ソウル市の太陽光発電事業が国連の気候変動枠組条約のクリーン開発メカニズムに登録された。これにより、これから28年間、国連のCO2の排出権が確保できるようになった。
国連気候変動枠組条約のクリーン開発メカニズム(CDM:Clean Development Mechanism)は2005年に効力が発生した京都議定書や国連気候変動枠組条約の温室効果ガス削減方案の一つであり、事業として公式的に登録した後に、温室効果ガスの削減事業を行った実績の分だけ国連からCO2排出権を確保できる仕組みである。
CO2排出権を確保すると、温室効果ガスの削減義務を負う国々は、国別に排出できる温室効果ガス量を超過した場合、確保したCO2排出権から相殺することができる。また、温室効果ガスの排出量が少ない場合は、他国へ販売することもできる。我が国は削減義務を負う国には含まれないが、独自にクリーン開発メカニズムに登録しているので、削減の実績が認められる。
クリーン開発メカニズムへの登録のタイプは、単一の事業または設備を登録する形の「単一CDM」があり、もう一つのタイプとして、いくつかの温室効果ガス削減メカニズムを一つのプログラム(総合計画)として一纏まりにして登録し、それと関連した後続事業は28年という有効期間中に追加で登録することによりCO2排出権の売買が可能となる「プログラムCDM」がある。
つまり、これからソウル市の太陽光発電事業が完了する度に、追加登録できることになったのである。但し、28年間(2011年より数える)という有効期間中、事業毎に登録した日から10年間は温室効果ガス削減の実績は認められる。
ソウル市は「原発一基削減」運動の展開により進めている「ソウル市内の公共機関などに設置する太陽光設備設置計画」により、昨年の12月27日、国連気候変動枠組条約にプログラムCDMの登録を申し込んだ。その書類の審査や現場調査を経て先月の6月7日、最終的に確定通知を受けたと発表した。
ソウル市としては初めての登録であり、プログラムCDMはその特性上登録の手続きが難しく、現在世界的に見ても164件、国内では5件しか登録されていない。今回、ソウル市プログラムが登録されたので、国内では登録件数が計6件になった。
ソウル市はこれより2039年まで、太陽光設備設置を通じて温室効果ガスが削減される分は、CO2排出権の取引が可能となる。ソウル市は毎年2MWの太陽光設備を追加登録するという目標を掲げており、28年後には30万6千トンのCO2排出権を確保する計画である。
一方、ソウル市が今回登録されたプログラムCDMメカニズムは、必ずしもソウル市、区、傘下機関が設置する太陽光発電でなくても、他の公共機関が設置する太陽光発電までも実績として認められる。
従って、ソウル市はこれから市の傘下機関、自治区はもとより、関連公共機関を対象に教育と広報活動を持続的に行い、排出権の量を積極的に作り出すことにより追加登録する計画である。また、これにより確保するCO2排出権については、事業参加者と協議体を構成し、活用方法について話し合っていく方針である。