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プレスリリース

  • ソウル市、生活賃金引上げ2019年の時給1万148ウォンに

  • プレスリリース SMG 1,393
    • – 前年の時給9,211ウォンより10.2%(937ウォン)引上げ、最低賃金額よりも1,798ウォン高い
    • – 月209時間の通常労働時間働いた場合、月給212万ウォン台
    • – 生活賃金受給者の実態調査結果、所得増が消費増へと好循環、仕事への満足度も向上
    • – 労働者の暮らしの質の向上だけでなく、公共サービスの質の向上にもつながる

    ソウル市が、労働者の暮らしの質の確保に向けて最低限の賃金水準を決める「ソウル市生活賃金」の金額を今年より937ウォン引上げ(10.2%)、2019年の時給を1万148ウォンと確定し、10月中に市民に告示するとした。これは、9月4日に開かれたソウル市生活賃金委員会の審議会で決まったもので、韓国政府が法律に基づいて今年7月に確定した来年度の最低賃金額の時給8,350ウォンより1,798ウォン高い。

    ソウル市は、2017年からこの「ソウル市生活賃金」を基に給与を支給しており、来年はソウル市役所及び21の投資・出捐機関で働く人の中で公務員給与制度の適用外となっている直接雇用労働者、市の投資機関の子会社(3社)及び市の委託会社の労働者、雇用促進のため公共部門で働く場を提供するソウル市ニューディール職場労働者などおよそ1万人以上が生活賃金受給者となる見込みだ。来年の生活賃金の時給10,148ウォンに法律上の通常賃金算定基準時間の209時間をかけると、月給は212万932ウォンとなる。

    市によると、生活賃金額はこれまでの生活賃金水準及び最低賃金の上昇率、都市で働いている3人家庭の支出額など様々な統計値の変化を考慮して決められた。去年と同じく、ソウル市とソウル研究院が開発した「ソウル型3人家庭支出モデル」数式を採用したが、数式の中で「貧困基準線」という項目を3人家庭支出の中間値の58%と高く設定することで、生活賃金額を去年より引き上げた。「貧困基準線」は、貧困から抜け出せる相対的な基準を意味し、嵩んでいる家計の出費など社会的変化を反映するためこの貧困基準線を高めることにしたという。

    ※ ソウル型3人家庭支出モデル

    {(3人家庭支出×貧困基準線)+住居費用+塾など私教育費用の50%}÷365時間×物価指数

    2015年(50%) → 2016年(52%)→ 2017年(54%) → 2018年(55%)と徐々に貧困基準線を引き上げて適用してきたソウル市は、さらにこれをOECDが採用している60%までに向上させ、先進国レベルの生活賃金額算定モデルをソウル市に定着させたいとしている。

    一方で、住居費用の目安は3人家庭居住基準の最低水準である43㎡のままにした。この数値は「ソウル市民福祉基準」が定めた適正基準であり、既にソウル市民の経済、社会的水準を考慮したものであるためだ。さらに、塾などに通わせるための私教育費用は、2016年の35万2千ウォンから2017年には39万ウォンに増加したものの、過度な私教育を押さえようとする市の意思を反映し、今まで通り50%にした。  

    そして、ソウル市は「生活賃金制度」導入の実効性を検証し、今後のあり方を考えるため「ソウル型生活賃金受給者の実態調査」を実施した。調査結果によると、制度導入以来労働者の所得が最低賃金より月20万ウォン以上高い水準となり、また所得増加分の5割は消費増加につながったことが分かった。これを受けソウル市は、生活賃金制度が低賃金労働者の貧困解消と有効需要の掘り起こしといった好循環構造を生み出していると分析している。

    さらに、この調査で「生活賃金制度」導入によって労働者本人や組織に対する認識が改善する前向きな変化も確認されたという。回答者はこの調査で、「生活賃金制度」の導入によって所得が増えてから、業務態度(70%)>仕事への心がけ(67.5%)>業務効率(66.3%)の順で肯定的な変化があったと答えた。さらに、所得が増えてから顧客(市民)サービスの向上にさらに力を注いでいる(63.6%)>組織に対する忠誠心が上がった(56.2%)>組織に対して抱いていたイメージが良くなった(54.1%)などと働く人の認識が変わり、ソウル生活賃金制度の受給者が主に公共部門で働いているため、彼らの認識の変化が公共サービスの向上へつながる効果もあったと言える。

    この調査は、ソウル市生活賃金受給者を対象に、所得、消費、労働時間、仕事への満足度などの項目で、制度導入前後の変化を調べたもので、生活賃金制度の実効性を経済面だけでなく個人の生活や組織に対する認識の面で分析した初めての実態調査である。

    現在ソウル生活賃金受給者は約1万人。そのうち431人をサンプルに調査を行い、有効な回答が得られた376人の答えを基に分析した結果だ。誤差率は95%、信頼度は±4.96%。

    ソウル市雇用労働政策官のカン・ビョンホ氏は、「ソウル市が2015年に生活賃金制度を導入して以来初めて1万ウォン台時代を迎えられたことは、これまでソウル市が貫いてきた「労働尊重政策」の表れでもあり、大変意義深く思っている。生活賃金制度を通じて、より多くのソウル市民が人として当然享受するべき水準の暮らしが確保できるようにして参りたい。」と述べた。