ソウル市消防災難本部は、救急車やポンプ車の不足といった劣悪な環境により消防活動が困難なペルー、フィリピン、モンゴルなど11の発展途上国に、ソウル市の中古消防車を年内までに計91台援助する。昨年まで69台の援助を完了し、今年は22台を追加援助する計画だ。11の援助対象国は、フィリピン、モンゴル、ペルー、カンボジア、ミャンマー、マレーシア、スリランカ、カメルーン、インドネシア、ラオス、バングラデシュ。運送費はソウル市の対外協力基金を使用するか、または援助対象国が一部を負担する。
市が援助する消防車の種類は、ポンプ車、水槽車、指揮車、救助バス、救急車、救助工作車、化学車、移動体験車など。
ポンプ車 | 水槽車 | 指揮車 |
---|---|---|
救助バス | 救急車 | 救助工作車 |
消防災難本部は、災害現場で培った世界的水準といわれる「ソウル市の災害管理ノウハウ」を海外の発展途上国の都市と共有するという趣旨のもと、2012年から7年間、中古消防車の援助を続けている。消防災難本部が2012年から2017年まで援助した消防車69台の内訳は、ポンプ車8台、水槽車11台、化学車3台、救助バス4台、救急車36台、移動体験車1台、指揮車6台。
特に、ソウル市が昨年初めて援助を行ったカメルーンは、面積180㎢(605㎢のソウルの1/3)の首都ヤウンデに人口260万人が暮らしているにもかかわらず、官営救急車を3台しか保有していないため、2021年までに計50台を援助する計画だ。今年5月に10台が現地に届けられ、カメルーンの救急車は合わせて13台になった。今年9月にさらに10台の消防車を送る予定。
カメルーンへの消防車援助は、単なる中古消防車の援助を超え持続可能な応急医療体系を構築するための支援事業という点で特に注目を浴びている。ソウル消防災難本部やKOICA、ソウル大学病院は「カメルーンにおける統合応急医療体系の構築」を掲げ協業を進めてきた。現に2015年にはKOICAの支援でヤウンデ国立応急医療センターが建てられた。ソウル市消防災難本部は、5月17日から23日までカメルーン消防庁を訪問し、応急患者の移送時に必要な積載装備について説明を行い、救急車の操作技術を伝授するなど、病院前救護の持続可能な応急医療システムの構築を進める協力策について議論した。
下半期にはカメルーンの救急隊員をソウル市に招待し、病院前救護の救急隊員の力量を強化するワークショップも推進する予定だ。
ソウル消防災難本部のチョン・ムンホ本部長は「ソウル消防災難本部はこれまで災害現場で積んできた経験やノウハウを、国際協力事業を通じて発展途上国と共有してきた」とし「特に、今回の中古消防車の海外都市支援事業により、病院前救護の応急医療体系などソウル市の優れた消防インフラを途上国に伝えられる機会が増えていくことを期待したい」と話した。