ソウル市が、バス運転者たちの交通弱者に対する認識を高めて、サービス強化に取り組めるよう、「低床バス運輸従事者の7つの遵守事項」を初めて制定し、現場中心の教育に乗り出す。車椅子を利用する交通弱者の最大の不満である乗車拒否を根絶するという趣旨だ。バスの乗車を拒否された場合に通報できるセンター(交通弱者の乗車拒否申告センター)も、年内に運営を開始する。
また、車椅子利用者などの交通弱者が乗車待ちしている事実を到着予定のバス運転手に知らせる「交通弱者バス乗車支援システム」も導入する。バス運転手が交通弱者の乗車を確認し、乗車・下車時に助けが必要な場合はサポートできるようにするためだ。2020年、6か所のバス停留所に端末機を設置してテスト導入を実施し、段階的に拡大していく計画だ。
さらに、新しく導入される電気(水素)バスを中心に、「車椅子専用スペース」を確保して、車椅子専用スペースの近くは手すり棒をなくし、車椅子の出入りがスムーズになるよう設ける。
ソウル市、バスの利用が不便な交通弱者の支援に乗り出す
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低床バスの比率もはじめて50%を突破した。(全7,397台のうち3,946台、53% *2020年1月現在) 2020年は、低床バス452台を追加導入・交換する予定だ。ソウル市は、交通弱者の移動の利便性向上のため、2025年までに低床バス100%導入を推進中だ。
ソウル市は、これらの内容を主旨とする「交通弱者の移動利便性増進計画」を発表した。主な内容は、①運輸従事者・市民の認識改善、②施設・構造の改善、③制度の強化だ。
第一に、交通弱者に対するバスの乗車拒否を根絶するため、低床バスの運輸従事者が守るべき「7つの遵守事項」をはじめて制定した。月1回の実習・現場中心教育を通じて熟知できるようにする。
<低床バス運輸従事者の7大遵守事項 >
- 交通弱者の移動のための便利施設を上手く操作できるよう、事前学習を徹底的に行う。
- 交通弱者が停留所にいる場合は、まず停車して乗車意思を確認する。
- 交通弱者の乗車が不可能な場合は、その理由を説明して次のバスを利用するよう案内する。
- 交通弱者の乗下車時は他の乗客に知らせて了承を得る。
- 交通弱者の特性や状況に合った乗下車サポートを行い、他にも助けが必要ないか尋ねる。
- 交通弱者の目的地を訪ねて覚えておき、下車時にサポートする。
- 交通弱者が下車後は、了承してくれた乗客に感謝の挨拶をする。
第二に、「交通弱者のためのバス乗車支援システム」を新たに導入し、バス内部の構造改善を通じて交通弱者も安心してバスに乗車できる環境を構築する。
第三に、これまで障害者がバス利用時に経験した問題点や解決方法を導き出す制度を、「ソウル市障害者モニター団」という名で整備し、公式化する。また、「車椅子を利用する交通弱者のバス乗車拒否申告センター」は2020年内に運営を開始し、交通弱者の移動をサポートする「活動サポーター」は短期移動支援サービスを強化して移動の不便を解消する予定だ。