- ソウル市は初めて成長期のスタートアップ企業の持続的な成長に集中するファンドを組成…12月から投資を展開
- 初期企業向けのファンドより6倍多い平均1,265億ウォン規模、企業別の投資金額を4倍以上増加
- 起業して3~7年目の成長潜在力が高い、シリーズB段階のスタートアップ企業に平均30億ウォンの大規模な連続投資を開始
- コロナ禍の中で継続して成長できるように支援し、未来のユニコーン企業として成長できる土台作りに乗り出す…企業におけるエコシステムのスケールアップをけん引
エンジェル投資からシリーズA・シリーズBなど段階別に投資を受けて成長したV社。この事例は、スタートアップ企業なら誰もが夢見る理想の在り方だが、現実はそう簡単にはいかない。規模が大きい連続投資であるほど誘致が困難な上に、コロナ禍が長引くことからスタートアップ企業への投資誘致はより困難になっている。さらに、自前の資金で大規模の連続投資を賄うことができるベンチャーキャピタル(VC, Venture Capital)も国内にそう多くないのが現状だ。
これを受けて、ソウル市が、成長期のスタートアップ企業を支援対象とする3,250億ウォン規模の投資ファンドを組成して、12月から投資をスタートすると明かした。成長期のスタートアップ企業の持続的な成長に集中するのは、ファンドでは今回が初めてだ。従来のソウル市のスタートアップファンドは、主に起業する初期の企業に焦点を当てて支援を展開してきた。
「スケールアップ」という名前は、規模(Scale)を拡大(Up)するという意味から名付けられたが、この名前のように従来のソウル市が作って投資・運用している初期企業向けのファンド(平均250億ウォン規模)より規模が大きい。1ファンドあたりの規模は従来に比べて約6倍の平均1,625億ウォンに増額し、1社あたりの投資平均金額も4倍以上(初期企業向けファンドは平均7億ウォン)の30億ウォンに増額した。
ソウル市は、民間の投資を引っ張る公共資金における呼び水としての役割が非常に重要なだけに、スタートアップ企業への連続投資を持続できるようにするためには、一生懸命に成長しているスタートアップ企業がコロナ禍という危機にも継続して成長できるよう支援すると強調した。ひいては、未来のユニコーン企業へと成長できるように土台を作るのが目標だ。
投資対象は、起業して3~7年のシリーズB段階以上の成長期のスタートアップ企業だ。特に、ソウル市は、ここ3年間、売上または従業員数が毎年20%以上急速に増加した高成長企業を対象に、集中投資を行う計画だ。
投資規模は計3,250億ウォンで、大型ファンド2件(▲2,000億ウォン▲1,250億ウォン)を組成し、ソウル市も計100億ウォンを出資する。ネットワークと資金力を持つ専門運用会社(KBインベストメント・KTBネットワーク)を指定して、本格的な企業投資に乗り出す。
企業選抜において最も重要な基準となるのは、「成長の潜在力」だ。成長期の企業を対象とするファンドを運営した経験が豊富で、海外進出を支援できる力量がある専門運用会社が企業の発掘から投資に至るまでの過程を担当する。
ソウル市は、コロナ禍により国内企業が成長エンジンを失わないようにスタートアップ企業育成における3大戦略(①技術人材向けの人件費の支援②スタートアップ企業の成長を支援する総合パッケージ③スケールアップ向けの大型ファンドの組成)を稼働しているが、今回のスケールアップに向けた大型ファンドの組成も、その一つだ。
ソウル市のキム・イスン経済政策室長は、「これまでソウル市は、初期のスタートアップ企業のためにシードマネーのファンドを組成・運用して様々な成長例を作ってきた。こうした成功例を基に、今回は成長期のスタートアップ企業がコロナ禍と投資誘致の困難に直面して挫折することがないように、大規模の連続投資ファンドを組成することにした。今回のスケールアップファンドの支援が、有望スタートアップがユニコーン企業へと成長できる呼び水になれるよう集中して支援する。加えて、スタートアップ企業育成における3大戦略を通じて、韓国企業のエコシステムもスケールアップできるように力を尽くす」と述べた。