秋を表現した言葉「天高く馬肥ゆる」。秋の景色を体全体で感じようという人は少なくない。澄んだ青空の下、ソウルのあちらこちらでは色とりどりの紅葉が目を楽しませてくれる。遠出をしなくても、ソウルの路地で秋の風情を楽しむ方法を紹介する。
「川沿いの紅葉通り」は、アニャンチョンやチュンナンチョン、ホンジェチョン(弘済川)といった河川沿いの堤防の道にある散策路。車の騒音や排気ガスを気にすることなく、散策を楽しむことができる。青い空と広々とした景色は、眺めているだけで心が洗われるようだ。
ソンジョン(松亭)堤防(ソンドン(城東)橋~クンジャ(君子)橋)は鬱蒼とした樹林で知られ、チュンナンチョンの堤防の道はソメイヨシノとケヤキの紅葉で知られる。特に、カンブク(江北)区ウイチョン(牛耳川)の堤防の道には、高いプラタナスの並木道が広がり、美しい風景を見せてくれる。
「出かけたくなる紅葉通り」は、紅葉スポットだけでなく、工房、画廊、グルメ店が建ち並んでおり、家族連れ、カップル、仲間同士で楽しめるスポット。見どころと楽しみどころが満載だ。
サムチョンドンの通りは、イチョウとケヤキが調和した紅葉通りで、落ち葉が秋の風情を感じさせてくれる。キョンボックン(景福宮)近隣に位置しており、韓国の古風な趣と伝統文化が十分に味わえる。近隣の画廊や工房が多くの人を呼び込み、韓屋をモチーフにしたカフェも何軒かある。コーヒーの代わりにナツメ茶や高麗人参茶、生姜茶を手に、その香りと深い味わいを堪能しながら散歩してみるのも気持ち良さそうだ。
トクスグンロ(徳寿宮路)もソウル都心を代表する紅葉通りの一つ。高いイチョウとケヤキ、低い洋あんずの色とりどりの紅葉は、目を楽しませてくれるだけではなく、殺伐とした都会の中で様々なストレスを抱えながら生きる人々の心を癒してくれる。近隣には市立美術館とチョンドン(貞洞)劇場もあり、より文化的な暮らしを楽しむこともできる。
イテウォンロ(梨泰院路)は美しいイチョウとプラタナスで知られる。サムチョンドンの通りとトクスグンロが古風で物静かなのに対し、イテウォンロはホットでトレンディな通りだ。近隣のキョンリダン(経理団)通りやヘバンチョン(解放村)では、普段味わえない世界各国のエキゾチックな料理を味わうこともできる。
チョンゲチョンロ(清渓川路)は、都会の人にとってなくてはならない場所の一つ。近隣に会社や学習塾が多く建ち並んでおり、仕事に追われるサラリーマンや勉強と試験のプレッシャーからしばし解放されたい生徒たちがここに集まってくる。ほんの一瞬でも辛いことを忘れようと、笑顔で歩いている。自然に親しむ人々は、明日に希望を抱く。日々の暮らしがどんなに辛くても。
街路や散策路よりも美しい紅葉が目当てなら、ナムサン、トゥクソムの「ソウルの森」、ソンパ(松坡)ナル公園など、市内の大規模公園がおすすめ。
開園から20年以上経ち、高い木の多いソンパ(松坡)区のオリンピック公園とソンパナル公園(ソクチョン(石村)湖)も、ソメイヨシノの紅葉が美しい。近隣にはロッテワールドがあり、子どもと一緒に行けば楽しい週末になること間違いなし。ススキ(ハヌル(空)公園)と紅葉(平和の公園)で知られるサンアムドン(上岩洞)のワールドカップ公園にも秋は訪れる。アシが風になびく自然の音を聞きながら、秋のソウルを満喫しよう。
ナムサン北側の散策路は、ソウルを代表する散策路で、ソメイヨシノの紅葉が美しい通りである。車が通らない歩行者専用道路で、ベビーカーや車椅子の利用者、高齢者や障害者も安心して紅葉を観賞することができる。ナムサンの雄大な姿とナムサンから見下ろすソウルの風景は絶景だ。普段は都会の中で些細なことを気にしながら暮らしているソウルの人たち。しかし、ナムサンの上からソウルを見下ろすと、自分の悩みがいかにちっぽけであるかを感じる。
「散策路の紅葉通り」は、クァナクサン(冠岳山)やプッカンサン(北漢山)など、澄んだ空気と紅葉を堪能しながら山登り・散策できるソウル近隣の山や散策路だ。
クァナクサンは、ソウルの中でも早く紅葉が色づき始める場所の一つ。ソウル大学正門側のクァナクサン入口から始まる散策路区間は道路が舗装されており、体の不自由な高齢者や障害者でも紅葉を満喫できる。まだ歩けない幼児を連れた人はベビーカーを利用することができ、所々に森の中の図書館や憩いの空間があり、誰でも楽しめる。
プッカンサンは、登る途中で多くの紅葉を観賞することができる。この山は、他の山に比べ傾斜がきつくて険しい。軽い散策ではなく、本格的な山歩きを楽しみたい人にぜひおすすめしたい。石や岩が多いので、絶対に急いではいけない。急ぐなと語りかけるかのように、紅葉の間から日差しが差し込む。暖かい日差しを浴びながら秋に衣替えする山をご堪能あれ。
ソウル市は、年に一度しか味わえない秋の風情を市民に思う存分味わってもらおうと、11月中旬まで100カ所の落ち葉を回収せずに管理する計画だ。落ち葉を踏みながら深まる秋の趣を感じてみよう。