- ソウル地域における公共図書館を対象に感情労働者を保護するためのガイドラインを策定…5館の区立図書館を代表に選び、テスト事業を開始
- 図書館の運営方針に感情労働者を保護する内容を明記して、機関別に保護に向けたマニュアルを作成するように勧告
- 消耗された感情の回復に向けた適切な休憩時間を保障、健康問題を予防するための教育・相談プログラムを用意
- ソウル市内の公共図書館における司書のうち、10人に7人が暴言を経験、セクハラも14.9%に上る
ソウル市が、暴言・セクハラなどの感情労働に苦しむ公共図書館の司書を保護するため、「ソウル地域における公共図書館の司書など感情労働者の保護に向けたガイドライン及びマニュアル」を全国で初めて策定した。
ガイドラインには、業務中に生じかねない感情労働による被害状況を予防し、被害状況が発生すると図書館と管理官庁(市・区庁、教育庁)が行うべき組織レベルの役割と責務が「7の指針」として提示されている。
7の指針は、①図書館の運営方針に感情労働者の保護に関する内容を明記 ②市民の共感を得るための広報 ③機関別に感情労働者の保護に向けたマニュアルの策定 ④感情労働における教育を実施 ⑤適切な休憩時間を保障 ⑥感情労働に関わるトラブルを処理できる制度の施行 ⑦感情労働者の保護現況の点検及び管理といった内容だ。
「7の指針」によると、市・区及び教育庁と図書館は、司書など感情労働者の保護に関する内容を運営方針に明記する必要がある。「~は神様」のようなスローガンは控え、図書館で働く労働者を尊重できるスローガンを作成するなど、感情労働者の保護に対して市民の幅広い共感を集めるために積極的に取り組む必要がある。
また、図書館は組織の構成員とともに、各々の図書館の状況に合う「感情労働者の保護に向けたマニュアル」の策定に乗り出す必要がある。例えば、司書と利用者の間でトラブルが起きた場合、問題を解決するために司書に一方的・不条理な謝罪を強制しないという内容などを含む。
感情労働で消耗された感情の回復に向け、適切な休憩時間を保障して、健康問題を予防するための教育・相談など支援プログラムも設ける。
今回のガイドラインの策定・施行は、今年初め、ソウル市がまとめた公共図書館における司書の労働権益および処遇改善の対策の一環だ。ここ半年間、図書館の館長を始めとして実務司書・関連分野の専門家に至るまでさまざまな層で構成された「ソウル市の公共図書館における司書権益改善に向けたタスクフォース」が知恵を絞って設けたものだ。
ソウル市が、<2019年ソウル地域の公共図書館の委託及び雇用実態の調査>(2019.06~11.)を行った結果、ソウル地域の公共図書館の司書のうち、10人に7人(67.9%)は利用者から暴言を吐かれた経験があることが分かった。14.9%は、セクハラを受けた経験があると答えた。
今回まとめた7の指針とガイドラインの詳細内容が、実際の現場で効果的に定着できるよう、自治区を代表する5館の区立図書館(江西(カンソ)・ 道峰(トボン)・東大門(トンデム)・西大門(ソデムン)・松坡(ソンパ))でテスト事業を開始する。
テスト事業を通じて、5館の図書館は7の指針を施行して、問題点の改善に向けて取り組む。9月中、ソウル図書館では、教育を希望する5館の図書館を対象に「感情労働における権利保障の出張教育」を行い、司書など図書館の感情労働者が自ら自分の権利を認識できるようにする。
イ・ジョンスソウル図書館長は、「日常的に感情労働を経験する公共図書館の司書たちに、ソウル図書館が全国で初めて設けた公共図書館における感情労働者の保護に向けたガイドラインが感情労働による悩みを解消していくための有意味な一歩となることを願う。全ての悩みを一気には解消できないが、ガイドラインを基に関連機関との持続的な協力を通じて司書たちが働きやすい公共図書館をつくるために努力していきたい」と述べた。