2020年6月2日、ソウル市は42の海外都市の市長が参加するオンライン会議「CACグローバルサミット2020」において、「都市政府市長会議」セッションを開催した。パク・ウォンスン(朴元淳)市長は、「パンデミックの時代、都市が直面した危機を克服するためのソウルの提案」というテーマの基調演説により、ソウル市の「S防疫」のノウハウを紹介し、感染症に対応するための都市間協議体の設立も同時に提案した。仮称は「CAAP(Cities Alliance Against Pandemic)」。実現すれば、感染症分野における初の都市政府の国際機関となる。国際機関を中心とした都市との連帯と協力により、新型コロナウイルス感染症のような世界的に広まった感染症に積極的に対応し、ひいては世界の都市に適用できる感染症対応モデルを確立することが、提案の趣旨だ。
パク・ウォンスン(朴元淳)市長と会議に参加した世界の都市の市長らは「CAAP」(仮称)の設立に志を同じくし、参加都市の役割を盛り込んだ「ソウル宣言文」を共同で発表した。「ソウル宣言文」には、▴感染症の早期認識と積極的な対応のための協力、▴都市政府間の感染症に関する情報共有と共同実践、▴感染症による危機対応のため、人的・物的資源の迅速な支援、▴感染症対応の専門人材を育成するための人的交流、▴社会的・経済的危機を克服するための自由な移動や経済活動への支援などを中心に記載されている。
パク・ウォンスン(朴元淳)市長は、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのソウル市の「S防疫」について、三つにまとめて紹介した。▴迅速・透明・革新、▴中央政府との足並みをそろえた都市政府のリーダーシップと、ソーシャル・ディスタンシングやマスクの着用などにより示された高い市民意識、▴国際社会との連帯と協力。
ソウル市は世界の都市からの要請でソウルが取り組んだ「S防疫」の政策とノウハウを共有するため、英語のオンラインプラットフォーム「CAC」をオープンし、さらに都市政府の市長がひざを突き合わせて知恵を出し合う今回のオンライン会議が、都市政府の感染症への対応能力を強化する転換点となると期待している。
パク・ウォンスン(朴元淳)ソウル市長は、「感染症は国境や人種を問わずいつでも発生し得るものだ。とくに多くの人が住む大都市での感染力は非常に高い」とし、「世界が連携し、共同で対応することで透明な情報公開と迅速な人的・物的支援ができるようにするため、都市間協議体の設立を積極的に提案した。ポストコロナ時代に欠かせない国際機関になると期待している。世界市民が安全な都市環境の中で暮らすことができるよう、世界の都市と共に積極的に取り組む」と述べた。
ソウル宣言文
我々の現在
我々は都市の時代を生きている。だが、その都市が今、危機的状況に直面している。
新型コロナウイルス感染症が市民を攻撃し、都市の存亡を揺さぶっている。すべての現代文明が誕生し開花した都市は、人々に多くのものをもたらしてきたが、それと同時に危険な場所になっている。我々はそれぞれ違う都市に住んでいるが、新型コロナウイルス感染症の克服という共同の問題を解決するため、最善を尽くしている。
新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を通じて、我々は、感染症は国境や人種を問わず発生すること、とくに多くの人が密集する都市では感染症の感染力が非常に高いという事実を目の当たりにした。
我々のビジョン
我々は、感染症に対する迅速な対応と徹底した予防により、市民が安全に暮らせる都市をつくっていく。世界の都市が一丸となって正確な感染症対応マニュアルをつくり、組織的な予防対策を実行し、さらに都市に住む人々の感染症対応能力を高め、公共医療システムの構築とその実行の過程で蓄積した経験を互いに共有することができれば、それが最善の解決策を模索する近道になるだろう。
我々の連帯
我々は都市間の連帯と協力こそ、感染症対応の最も効果的な方法だという共通認識を持っている。我々は本日、「都市政府市長会議」により新型コロナウイルス感染症への防疫政策を共有し、交流と協力を持続させることで、健康な都市づくりを推進していく。
我々は今、未知の世界の入り口に立っている。その世界は、一度も経験したことのない世界、ウイルスと共に生きる世界なのだ。一緒に手を繋いで臆せずその世界へ立ち向かえば、より安全な近道が目の前にひらけることを、信じてやまない。
都市間協議体の設立提言
我々世界都市の市長は、新しく発生する感染症に対し迅速に対応するため、都市の連帯の必要性に同意するとともに、都市間協議体を構成することで、以下の活動のために共に努めていくことを約束する。
1. 我々は、感染症を早期認識し、積極的に対応できるよう協力する。
2. 我々は、互いに感染症情報を共有し、共同で実践するよう努力する。
3. 我々は、感染症による危機的状況が発生した場合、必要な人的・物的資源を迅速にお互い支援することができるよう努力する。
4. 我々は、感染症対応の専門人材を育成するため、都市間の人的交流に協力する。
5. 我々は、感染症による社会的・経済的危機を克服するため、都市相互の自由な移動や経済活動を支援する。
2020年6月2日