歩行者の安全のため、中央バス専用車線の全区間において制限速度を従来の時速50~60kmから50kmに一括して下げて(2019年12月)以来、通行時間の増加は2分以内とほとんど差がない反面、歩行者事故数は減少したとソウル市が発表した。
ソウル市と韓国交通安全公団は、中央バス専用車線の制限速度を下げた場合、通行時間にどのくらいの差が生じるかを調べるため、時速60kmと時速50kmでそれぞれ走行した場合の通行時間を比較・分析した。調査は①自家用車と②タクシーを対象にそれぞれ異なる区間において行われた。
調査結果、自家用車の場合は平均1.9分の差が生じた。制限速度時速60kmで約10kmを走行した場合、平均31.9分かかり、時速50kmに下げた場合は33.7分かかった。これは交差点の信号待ち1回分ほどの時間である。また、通行時間の差は制限速度より交差点での信号待ちや走行レーンの選択の仕方による影響がより大きいことがわかった。
タクシーの場合は通行時間の差は2分以内、料金の差は±200ウォンほどであり、市民のタクシー利用にもさほど支障をきたさないことが調査結果で明らかになった。これは実際にタクシーに乗ってポンチョンドン(奉天洞)~ヤンジェ(良才)市民の森(12km)区間をそれぞれ制限速度時速60kmと時速50kmで往復した結果による。
さらにソウル市は、2018年に当事業を導入して制限速度を時速50kmに下げて運行しているチョンノ(鐘路)区間では、歩行者の交通事故数が大幅に減少したという結果がすでに出ていると明らかにした。ソウル市が実行前と後の交通事故発生件数を調査した結果(2018年実施)を見ると、制限速度を下げる前と後で交通事故件数は15.8%(19件→16件)、負傷者数は22.7%(22人→17人)と減少した。
ソウル市、制限速度を下げて歩行者事故を低減
歩行者
交通事故 |
事故件数 |
死亡者数 |
負傷者数 |
合計 |
重傷者数 |
軽傷者数 |
負傷申告者数 |
2017年 |
19 |
0 |
22 |
10 |
11 |
1 |
2018年 |
16 |
0 |
17 |
7 |
8 |
2 |
増減率 |
▽15.8% |
– |
▽22.7% |
▽30.0% |
▽22.3% |
△100% |
※ 効果分析期間:(施行前)2017年7月~12月、(施行後)2018年7月~12月
資料出典:ソウル市、韓国交通安全公団
□ ソウル市における交通事故死亡者の発生状況
<単位:人>
ソウル市、制限速度を下げて歩行者事故を低減
区分 |
2012 |
2013 |
2014 |
2015 |
2016 |
2017 |
2018 |
2019 (暫定) |
年間 |
424 |
378 |
400 |
376 |
348 |
343 |
304 |
246 |
一日平均 |
1.16 |
1.04 |
1.10 |
1.02 |
0.95 |
0.94 |
0.83 |
0.67 |
歩行者
(割合) |
235
(55%) |
215
(54%) |
214
(54%) |
214
(57%) |
200
(57%) |
192
(56%) |
184
(60%) |
144
(59%) |