応している。
国内で外国人登録をしている外国人は国民と同様に利用できるが、外国人観光客は本人確認ができないため、利用券を購入する際5万ウォンをデポジットとして預け、利用券の期限満了時に自転車の返却を確認後、払い戻しが受けられるというシステムで運営されている。