動画共有サービスで視聴できるWebドラマがこのところ急速に人気を集めている。場所や時間にとらわれることなくコンテンツを視聴できるからだ。韓国のWebドラマで大きな人気を集めているのは『恋愛プレイリスト』で、再生回数3億回、フェイスブックフォロワー160万人を誇る。中国では、昨年ヒットしたドラマの3~4割がWebドラマで、上位10作品の再生回数は353億回にも達するという。
以上のようにモバイルコンテンツが注目を集める中、ソウル市は、ソウルを舞台としたハイクオリティなWebドラマを制作、海外に輸出するという初の試みに取り組むことにした。Webドラマとして制作されるのは、ソウル市が実施している「ソウルストーリードラマ脚本公募展」の当選作だ。
今回ドラマ制作される脚本は、ソウル市が昨年実施した「第1回ソウルストーリードラマ脚本公募展」で優秀作に選ばれた『風鈴(イ・ダビン作)』。北村のゲストハウスを舞台に「家族の和解」を描いた作品だ。
外国人の養子となり海外で育った主人公の男性が、世界に名だたる小説家となってソウルを訪れ、かつて自分を捨てた家族に再会。変化の激しいソウルの街並みの中で、昔の面影を残す路地や幼い頃の思い出が残る場所に接し、主人公の家族への思いは変わってゆく……。
ドラマは全10話(1話当たり10分)で、俳優のキャスティング、撮影、編集などは『星から来たあなた』、『剣法男女』などを制作したHBエンターテインメントが担当する。主人公には、次世代韓流アイドルがキャスティングされる予定だ。ソウル市はこのドラマを、今年12月から中国、日本、アメリカ、東南アジアなど世界各国の放送局や動画共有サービスを通じて配信する計画。なお、日本の大手芸能プロダクションのエイベックスにはすでに輸出済みだ。
Webドラマ『風鈴』には漢江や北村の路地などの観光名所を始め、ソウルの様々なスポットが背景として登場する。それだけに、新たな名所が生まれる可能性と共に、韓流の次のメインコンテンツとしてWebドラマが浮上するのではと期待される。
ソウル市はまた、もう一つの受賞作『ソウルの夜の歌(夜の光、星明り、ハン・ジェウォン作)』もWebドラマとして制作する予定だ。このドラマは韓国コンテンツ振興院の支援を得て、来年6月を目途に制作される。全10話(1話当たり10分)のこのドラマの出演者は、ソウル市民を対象に公開オーディションを行って選抜する。
『ソウルの夜の歌』は、代行運転ドライバーと無名のナイトクラブ歌手の若い二人が、夢をめざす物語。リアルな人生の場面と青春の感性を音楽で伝えるとともに、視聴者に勇気を与える作品だ。
ソウル市はまた、賞金総額4千万ウォンの「第2回ソウルストーリードラマ脚本公募展」も実施する。募集対象は、ソウルをモチーフとした放送用ドラマ60分ものの完成作の原稿で、老若男女、ドラマ脚本の経験の有無を問わず、誰でも応募できる。9月の1か月間、電子メール(dramaofseoul@gmail.com)で受け付ける。
賞の内訳は、▲大賞1編(2,000万ウォン)、▲優秀賞1編(1,000万ウォン)、▲奨励賞2編(各500万ウォン)となっており、受賞作は専門家の審査を経て決定され、11月中に「ソウルストーリー(www.seoulstory.kr)」に掲載されると同時に個別通知される。
ソウル市観光体育局のチュ・ヨンテ局長は、「映画やドラマの中の風景は、観光PR映像などよりもはるかに深く視聴者の心に刻み込まれる。このところの注目株であるWebドラマやWeb漫画などを観光商品化し、ソウルならではの風景や感性を海外に知らしめることで、観光客の増加につなげたい」と話す。