第2回世界都市電子政府協議体総会の歓迎晩餐会での祝辞
日付:2012年11月12日 場所:スペイン・バルセロナ
お会いできて嬉しいです。ソウル市長で世界都市電子政府協議体議長の朴元淳でございます。本日、盛大な晩餐会を主催してくださった尊敬するジャビエル・トリアス(Xavier Trias i Vidal de Llobatera)バルセロナ市長、第2回世界都市電子政府協議体総会にお越しいただいた各都市の市長及び代表団の皆様、そしてIT専門家とUNPAN(国連行政ネットワーク)、ワールドバンク関係者の皆様、本日こうしてお目にかかれて大変光栄です。
世界都市電子政府協議体は、2008年の市長フォーラム、2009年のCIO(情報化統括責任者)フォーラムを基盤とし、2010年には創立総会を行い、明日は「Smart Government with all」というテーマで、第2回総会を開催するに至りました。会員都市の熱いご関心とご声援に支えられてきたからこそ、本日このような場を設けることができたのではないかと思います。
私はソウル市長に就任してから、まだ1年しか経っていません。この1年間私は、ソウル市を「スマート・ガバメント(Smart Government)」にするために、たくさんの努力を傾けてきました。まず最初に、ソウル市で作成される文書や会議の内容を公開する「情報公開2.0」を実施しました。スマート技術を基に「ソウル情報疎通広場」を立ち上げ、ソウル市関連の公共データを自主的に公開しました。従来は、情報公開の申請をした市民のみがソウル市の情報を知ることができましたが、この「ソウル情報疎通広場」の新設で、市民が申請しなくても自動的にソウル市の公共データが市民に提供されるシステムを作ったのです。
さらに、11月1日にはソウル市に「ソーシャルメディア・センター」を設立しました。スマート技術を基盤とするツイッターやフェイスブックなどを中心としたソーシャルメディアを通じて、ソウル市の行政のパラダイムを変えることです。同センターを通じて寄せられた市民の意見は、即座に担当部署へ伝えられ、それに関する議論や解決に至るまでの過程を全ての市民に公開します。去年の夏、ソウル市では1時間当たり30mmの集中豪雨が起きる災害が発生しました。その時に大いに役に立ったのがソーシャルメディアでした。ツイッターやフェイスブックなどを通じて災害の状況が瞬時に広がり、それを基に、災害システムが稼動し、大きな被害を防ぐことができました。同センターは市民と直接コミュニケーションをとり、市の行政が市民により早く、それぞれのニーズに合わせて提供される効果があるだけでなく、こうした災害の状況においてもメディアとしての重要な役割を果たします。
「情報公開2.0」と「ソーシャルメディアセンター」によるソウル市の「スマート・ガバメント」の実現は、市民との信頼関係を築くことにつながります。都市で行われる行政を市民に公開し、それに関する市民の意見を積極的に反映することで、都市と市民の間でコミュニケーションがうまく取れるようになり、その過程で信頼はさらに深まると思います。即ち「スマート・ガバメント」=「信頼される政府」ということです。
こうした「スマート・ガバメント」の信頼構築は、都市と都市間の問題を解決するのにもそのまま適用できることと確信します。現代社会では、国や民族の境界を越えて世界全体が共に悩み、共に解決すべき問題が山積しています。歴史的な経験や国家間の利害の衝突によって合意点を見出すのがなかなか難しい国家体制に比べ、都市と都市の協力は、はるかに自由で効率的です。
増えつつある都市の諸問題の解決と市民のニーズに応える行政を供給するためには、都市間の協力や共有ネットワークの構築、継続的に発展するIT新技術の活用が鍵となります。
本日と明日の二日間、 都市間のグローバルネットワークの構築と電子政府のデジタル力量の強化という、二つの面において皆様のお役に立つことができれば幸いです。
本日、私たちの出会いがいつまでも皆様の記憶に残りますよう、バルセロナでの美しい思い出をたくさん作っていただければと思います。素敵な時間をお過ごしください。ありがとうございました。