5年前、結婚のため来韓したスン氏(中国)は、これまで2人の子どもを出産したが、どのように子育てをしていったら良いのか分からず、不安を感じていた。ところが、江東区(カンドング)保健所から「ソウル市妊産婦・乳幼児家庭訪問健康管理」の提案を受け、サービスを申し込んだところ、看護師が家を訪問してくれ、子どもの健康や発達状態を確認し、産後の体調管理について、また、母乳授乳の方法について説明を受け、不安が解消しつつある。
ソウル市は、上記のスン氏のように、援助の必要な妊産婦のため、「ソウル市妊産婦・乳幼児のための家庭訪問・健康管理事業」を今年の7月から行っている。このサービスは、妊娠出産から、その子どもが2歳になるまで、最大25回、家庭訪問することによって持続的に妊産婦の健康を管理し、子どもの養育について指導するものである。
家庭訪問は、「継続訪問」と「普通訪問」の2つに分けられる。
継続訪問は、子どもが満2歳になるまで計25回にわたって継続的に訪問するもので、多文化世帯、低所得世帯のほか、未婚、23歳未満、産前・産後のうつ病の恐れがある、自殺願望があるなど、特に支援が必要と思われる妊産婦を対象とする。妊産婦のニーズに合わせ、様々なストレスなどの相談を受けるほか、乳児とのコミュニケーションの取り方や発達段階による親の役割、月齢にあった適切な遊びなどについても指導する。
普通訪問は、新生児を出生して4週以内の全産婦を対象とするものである。出産前後に1~2回家庭訪問を行い、母乳授乳のしかた、新生児のあやし方、睡眠習慣などについて1時間ほどの教育を行うだけでなく、相談も受ける。
このサービスは、江北区(カンブクグ)、銅雀区(トンジャクグ)、江東区の3つの自治区から試験的に実施されているが、おおむね好評を得ている。この3区の管内にある保健所に登録された妊産婦に個別に電話をかけ、同意を得た上で、計1,861人の妊産婦を当該サービス対象者として登録した。各自治区は、産婦・新生児ヘルパーサービスや多文化世帯支援センターとの連携はもちろん、洞事務所を通じて各種社会福祉サービスとも連携し、継続訪問対象家族に様々な連携サービスを提供している。
ソウル市は本サービスが低所得の家庭に限らず、一般家庭からも好評を得ているので、今後も持続的に行っていく予定である。