- ソウル市革新成長ファンド7分野の一つ…目標額200%超過達成、上半期に投資開始
- 260億ウォン以上を5G・AIなどのICT DNAに、100億ウォン以上をソウル所在の第4次産業革命企業に集中投資
- 市の出資金額20億ウォンに加え韓国成長金融、民間投資を拡大しレバレッジ効果を最大化
- 「文化コンテンツファンド」目標比267%の400億ウォン達成し投資開始…第1号企業誕生
ソウル市が、第4次産業革命関連の創業初期企業向けに、500億ウォン(存続期間8年、投資4年)規模の「第4次産業革命ファンド(運用会社:Capstone Partners㈱)」を立ち上げた。早くに当初の目標額の200%を超える資金を確保し、有望なベンチャー企業、中小企業を対象に、今年上半期から本格的な投資を始める。
市は、創業初期企業がデスバレー(死の谷)を克服できるように、2018年から2022年にかけて、7つの分野で総額1兆2千億ウォン規模の「ソウル市革新成長ファンド※」の組成を推進しており、「第4次産業革命ファンド」はその一分野として立ち上げられた。
※ ソウル市革新成長ファンド:2018年から2022年にかけて、合わせて7つの分野で革新企業の成長と雇用創出を目標に組成する1兆2千億ウォン規模のファンド。(第4次産業革命、スマートシティ、ソーシャルベンチャー、創業、再挑戦、バイオ、文化コンテンツ)
今回組成された「第4次産業革命ファンド」は、2億~10億ウォン未満の規模の創業初期企業(シリーズA※ラウンド)を対象に投資を行う。500億ウォンのうち、80%以上を第4次産業革命分野の企業に投資し、そのうち260億ウォン以上は5G、AI、ブロックチェーン、ビッグデータなど、いわゆるICT DNAに集中投資する。また、100億ウォン以上をソウル所在の第4次産業革命分野の中小企業またはベンチャー企業に投資する予定。
※ シリーズA:創業初期企業のデスバレーを克服するために、ベンチャーキャピタル(VC)・政府・市が参加する2億ウォン~10億ウォン未満の規模の投資市場。試作品の開発から本格的な市場開拓を行う直前までの段階(ラウンド)の名称。
ソウル市は、今回のファンドについて、ソウル市の出資額20億ウォンに加え、韓国成長金融と他の民間投資を調達することで、総資本として500億ウォンを確保したことから、「レバレッジ効果※」を最大化したファンドであると説明した。
※ レバレッジ効果:自己資本比率は小さいが、企業投資に他人(民間)資本を導入して総資本規模を引き上げる効果のこと。
ソウルの創業企業別の初期投資金は10万7千ドルと、グローバル都市平均投資金の1/3程度(28万4千ドル)にとどまっているなか、ソウル市は、初期創業企業にとって迎え水となるファンドを積極的に組成し有望企業に投資することで、革新ベンチャーの成長をけん引する計画。
中小ベンチャー企業部が発表した2018年のベンチャー投資動向によると、国内のベンチャー投資規模は増加し続けているが、ソウルと他の海外都市のベンチャー投資規模を比べると※、全体の初期投資総額は8,500万ドルで、グローバル平均投資総額の1/10程度(8億3,700万ドル)に過ぎない。一企業当たりの投資規模と初期の総投資規模の双方において、継続的な拡大が求められる。
※ 根拠資料:Startup Genome、Global Startup Ecosystem Report 2019
ソウル市は、第4次産業革命に対する関心が高まっているなか、組成目標を200%上回る総額500億ウォン規模のファンドを立ち上げることができたとし、今回のファンド組成がソウル地域における第4次産業革命分野のベンチャーエコシステムにとって追い風になるものと期待している。
また、ソウル市革新成長ファンド7つの分野のうち、「文化コンテンツファンド」は今年、当初の目標金額である150億ウォンに対し267%超過達成した400億ウォン規模で組成された。3月から投資を始め、第1号のスタートアップが誕生した。この企業は平均年齢27歳の若きクリエイターが集まった「Whynot Media」で、購読者を多数保有し国内外に事業範囲を拡大している。
その他にも、アニメーション、文化・ウェブトゥーン、ゲーム、キャラクターおよびVR/AR、人工知能、ホログラム、AD Tech※などに対する積極的な投資を行っている。
※ AD Tech:デジタル、モバイル、ビッグデータなどのIT技術を駆使した広告技法のこと。
ソウル市経済政策課のキム・キョンタク課長は、「文化コンテンツ、第4次産業革命ファンドに続き、バイオ、スマートシティ、創業などの分野別革新ファンドが集まったのでこれから投資を始める計画」とし「産業現場で多数の需要があるだけに、革新ファンドに公共や民間からの投資資金を導入し、優秀なスタートアップに対する投資が少しでも多く、適時行われるよう取り組んでいきたい」と話す。